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理科の合否を分けた一題

桜蔭中入試対策・理科の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

 

問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A  問7 A  問8 A  問9 B
問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A  問7 B  問8 C
問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A  問7 A
問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A  問7 A 

A…桜蔭合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2019年度の桜蔭は、例年通り、基本的知識と原理原則に則って考察する力、的確な処理能力を問う問題が中心でした。難易度は昨年度と同様で、桜蔭を目指す受験生にとっては、どの問題もかなり平易に感じられたのではないでしょうか。ミスなく高得点を確保することが大切です。

化学分野の問題は、もののとけ方についての問題。
物理分野の問題は、エネルギー変換に関する問題。
生物分野の問題は、ヒトの血液循環に関する問題。
地学分野の問題は、黄道十二星座に関する問題。

化学・物理分野は、実験を通して考える問題、生物・地学は、根本原理の理解を問う問題が中心です。込み入った設定はなく、順当に考えを進めれば、すんなり解答できます

もはや定番の感のある、エネルギーに関する問題が、本年も出されました。環境問題とともに、普段から意識して対策しておくとよいでしょう。また、基本的な実験や観察の方法については、もれなく説明できるレベルに定着させておくことも大切です。本年は、ろ過について出題されています。計算問題が多かった本年においては、計算間違いに注意して取り組まなければなりませんでした。とはいえ、どれも平易な問題なので、落ちついて解けばよかったはずです。

問題構成は、4分野から大問4題、小問43問。
解答形式は、記号選択が34問、言語が2問、記述が1問、数字が6問。今年は、作図がありませんでした。
言語・記述は、ごく基本の知識です。記述は、20~30字の字数制限がありました。
計算が必要な問題は6問と、昨年より増加しましたが、桜蔭受験生なら、確実に処理しておきたいところです。

問題別寸評

[Ⅰ]

(化学)もののとけ方についての問題です。
実験1のように、砂糖が溶けるときに見えるモヤモヤを、シュリーレン現象といいます。このモヤモヤは、溶けるとちゅうで、濃さが濃いところとうすいところができ、その光の屈折率のちがいから見られる現象です。氷を入れたときなど、温度のちがいでも見られる現象です。普段の生活でも観察できるので、ピンときた生徒が、多かったのではないでしょうか。

問1

砂糖の近くの水溶液の濃さが最も濃くなっています。濃い水溶液は、密度が高いので、下へしずむように動きます。

問2

「溶ける」というのは、溶質が小さいつぶになって、水の分子の間に入り込んでいる状態をいいます。モヤモヤがまだ見られるうちは、濃度の差がある状態ですが、15分後にモヤモヤが消えたとあるので、このときには、濃さが均一になったと考えます。

問3

実験2の表から、濃度のちがう液体どうしではモヤモヤが見え、濃度が同じ液体どうしでは見えないことがわかります。

問4

2019_gouhi_rika_01

問5

実験2の結果にそのまま照らして考えると、ア~エは間違っていて、オだけが正しいとわかります。
これも、迷わず選ぶことができたのではないでしょうか。

問6

液体Aと濃さがちがうとき、液体Bのあるところにモヤモヤが見られます。液体Bの密度が、液体Aより小さいとき、液体Bは上の方へ動くので、モヤモヤも上の方に見えます。

問7

ろ過の方法は頻出です。液体が飛び散らないように、確実にろ紙に落とすためには、ガラス棒が必要です。

問8

冷水にデンプンは溶けないので、ろ液にはデンプンがふくまれていません。したがって、ろ液は無色透明で、ヨウ素液を加えても、ヨウ素液の色(かっ色)がそのままつくだけです。

問9

ヨウ素液が青むらさき色に変化したことから、ろ液には、デンプンがふくまれていることがわかります。つまり、熱湯中のデンプンは、ろ紙の繊維の間を、通りぬけることができるほど、小さいつぶになっていることになります。指定されたことば「つぶ」「ろ紙」を使い、「~状態。」で終わるように書きます。

[Ⅱ]

(物理)エネルギー変換に関する問題です。
実験1は、電熱線によって水をあたためる実験で、「電気エネルギー→熱エネルギー」の変換を行っています。また、実験2は、モーターの軸を回すことで、電気を取り出す実験で、手回し発電機と同じしくみです。こちらは、「運動エネルギー→電気エネルギー」の変換の実験です。

問1

実験1の結果から、電圧・電流・温度変化の関係を読み取ります。電流が同じになる組み合わせや、電圧が同じになる組み合わせを選び出して比較します。

問2

問1から、同じ電流が流れるとき、電圧が大きいAの方が、温度変化が大きいとわかります。
前の問題をふまえて、考える問題です。

問3

問2と同様に、問1から、同じ電圧が加わるとき、流れる電流が大きいBの方が、温度変化が大きいことがわかります。

問4

同じ大きさの電圧が加わるとき、流れる電流が大きいBの方が、抵抗が小さく、太いと考えられます。
これも、基本の知識です。

問5

風力・火力・原子力・水力はすべて、タービンを回すことで発電するしくみです。一方、太陽光発電は、太陽光パネルで「光エネルギー→電気エネルギー」の変換が行われます。また、燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を取り出すので、「化学エネルギー→電気エネルギー」の変換です。

問6

手回し発電機による実験を思い出してみましょう。手回し発電機では、ハンドルを素早く回した方が、豆電球は明るくつきます。表から、おもりが100cm落ちるのにかかる時間が、900gのおもりの方が短いので、軸の回転も速く、流れる電流も大きくなると考えられます。

問7

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問8

→合否を分けた一題参照。

[Ⅲ]

