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算数の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・算数の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

[1] ①A ②A
[2] A
[3] A
[4] B
[5] ①B ②B
[6] ①A ②B
[7] ①A ②B
[8] C
[9] B

A:慶應普通部合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき、もしくはとばすべき問題

出題総評

今年は、昨年よりも1題減って大問9題構成となり、40分という限られた時間の中で、どの問題を取捨選択するか?という例年通りの正確な判断力ならびに問題処理能力が問われる試験となりました。ただ問題数が減ったこともあり、今年は昨年と比較して全体的に取り組みにくい問題が若干増えたと言えます。
大問1は計算2問、大問2は倍数の考え方を利用した数の性質の問題、大問3は食塩水混合の割合の問題、大問4は比を利用する旅人算の文章題、大問5は三角形を見つけ出す平面図形の問題、大問6は相似を利用した図形問題、大問7は立体図形の切断問題、大問8はサイコロの目の出方を考える場合の数の問題、大問9は展開図を考える立体図形の問題でした。

問題別寸評

[1]

答 2019_gouhi_sansu (2)
分数と小数の混合計算の問題。一つ一つ、計算をして出た値を書き留めるとともに素早くミスなく正解を出すように。

答 54
先ほどの問題に引き続き、分数と小数の混合計算問題。今年が2019年なので、与式の左側の分母を通分すると2019になっています。0.0375=2019_gouhi_sansu (3)と出せると計算が少し楽になります。①も含め、この大問1で時間をかけることは許されません(2問で3~4分程度が望ましい)。

[2]

答 5967
~でわって、という条件が2つ存在する倍数を考える数の性質の問題。
13でも17でも割れ、お互いが素であることから問われている4ケタの数は13×17=221の倍数であることが分かります。また、1の位が7であることから221×□←1の位は7しかありえません。221×7=1547、221×17=3757…となるので、10の位が6になり、かつ4ケタであるものを探し出します。

[3]

答 9.7%
濃度の分かっている食塩水と分かっていない食塩水同士を混ぜ合わせる操作を2回おこなう割合の問題。問題文の指示に順番通りに従い、面積図あるいは天秤を使っていけば難なく答えに辿り着ける平易な問題です。
まず、濃度10%の食塩水A200gと、濃度の不明な食塩水B100gを混ぜ合わせて9%になったので、ここからBは7%と求まります。さらに、その濃度7%の食塩水B250gと、濃度の不明な食塩水C200gを混ぜ合わせて8.2%になったことから先ほどと同じ手順で食塩水Cの濃度が求まります。

[4]

①答 1時間12分 ②答 32019_gouhi_sansu (2)㎞/時
A君とB君の動きをしっかりと整理しなくてはならない、比を用いた旅人算の問題。
詳細は、合否を分けた一題として後述します。

[5]

①答 6個 ②答 16個
与えられた図形の中から、三角形の個数を求める問題。図がシンプルなので情況の把握はしやすいですが、ともすれば数え漏れが起こるので決して平易な問題とは言えません。
自分の中で指針をたてて場合分けをしていくと良いでしょう。①の問題であれば、サイズを小・中・大とわけます。小は線をまたがずに出来る三角形→2個、中は線を1本またいで出来る三角形→3個、大は全体なので1個というように。②であれば、全体の2019_gouhi_sansu (4)(6か所に分かれたうちの1か所分)→6個、全体の2019_gouhi_sansu (5)(6か所に分かれたうちの2か所分)→3個、全体の2019_gouhi_sansu (6)(6か所に分かれたうちの3か所分)→6個、全体(6か所に分かれたうちの6か所分)→1個というように考えます。

[6]

①答 36㎝ ②答 50㎝
長方形の中の直角三角形相似をうまく利用していく平面図形の問題。
①三角形の面積の公式から、高さを逆算する問題。ここでの間違いは絶対に許されません。
②Eから、ABに向かってADと平行な線を引き、ABと交わった点をGとします。AGは、①の答えより36㎝です。続いて、GBの長さについては三角形GBEに着目します。三角形GBEと三角形FBCの中において、角GEBと角FBCは平行線による錯角の為に等しく、また角EGBと角BFCは直角で等しく、かつ残りである角GBEと角FCBは同じです。ここから、お互いの三角形は相似であることが分かります。辺の比は三角形FCBから、21:72:75=3:24:25です。次に、GEを求めます。①で考えた三角形AEDについて、EからADに向かって引いた垂線がADとぶつかる点をHとすると、GE=AHとなります。したがって、三角形AEDと三角形AHEの直角三角形相似を用いて、AHは48㎝と求まり、先ほどの三角形GEBを使えばGBも求まり、答えに辿り着けます。

[7]

