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国語の合否を分けた一題

フェリス女子中入試対策・国語の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

A…フェリス女学院中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題

問一 ① A ② A  問二 A  問三 A  問四 B  問五 B
問六 B  問七 C  問八 B  問九 A  問十 B
問十一 ① B ② A  問十二 A  問十三 C
問一 B  問二 A  問三 A  問四 B  問五 B  問六 B
1 B  2 B  3 A  4 B  5 A  6 B
すべてA

問題別寸評

物語文で出典は小川国夫の「彼の故郷」でした。小学生の「浩」と「和一」が隣町の漁村である玉浦にまで足を延ばしますが、和一は玉浦の少年たちにひどい目にあわされて、逃げ帰ってくるという場面です。物語の展開はさほど複雑ではありませんが、情景描写や暗示、象徴が多く散りばめられているため、受験生にとっては読みづらい文章だったと思われます。フェリス国語の特徴がよく現れた物語文と言えます。

問一

まずは、物語の場面設定、人物設定を問う問題で、フェリスではおなじみです。①の季節は、最終場面の「この秋の運動会のことも…」から、また、②の「浩」の学年は、上級生の「和一」が浩に「一年に五、六人しかいないって」と話していることから類推できます。

問二

浩にとって隣町の玉浦は、父親の持っていた双眼鏡でのぞいたことしかない「未知の場所」だったのです。そのことを踏まえて選びましょう。

問三

傍線部の「引潮」という比喩表現と、傍線部前後の表現に着目しましょう。「一たん抵抗をおしきって向う側へ入ってしまうと」「浩は胸をはずませながら」とありますので、それまでの緊張感がほぐれたことが分かります。

問四

長い選択肢は一文全体で正誤の判断をせずに、選択肢をパーツに分けて考えましょう。傍線部では玉浦の海に光が差していて、「光のつぼ」と表現していることから、海面が信じられないほどきらきらと輝いていたと分かります。それに加えて、この後の展開も暗示している選択肢を選びます。

問五

傍線部の前の場面で、和一の父は漁船が転覆して亡くなったのだということを聞き、さらには、岩に立つ不気味な一本松などが結びつき、怖くなっているのです。

問六

問五と連動させて考えます。浩は和一に頼ってはいるものの、和一の存在が小さく見えたのは、浩の恐怖心が強かったためです。

問七

傍線部中の「なぶりものにする」とは「もてあそび、苦しめる」という意味です。これはこの後、起こるであろう和一の不幸を暗示しているかのようです。また、「波」は自然の力、「生けす」は人間の力と置き換えて読みましょう。

問八

傍線部中の「あてどない」は、辞書的には「さまよう」という意味です。ここでは玉浦の少年たちに文句をつけられ、暴力をふるわれた和一の気持ちを考えましょう。「なじみの土地」「人間というものが信じられない」など、言い過ぎの言葉が含まれている選択肢にも注意したいところです。

問九

これは平易な問題です。「波にもまれている海藻」とは、浩が逃げる直前に目にした、玉浦の少年たちに痛めつけられている和一の姿を暗示しています。

問十

二重線のいずれも擬人法を含む文章であることに着目しましょう。浩にとって玉浦の海はよく分からない、得体のしれない恐ろしさを感じるものであったのです。

問十一

① 三十字以内の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。
② これまで浩は、和一のことを「一しょにいると胸がはずんで前後を忘れそう」なぐらい、あこがれの存在として見ていましたが、今は「結びつきの強い存在」として感じています。そのことを表す言葉を探しましょう。

問十二

前問(問十一)と連動させて考えましょう。玉浦の少年たちにひどい目にあったことが、かえって二人の距離(関係性)を縮めたと考えられます。

論説文で出典は村井吉敬の「エビと日本人」です。私たち日本人は発展途上国を中心とした第三世界に、多くの天然資源や食糧を依存していて、第三世界の人々の生活に悪影響を与えているのだと筆者は指摘しています。社会科でも取り上げられる話題なので、受験生にとっては読みやすかったのではないかと思います。