(生物)ヒトの血液循環に関する問題。
知識と計算の問題です。きわめてオーソドックスな内容です。計算問題では、求めるべきことがらをしっかり把握し、ミスのないように処理することが大切です。

問1

心臓から血液を送り出す血管が動脈、血液が心臓にもどってくる血管を動脈といいます。Aは大静脈、Bは肺静脈、Cは肺動脈、Dは大動脈です。このうち、動脈血がながれているのは、肺からもどる血液が流れる、BとDです。

問2

全身に向けて血液を送り出す、左心室の壁が一番厚くなっています。

問3

魚類の心臓は1心房1心室で、エラの手前にあります。エラでは、血液は毛細血管を通り、気体の交換を行うので、流れる勢いは遅くなります。また、両生類は2心房1心室で、全身からもどった酸素が少ない血液と、肺からもどった酸素が多い血液が、心室で混ざってしまうため、2心房2心室の生物に比べて、効率が悪くなっています。

問4

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問5

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問6

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問7

かん臓には、いろいろなはたらきがあります。
① 腸で吸収した養分は、門脈(G)を通ってかん臓に運ばれます。
② 胆汁は、十二指腸に出され、吸収されなかった食べ物といっしょに体外に出されます。したがって、血液中に吸収されることはありません。
③ かん臓から出る血液は、有害物質が少なくなっています。
④ 糖分はグリコーゲンに変えられ、かん臓にたくわえられます。これを糖分にもどして、血液中に流すので、かん静脈(E)があてはまります。

[Ⅳ]

(地学)黄道十二星座に関する問題。
黄道とは、太陽の天球上の通り道のことで、黄道十二星座は、黄道上にぐるりと並んで見えます。黄道十二星座についての知識がなくても、問題文を読み取ることで対応できるようになっています。それほど煩雑な設定ではないので、すんなり解けた生徒が多かったのではないでしょうか。

問1

問題文から、図1における、1月と2月の地球の位置を考えます。
太陽をはさんで、1月の地球は「いて座」の反対側、2月の地球は「やぎ座」の反対側ですから、地球はイの向きに動くことがわかります。

問2

「いて座」が真夜中に南中するのですから、1月の地球の反対側の位置となります。1月の半年後と考えると、7月とわかります。

問3

「いて座」と「やぎ座」の位置は、1か月分ちがうので、1日の動きにすると、2時間分に相当します。したがって、真夜中から2時間後の、午前2時を選びます。

問4

「ふたご座」は、1月の地球のから見ると、太陽と反対の位置になります。したがって、真夜中に南中するはずです。

問5

太陽をはさんで、「おとめ座」と反対側に地球があるときなので、1月から9か月後の、10月と考えられます。

問6

10月は、9月の中ごろ~10月の中ごろにあたるので、秋分の日のある月です。この星は、秋分の日の前後に、太陽の近くに見えるのですから、秋分の日の太陽といっしょに南中します。

問7

夏の大三角は、わし座のアルタイル、こと座のベガ、はくちょう座のデネブです。基本の知識です。力がぬけるほど、やさしい問題です。

合否を分けた一題

エネルギー変換の問題は、中学校の理科や高校の物理基礎で学ぶ範囲です。変換できるということは、同じ次元の値であり、力学的エネルギー・熱エネルギー・電気エネルギーを、共通の単位で表すことができます。
ここで取り上げられているモーターを発電機として利用する原理は、手回し発電機と同じものです。手回し発電機は小学校の教科書で扱われているため、中学入試でしばしば取り上げられます。しかし、根本原理を理解しようとすると、「電磁誘導」の法則を持ち出さなければならないので、小学校では、実験の体験を出発点とします。
この問題では、実験をしっかり行ってきたかということが、ひとつのポイントとなっています。経験と知識を重ね合わせて、はじめて解答できるという点で、最も難易度が高い問題といえます。

[Ⅱ]
問8

そもそも、実験2では、どうして900gの方が明るくつくのでしょうか? エネルギー変換の視点で考えると、電球を光らせる電気エネルギーは、軸を回すという運動エネルギーが変換されたものです。そして、この運動エネルギーは、おもりが100cm落ちたことによる、位置エネルギーの変化によるものです。900gの方が、位置エネルギーの変化も、変化の速さも大きかったで、流れる電流も大きかったわけです。
さて、問8では、おもりの重さが600gでどれも同じですが、落ちる速さがわかりません。それどころか、流れる電流の大きさもわかりません。‥‥問6でしっかり考えた生徒ほど、問8で迷うことになります。
さてここで、モーターを、手回し発電機に置き換え、豆電球を光らせようとハンドルを回すとき、「手ごたえ」があったことを思い出してみましょう。これに対し、端子に何もつながないときは、カラカラと「手ごたえ」がなかったはずです。また、端子を直接つなぐと、豆電球をつないだときより「手ごたえ」があったのではないでしょうか。
ここで、「手ごたえ」について、整理します。大きい順に、(端子を直結)>(豆電球)>(端子をつながない)となります。これを、選択肢ア~エにあてはめると、エ>ア>ウ で、イの発光ダイオードは、光らせるために必要な電気エネルギーが豆電球より少ないことから、エ>ア>イ>ウ とします。
さて、「手ごたえ」は、ハンドルを回す力と逆向きの力です。問8では、回す力がどれも同じ600gなので、「手ごたえ」との差が大きいほど、おもりが速く落ちると考えます。つまり、「手ごたえ」が小さいほど速く、大きいほどおそくなります。したがって答えは、速い順に、ウ・イ・ア・エ となります。

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