①答 10㎝ ②答 156㎤
立方体から、三角すい台を切り取った切断の問題。
①まずは、線を伸ばして立方体だった状態を再現します。ABの延長線とFIの延長線が交わる点をK、DCの延長線とGJの延長線が交わる点をLとします。四角形BIJCは切断面であり、BIとCJが平行であることから三角形BKIと三角形CLJは相似であることが分かります。三角形CLJについて着目してみるとCL=12-6=6㎝、JL=12-3=9㎝なので6:9=2:3です。次に三角形BKIを見てみるとKI=12-9=3㎝なのでBK=2㎝と分かり、ここからABの長さが求まります。
②切り取った立体が三角すい台なので、辺を延長して大きな三角すいにします。LK、CB、JIの3辺を延長して交わった点をMとします。すると三角形MKIと三角形MJLがピラミッド型相似であることが分かり、その相似比はKI:LJ=3㎝:9㎝=1:3です。ここから、三角すいM-BKIと三角すいM-CLJは相似形であり、その体積比は1×1×1:3×3×3=1:27です。求めるべき立体の体積は比の27-1=26にあたるので、三角すいM-BKIの体積を求め、それを26倍すれば答えが求まります。

[8]

答 15通り
サイコロを3回ふり、目が奇数か偶数かで動き方が変わる場合の数の問題。
短い試験時間の中で、場合分けの仕方に悩む受験生が多かったものと思われます。3回のうちの各々の目が、奇数か偶数かで場合分けしてみましょう。①奇奇奇 ②偶奇奇 ③偶偶奇 ④奇遇奇 ⑤偶偶偶 ⑥奇奇偶 ⑦奇遇偶 ⑧偶奇偶 となりますが、AからGまで6マス分はなれていることから、3回目は偶数でないとGに辿り着けません。したがって、上記の①~④までは除外されます。続いて、スタートのDからゴールのGまでは奇数である3マス離れていることから、⑤の偶偶偶も不可能です。さらに、←(奇数)の動きが3回中2回も続く⑥の場合も除かれます。⑦奇遇偶については、1-2-2、1-6-2、3-2-4、3-4-2、5-2-2、5-6-2の6通りが存在します。⑧偶奇遇については、2-1-2、2-3-4、2-5-6、4-1-2、4-3-4、4-5-6、6-1-4、6-3-6、6-5-4の9通りが存在します。

[9]

答 ア・イ・エ
展開図を組み立てて出来る立方体について、模様の位置も考えなくてはならない立体図形の記号選択問題。
まずは立方体の見取り図を描き、頂点記号をA、B…Hとふってしまい、どこかの模様のある面をベースにして、その通りになるように示されている展開図に頂点記号を全てふってしまいましょう。そのうえで、各々の選択肢を吟味し、模様の位置と面および頂点が合致するかを調べていきます。ウのみが矛盾します。

合否を分けた一題

今年の慶應普通部の算数は、例年とは違い、やり取りを行う割合の文章題がなくなり、図形分野の出題が9題中の4題と多くを占めました。また、速さの問題は健在でした。さらに、毎年出題されている場合の数が昨年よりも明らかに難化していました。
40分という短い試験時間の中で、どの問題に何分の時間を費やし、どれだけより他の受験生よりも高得点を取れるか、という姿勢が本年も強く問われた試験でした。
今回は、前半の問題群の中で大問4の旅人算の問題を、合否をわけた一題として紹介しましょう。

[4]速さ(旅人算)

A君とB君、二人の登場人物の動きをしっかりと整理できたかが正解・不正解の分かれ目と言えましょう。往復をしていますが、貴重な試験時間を割いてまでダイヤグラムを描かずとも、十分に対応できる問題です。
①A君の動きについて整理してみましょう。行きは2÷3=2019_gouhi_sansu (7)時間=40分かかり、帰りは2÷5=2019_gouhi_sansu (8)時間=24分かかっています。このことから、出発してから40分後に展望台に着き、40+20=60分後に休み終わって展望台を出発し、60+24=84分後に宿舎に戻ってきたことになります。また、B君は展望台と宿舎のちょうど真ん中の地点でA君を追い越した、とあるのでA君が出発してから60+24÷2=72分後にB君に追い越されたことになります。
答え:1時間12分後
②A君を追い越した72分後までの、B君の動きについて整理してみましょう。宿舎から展望台までの2㎞を進み、さらに20分休んでから行きの4倍の速さで進み、展望台と宿舎の真ん中の地点でA君を追い越します。まず、A君が出発してから16分後にB君が出発したので、72-16-20=36分が移動時間の合計になります。速さの比が行き:帰り=1:4なので、距離が同じであれば時間の比は行き:帰り=4:1となります。ところが、帰りの距離は半分になっているので時間も半分となり、その比は行き:帰り=4:0.5=8:1です。その合計の9が36分にあたるので、比の1は4分、行きに4×8=32分かかったことになります。よって、2㎞÷2019_gouhi_sansu (1)時間=32019_gouhi_sansu (2)㎞/時がB君の行きの速さと分かります。
答え:32019_gouhi_sansu (2)㎞/時

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