この時期は中学受験全範囲のベースを作ります。といっても、参考書、問題集を買ってきて解かせるのではありません。また、早くから通塾させることでもありません。
豆電球の回路の、抵抗や電流の量を求めたり、湿度を求めたり、中和の問題を解いたり、そういうことをこの時期にやってしまうと、後々学力が伸びなくなってしまいます。
そういった問題は5年生になってからで十分です。この時期は、生活の中から実践的で生きた知識を身につけたり、根本的な考え方を理解する“理科の感覚”を養うことが重要です。
“理科の感覚“を養う方法の一つに実験があります。実験は子供の興味を引き出しますし、非常に有効な方法です。しかし、実際の現場を見てみると、「楽しい、面白い」で終わってしまって、根本的な理解にまで発展しないようです。
知識や理解は、自分で考え、自分で用意・工夫し、自分で調べるという能動的な姿勢に
よって吸収もよく、広がり、深まります。
例えば、寒剤を使ったシャーベットづくりはポピュラーな実験ですが、はじめから食塩と氷を用意して作ったのではあまり意味がありません(凍傷になる危険がありますので軍手などをはめて実験してください)。
“シャーベットをつくる“というテーマを決めたときにどうやって作るのかを考えさせます。氷で冷やす、という考えはすぐ出てくると思いますので、まず、それを実験してみます。容器やジュースなども自分で揃えさせるといいでしょう。
上手く固まらないでしょうから、どうしてか、なぜか、を考えさせます。0℃以下にしないと固まらない、ことに気がつけばしめたものです。そこで食塩の登場です。氷の重さに対して、食塩を何gかずつ、計って少しずつ加えていきます。
ここで氷の変化をよく見させます。氷だけの時より、どんどん氷が解け始めることが観察できます。
「温度が下がると凍ってゆくはずなのに、解けてゆくのはどうして?」
と疑問が持てるようであると最高です。
氷と食塩の重さの比が、だいたい3:1くらいだと、-21℃くらいまで下がってゆきます。
「食塩の代わりに砂糖を加えたら、温度はどうなるのか?」
これも実験してみるといいと思います。実は砂糖でも温度は下がります。-10℃くらいまで下がります。氷をとかす(水を吸収する)性質の強いものほどいい寒剤になるのです。夏によく食べるカキ氷も、シロップをかけると温度は0℃より低くなります。
このような実験した結果をノートに書いておいてためておくと、後々役に立ちます。
ノートを書くということは、
・図を書く力がつく
・要点をまとめる力がつく
・何度も読み返し、習得できる
・5年生以降、塾で習う単元を根本的に理解することができる
という利点があります。是非実践してください。
どうして温度が下がるのか、は
サイエンスシアターシリーズ 熱をさげる編3『ものを冷やす──分子の運動を見る』
板倉聖宣著 仮説社
にわかりやすく書いてあります。このサイエンスシアターシリーズは様々な種類があり、根本的な考え方をやさしく学べるのでおすすめです。
このように、大人主導でシャーバットをさっさと作って終わるのではなく、その過程を大事にすることが重要です。
自分で考え、用意し、工夫し、疑問を持ち、それを確認するためにまた実験をしてゆく
このようなプロセスを踏んでゆくことが理科の学習の面白さなのです。常に自立した姿勢で臨む習慣をつけさせましょう。
では、分野別に実践してほしいことをあげてみます。