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理科の合否を分けた一題

フェリス女子中入試対策・理科の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

1 A  2 A  3 A  4 B  5 B  6(1) B  (2) B
1(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  
2(1) A  (2) A
1(1) A  (2) A  2(1) A  (2) A  (3) A
1 A  2(1) B  (2) A  (3) A  (4) A  3 C

A…フェリス合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2019年度のフェリスは、例年通り、基本的知識をおさえたうえで、実験や観察を通して規則性を見つけ、考察を進める問題が中心です。本年は記述が減ったものの、計算問題のボリュームが増え、難易度としては横ばいの印象です。
本年の受験者平均38点(60点満点)となっており、2018年が35点、2017年が38点と、数字的には安定しています。

化学分野は、食塩の溶解度についての問題。
生物分野は、生物の分類に関する問題。
物理分野は、電流と磁界に関する問題。
地学分野は、太陽と月の動きと暦に関する問題。

物理分野の力学以外は、どの単元も偏りなく出されるので、まんべんなく学習しておく必要があります。
フェリス特有の、記述対策も必要です。1つの質問に、考えられる答えを2つ書かせる問題では、対応しにくいと感じるかもしれません。強い気持ちで取り組めるように、普段から慣れておくとよいでしょう。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、理科的な視点で考える姿勢をもつことが大切です。また、原理原則を理解・確認したら、そうなる理由を、人に伝えるつもりで書き出してみるのもよいでしょう。

問題構成は、4分野から大問4題、小問47問。
解答形式は、記号選択が21問、数字が16問、記述が7問、言語が2問、グラフが1問。
記号選択は、生物名を選ぶものや、計算結果を選ぶものも含まれます。
数字は、例年と比べて多く、溶解度・時間・日にちの計算と、ボリュームがありました。
記述は、フェリス特有の2つあげて書く問題が出されました。いずれも一行程度で、字数の指定はありません。
言語は、曜日をかくもので、どちらかというと選択肢に分類してもよいものでした。
グラフは、表の数値をプロットして線で結ぶだけなので、対応しやすかったのではないでしょうか。

問題別寸評

(化学)食塩の溶解度についての問題です。
基本の知識から、溶解度の計算問題にとりくみ、海水から食塩を得る方法について考えるという構成になっています。

どのようなものが水溶液とよべるのか? 基本の知識の問題です。
水溶液は、透明でなければなりませんが、色がついているものもあります。

「食塩が水に溶ける」と、細かい粒子になって水の分子のあいだに入りこみます。水分を蒸発させると、食塩の結晶が出てくることから、食塩の性質は変わらないことがわかります。二酸化炭素がとけた炭酸水も同じです。アは化学変化で、鉄くぎや塩酸はほかの物質に変化しています。イ・ウは状態変化です。

飽和水溶液を蒸発させると、蒸発した水にとけこんでいた食塩が結晶となって出てきます。40℃の水25gにとけていた食塩は、36.6×25/100=9.15(g)なので、約9.2gの食塩が出てきます。

まともに解こうとすると、かなり煩雑な計算をしなければなりません。そこでちょっと選択肢を見ると、20℃ごとに大きく刻んであるので、あたりをつけてみることを考えます。はじめの食塩水が40℃だったとすると、3の結果から、出てくる結晶は約9.2gのはずです。実際にととけ残ったのは7.8gで、40℃の飽和水溶液より少なくなっていることから、40℃より低い20℃を選びます。問題解決の力を問う問題です。

海水100gは、水97g(100-3)に食塩3.0gをとかしたものです。これに食塩を加えて、飽和水溶液をつくります。温度が同じなら、飽和するときの水と食塩の量の比はかわらないため、20℃のとき、加えた食塩の量を□gとすると、100:36=(300-9):(9+□)が成り立ちます。

→合否を分けた一題参照。

(生物)生物の分類に関する問題です。
いろいろな生物についての、基本的な知識を確かめる問題です。知識をもとに、分類条件をあてはめていきます。「なんとなく」ではなく、ひとつひとつ、根拠を確かめながら処理していくことが大切です。

(1)~(3)背骨があるセキツイ動物は、アヒル・クジラ・メダカの3つですから、Cにはメダカがあてはまります。アサガオと、トンボ・クモとを分けるのは、光合成を行うかどうかです。Eには、光合成を行うミカヅキモが入ります。残るHには、ハエが入ります。クモとハエをわける条件は、からだが2つの部分に分かれるか、そうでないかです。
(4)シイタケは菌類なので、ついイメージの近い藻類のミカヅキモのところ(E)に入れたくなりますが、光合成をしないことから、ここにはあてはめることができません。(お)の「はね、またはつばさを4枚持つ」、※の「からだが2つの部分に分かれる」のどちらも「いいえ」で流れて、Hに落ち着きます。少々トリッキーな印象もありますが、注意して取り組みましょう。

