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国語の合否を分けた一題

開成中入試対策・国語の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

問一 B 問二 B 問三 C 問四 B
問一 全てA 問二A 問三 B 問四 B

A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

問題総評

今年度の開成中学は文章問題二つの構成、漢字書き取りが四つとなっており、例年通りの出題でした。昨年出題された新傾向問題は今年出題されませんでした。大問一は、小学三年生が主人公の物語文でした。大問二はエチオピアでの体験をもとに、筆者が日本の文化を理解する随筆文でした。いずれも、読み取った内容をそれほど長くない文章で記述するという、開成の特徴が良く出た問題でした。開成対策をしっかりしてきた受験生の努力が報われる問題だったと思います。

問題別寸評

問一 比喩表現から読み取る心情問題

比喩表現を、線部の前後の内容を参考にして、適切な表現に言い換える問題です。主人公が「いただきます」と言ったときのおばさんの反応である線部、および線部の直後のおばさんの会話文から心情を考えます。受験勉強で学習してきた問題にはあまり出てこないであろう心情表現なので、適切な表現を書くのは難しいかもしれません。しかし、答えの要素は全て書けてほしいものです。

問二 対比表現から読み取る心情問題

開成で良く出題される対比で書く問いです。「生活」と「ライフ」の違いをはっきりさせます。「ライフ」については明確に書かれていないので、本文の内容から自分で推測して書く必要があります。現実から切り離されることのない「生活」に対する、理想としての「ライフ」、引っ越した今の「生活」に対する、引っ越し前の友だちがいた「ライフ」。このような表現が答えとして考えられます。

問三 比喩表現の言い換え問題

問いが複雑なので、きちんとした読み取りが必要です。「どういうこと」とあるので言い換え問題ではあるのですが、単に「夢と冒険」と「がらくたのおもちゃ」が何なのかを明らかにする問題ではありません。「夢と冒険が」が主語であり、「がらくたのおもちゃである」が述語であるので、「夢と冒険」=「がらくたのおもちゃ」、つまり同じものだと気付けるかが大きなポイントです。線部にある「現実」という言葉に注目すると、答えは書きやすくなります。

問四 心情理由問題

「海」に関する内容をふまえた上で、主人公が海に感謝するに至るまでの経緯を答える問いです。「海」が引っ越し前の場所にはあったが、引っ越した今の場所にはないことから、冒険を始めたが、問三で見た通り、現実は変わらないことを思いしらされた。しかし、「海」にたどり着けたことで変わったこともあることに、そして自分の新たな可能性に気づいた。その内容は線部の直前から読み取れます。

問一 漢字の書き取り

どの漢字も落とせないものです。その上で、問いにあるように「一画ずつ、ていねいに」書けたかどうかが勝負を分けます。はね、はらい、線の長さで、簡単に一点減点されること、そしてその一点が合否を分ける開成だということを忘れないで下さい。

問二 感情を抱くきっかけとなる体験の説明問題

線部の直後から書かれ出すエチオピアでの具体的体験をまとめれば答えになる問いです。不正解になることは絶対に避けなければなりません。勝負は、答えの全ての要素を入れるために、表現を抽象化し、短くすることにあります。すると、線部の7行後の村での体験が書かれている部分が、適度な抽象度で書かれているのに目が行きます。ここを答えの土台として書きます。それに加えて、線部の直前の、日本にいたときの筆者との違いを明らかにするために「感情」という言葉を使って説明することが必要です。

問三 表現の言い換え問題

「どういうこと」という問いなので、線部を別の言葉で言い換える問いなのだとまず考えます。次に、問いに「カルチャーショック」という言葉の意味が書いてあるので、しっかり理解します。ここまでの下準備が終えられたら、実際に問いを考えていきます。まず線部を含んだ一文を読みますと、日本の文化について書かれていることが分かります。ではなぜ「逆」カルチャーショックなのか? それは筆者が日本人であるのに、日本の文化について驚いたからです。つまり、エチオピアでの体験を経て日本に帰って来たときに、エチオピアとのあまりの違いに驚いたということです。問二で書いた内容を使い「エチオピアの文化はこうだったのに対し、日本の文化はこうだったので驚いたということ。」という形で答えを書きます。開成でよく出題される対比の形ですね。

問四 筆者の考えの理由説明問題

合否を分けた一題で詳しく説明します。

合否を分けた一題

今回は大問一の問四を取り上げます。この文章において、筆者がエチオピアでの体験から、日本の文化でのおかしなところを指摘しています。それを読み取れたかどうかが試されている問いです。

問四 筆者の考えの理由説明問題

―線③で筆者が「ひとりテレビを観ながら浮かぶ『笑い』」を「『感情』と呼ぶにはほど遠い」と表現しているのはなぜだと考えられますか。説明しなさい。

解き方の手順
「感情」というこの文章のキーワードが問いの中にあります。問三と同様に、日本とエチオピアとの対比で書きますが、まずは答えの中心となる、日本での感情についておさえます。

日本での「感情」に関しては、線部の直前・直後に書かれています。

お笑い番組も、無理に笑うという「反応」を強いられているように思えた。そんなとき、ひとりテレビを観ながら浮かぶ「笑い」は、「感情」と呼ぶにはほど遠い、薄っぺらで、すぐに跡形もなく消えてしまう軽いものだった。
 多くの感情のなかで、特定の感情/欲求のみが喚起され〔=呼び起こされ〕、多くは抑制されて〔=おさえ込まれて〕いるような感覚。エチオピアにいるときにくらべ、自分のなかに生じる感情の動きに、ある種のいびつさ〔=ゆがみ〕を感じた。どこか意図的に操作されているようにも思えた。

・無理に笑うという「反応」を強いられている
・感情の動き…意図的に操作されている

という内容が日本での感情の説明の中心となる要素です。

次に、エチオピアにおける感情ですが、問二の答えに使われる以下の部分がその要素となります。

生活のすべてがつねに他人との関わりのなかにあって、ひとりのプライベートな時間など、ほとんどない。いい意味でも、悪い意味でも、つねにある種の刺激にさらされ続けていた。

そして、その結果として、

腹の底から笑ったり、激しく憤慨したり、幸福感に浸ったり、毎日が喜怒哀楽に満ちた時間だった。

つまり、筆者は感情を持ってエチオピアで生活を送っていた、と書いています。

「他人との関わり」という表現は、線部にある「ひとり」という言葉との対比にもなっています。
この要素を足して、対比のバランスよく書いたものが答えとなります。

【解答例】
エチオピアでの他人との深い関わりのなかで生じる強い喜怒哀楽とは異なり、日本では他人との関わりが抑制され、感情がコントロールされていると考えたから。

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