問一

ここで問われている「私たちの生活のありよう、私たちと第三世界との関係のありよう」とは、批判されるべきものであることが分かります。また、設問文に「同じ形式段落の中の言葉を用いて」とありますので、記述の解答要素は見つけやすいでしょう。具体例をまとめた箇所(一般化された箇所)を解答要素として使うのがポイントです。

問二

「歪み」とは、ここでは「悪影響」といった意味です。傍線部の次の段落以降の内容をまとめた選択肢を選びましょう。日本企業はエビを輸入することにより儲けていますが、現地の人々の暮らしは、必ずしも豊かではないことが分かります。

問三

傍線部中の「おたがい」とは、第三世界の人々と、エビを輸入して食べている私たち日本人を指しています。この両者が顔をつき合わせることはないという内容を探しましょう。

問四

傍線部を分かりやすく言いかえた選択肢を選ぶ問題です。傍線部と同じ段落に「工業的(「バナナ生産」に属するもの)」のキーワードがあります。「直接的支配・寡占的生産構造」などです。一方、エビ産業はこれとは対比させて考えます。「広域・長い流通の経路」などに着目しましょう。

問五

傍線部中の「工業的エビ生産」とは、これまで以上に集約的なエビの養殖をすること(本文では「高密度養殖」とあります)を指しています。このことに関する問題点として、「マングローブ林の破壊」や「生魚を犠牲にした人工飼料の必要性」「大きな資本と細心のテクノロジーの必要性」などが述べられています。これらをうまくまとめましょう。

問六

フェリス受験生には、おなじみの自由記述です。本年度は「意見記述型」でした。前述したように、社会科でも取り上げられる内容なだけに、受験生にとっても書きやすかったかと思います。記述の方向性としては、「乱獲を防ぐ、禁漁期間を設ける、食べ過ぎない」などが考えられます。他には「ウナギの養殖の研究を進め、大規模な養殖場を日本に作る」といったことも思いつきますが、出題者の想定した解答ではないかもしれません。いずれにしても、論理的文章が書けていれば点数がもらえるでしょう。

敬語の問題です。正しい敬語が使われているかどうかを答える○×形式ですが、少しひねっていますので、全問正解は意外と難しいのではないかと思います。具体的には、「物などに対して、無駄に敬語を使わない(雨が降っていらっしゃる)」「過剰な敬語表現を避ける(お名前様)」などが出題され、迷った受験生もいたことでしょう。普段から言葉に対する感覚を磨いておく必要があります。

漢字の読み書きです。すべて小学生で習う漢字ですので、全問正解を目標としたいところです。ただし、「採決」「才覚」「立証」あたりは、差がつく問題でしょう。

合否を分けた一題

フェリスの国語の解答用紙を見ると、自由記述型のマス目の多さから記述問題が目につきますが、フェリスの国語は記号選択問題をしっかりと得点することが、第一関門です。ていねいに選択肢の内容を確認する作業を徹底しましょう。
記号選択問題をクリアした後は、やはり記述問題が合否を分けるといっても良いでしょう。
それでは、「合否を分けた一題」として、の問十一①を解説しましょう。

設問文は「蜜のようなものが流れる」とはどういうことかと問うています。比喩表現(…ような)が含まれているため、比喩表現を含まない言葉に置き換えましょう(これを「比喩の一般化」といいます)。
まず初めに、傍線部中に「その時のことを考えると」とあるので、「その時」が指す内容を考えます。前の段落には「和一が秋の運動会で目立つ存在であった」ということが書かれています。つまり、「和一が秋の運動会で目立つ存在であった」ので「蜜のようなものが流れ」たととらえることができます。このことから、「蜜のようなものが流れる」とは「和一を誇らしく思い、憧れていた」浩の気持ちであることが分かります。

(解答例)
秋の運動会のリレーで活躍した和一のことを誇らしく思う気持ち。

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