図2はフナムシです。節足動物ですが、足の数から、昆虫類ではないことがわかります。一方、ゴキブリは昆虫類です。選択肢はそれを根拠に選びます。

(物理)電流と磁界に関する問題です。
電流のまわりに磁界ができることの説明があり、いろいろな場合の方位磁針のふれについて答える問題です。どれもよく見るパターンの問題なので、迷うところがなかったのではないでしょうか。

(1)図3・4から、電流は南から北に向かって流れていることがわかります。図2の方位磁針の向きの結果から、電流の下に置いた方位磁針は、西へふれることがわかります。
(2)答えを2つ書く問題です。同じテーマで答えを2つ書くのは、対応しにくいと感じるかもしれません。針のふれる角度を大きくするには、電流によってできる磁場が強くなるようにします。そのために、流れる電流を大きくすることは、すぐに思いつくはずです。そのほかにも、たとえば、方位磁針を導線に近づけるなどの方法があります。

(1)・(3)導線によってできる磁界が逆向きなので、互いに打ち消し合います。
(2)導線によってできる磁界が同じ向きなので、互いに強め合います。

(地学)太陽と月の動きと暦に関する問題です。
太陽の動きと見え方についての、基本の知識がしっかり身についていれば、対応できる問題です。

日の出の時刻と日の入りの時刻から、昼の長さと夜の長さを計算します。春分・秋分の日は、昼と夜の時間が同じになると学びましたが、実際には昼の方が長くなります。その理由についての文章では、少々つっこんだ知識になりますが、知っている生徒に有利であるものの、知らなかったとしても、つじつまが合うように選択肢を選べば、正答できるようになっています。

(1)表の数値を、グラフにします。縦軸・横軸の目盛りも入っているので、点をうって、線で結ぶ作業をしっかり行えばよいだけです。
(2)グラフからわかることについての文章の穴埋めです。
(3)(2)の誘導から、うるう年のしくみへつながります。4年間に1回1日ずれるので、このタイミングで、1日増やします。つまり、4年に1度、1年を366日にします。
(4)4年で24時間長くなるので、平均すると、1年で6時間長くなることになります。これは、グラフの変化とも一致しています。

一番早い場合については、問題文に説明があるので、その通りにうめればよいことになります。春分の日が3月21日で、この日が満月で、なおかつ土曜日であれば、次の日の3月22日が日曜日でイースターとなり、最速です。
一番おそい場合は、春分の日の前日の3月20日が満月であるときです。次の満月まで29.5日なので、長くとって30日後の4月19日とし、なおかつこの日を日曜日とすれば、次にくる最初の日曜日は、4月26日です。実に、1か月以上のちがいがあることになります。

合否を分けた1題

塩づくりの方法について考える問題です。
5で、海水の濃度についての問題に取り組んだあとで、塩づくりの具体的な方法を読んで、理科的にどんなねらいがあるのかを考えます。解答形式が記述でごまかしがきかないため、工程の説明を正しく理解し、意味を考えて対応できたかどうかが合否を分けたと考え、取り上げました。

方法①~③:海水を砂の上にまいてかんそうさせると、砂と食塩の結晶が混ざったものが残ります。
方法④:砂と食塩の結晶に海水を流しこむと、海水よりこい食塩水ができます。これをろ過すると、砂が取り除かれて、こい食塩水だけを得ることができます。
方法⑤:ろ液を煮詰めると、食塩の結晶を得ることができます。
(1)方法②は、砂の上で海水の水分を蒸発させる行程です。できるだけ早く水分を蒸発させるためにどうすればよいか、洗濯物を干すときにあてはめて考えてみましょう。陽当たりがよいこと、風通しがよいことが望ましいとわかります。砂に筋目を入れると、乱反射した光を再吸収できる可能性がふえます。また、風にあたる砂の表面積が大きくなり、効率よく蒸発させることができます。
(2)海水は、飽和水溶液と比べて、かなりうすい食塩水なので、あらかじめ濃度をあげておくことで、煮詰めるときの加熱時間を短くすることができます。また、方法④でろ過をすると、砂もふくめた不純物を取り除くことができますので、これにふれてもよいでしょう。

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