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理科の合否を分けた一題

駒東中入試対策・理科の合否を分けた一題(2010年度)(2ページ目)

(2)

① 断層のズレの向きを答える問題です。この問題は大して難しくはありません。
② 断層がずれた際、断層面に起こる変化を問う問題です。所謂「断層破砕帯」の事ですが、これはほとんどの塾で習いません。しかし、この知識がなくても正解を導くことは出来ます。何故ならば、固い物同士が擦れるのですから、当然岩石の破片が多く出来るだろうと想像がつくのです。習った知識だけではなく、こういった論理力・想像力も駒場東邦中を受験するに当たっては非常に重要です。

因みに断層破砕帯は、始めは大きめの破片で占められており、すき間が多く出来ています。そのため水を通しやすく地下水の通り道になりやすいのですが、破砕が進むと水を含んで粘土状になります。そうすると今度は水の流れを堰き止めてしまうため、トンネル工事などで掘り抜いた際大量出水して事故の原因になることもあります。

(3)

初期微動の長さから震源までの距離を導き出す問題です。塾のテストなどでも出題され、解きなれている生徒も多いでしょう。簡単な旅人算ですが、これには落とし穴があります。

注目の一題-図1

大手塾では地震のP波とS波の速度はそれぞれ、秒速8kmと秒速4kmで習います。上の<図1>を参照してください。P波の進んだ距離とS波の進んだ距離の比は、2:1で、赤で示した部分の長さは、P波が観測地に到着した時の、P波の到達地点とS波の到達地点の距離です。初期微動の長さが20秒という事は、この距離をS波が進むのに20秒掛かったという事です。つまり、赤い部分の示す距離は、

秒速4km × 20秒 = 80km

となります。これが、②-①=① に当たるので、震源から観測地までの距離②は、

80km × ② = 160km

となるわけです。このため、初期微動の時間にとにかく8を掛ければいいや(20秒 × 秒速8km)と思っている(あるいは先生にそう習った)生徒も多いわけです。実際、いちいち線分図描いて解くよりそう覚えた方が効率的かもしれません。ところが、実際のP波とS波の速度には幅があります。この問題も、最後にP波が秒速5km、S波が秒速3kmであるという注意書きがあります。下の<図2>を参照してください。

注目の一題-図2

赤で示した長さは、<図1>の時と同様に、

秒速3km × 20秒 = 60km

です。但しこれが、“三角5”-“三角3”=“三角2”当たるので、震源から観測地までの距離は“三角5”となり、

60km ÷“三角2”ד三角5”=150km

が正解となるのです。

本質を良く理解しないまま、「初期微動の時間に8を掛ける」とか、「初期微動の時間にP波の速度を掛ける」とかいう覚え方をしている生徒は、

20秒 × 秒速8km = 160km

や、

20秒 × 秒速5km = 100km

という誤答をしてしまう問題です。

(1)、(2)、(4)は、合格者の中での正答率はそう低くないと思われます。(3)は、合格者の中にも落としてしまった生徒は結構いるかもしれません。

つまり、この“四角囲み3”の中で、(2)の①②を別々に数えて、3~4問程度正解出来たかどうかが合否の分かれ目になったと考えられます。

『理科の合否を分けた一題(2010年度)』 >> 1 2
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