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国語の合否を分けた一題

聖光学院中入試対策・国語の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

A…聖光学院合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題なども含む
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題

問一 A  問二 A  問三 B  問四 B  問五 B
問六 A  問七 C  問八 B  問九 B
問一 A  問二 C  問三 B  問四 A  問五 A
問六 C  問七 B  問八 A

問題別寸評

漢字の書き取りのみで、読みはありません。すべて小学校で習う漢字からの出題で、かつ、入試で頻出するものが並んでいます。ここでの失点は避けたいところです。

聖光ではおなじみの「言葉に関する知識問題」です。こういったタイプの問題はその場のひらめきも大切ですが、時間をかけずに思いつくためには普段から語彙(ごい)に対する意識を高めていく必要があります。文章読解問題を解くときや読書の際に分からない言葉があったら、こまめに辞典で調べる習慣をつけましょう。
今回は、「かがやかしい」のように、言葉の初めが「同じ音の清音・濁音」から成るものを穴埋めさせる問題でした。「すずしい(顔)」「けげんな(顔)」など、平易な慣用句や語句といえます。5問中4問は正解したいところです。

物語文で出典は平山瑞穂の「遠すぎた輝き、今ここを照らす光」でした。これまで美術に打ち込んできた「光平」が、自らの作品を荒川に廃棄することによって、新たな人生を歩もうと決意する場面です。本文内容をつかむのはさほど難しくありません。ただし、記号選択問題ではひっかけが多く含まれていますので、選択肢をパーツに分けて、注意深く正誤を判断する必要があります。

問一

言葉の問題です。「ためつすがめつ」は意味を知らなくても、前後の文脈(この場面で、夏輝は光平が描いた絵を何度も眺めています)から類推できるでしょう。

問二

これから光平や夏輝が何を行おうとしているのかを考えれば、難しい問題ではありません。また、本文の後半にも、自分たちが川に作品を流して廃棄することは「法に触れる」のではないかというやりとりがあります。本文を最後までていねいに読めば分かる問題といえます。

問三

傍線部の「その捨て方」とは、光平が自らの作品をろくに見ないで無造作に川に放り込んでいくことを指しています。一方、夏輝は一つひとつを鑑賞しながら捨てていくタイプだと分かる内容が、傍線部の直前に書かれています。

問四

傍線部直後から、光平にとっても自らが本気で生み出した思い出の作品を捨てることはつらいことだったのが読み取れます。その内容をふまえて選びましょう。

問五

六十字の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。

問六

問題自体はそれほど難しくはないのですが、選択肢の一つひとつが長文なので(一つの選択肢が百字以上で三行にわたっています)、必ずパーツに分けて、部分的に正誤をチェックしましょう。内容的には、「予想していた」より「爽快ですがすがしい」とは具体的にはどういう気持ちだったのかを、ていねいに確認していきましょう。

問七

傍線部が比喩表現であることから、比喩を使わない表現に置き換えることが求められます。
「残された幹」とは「新たな人生を歩む自分」を表していて、それは「自分に必要なものを取捨選択すること」によって形成されると考えます。文中の言葉があまり使えないため、内容的に近ければ正解となるでしょう。

問八

傍線部に「正しい」とありますが、何が正しいのかを考えます。傍線部前の流れを確認しましょう。光平の作品の中に夏輝を描いた絵があり、「夏輝のことが中学のころから好きだったのではないか」という指摘を、夏輝本人から受けます。それに対して、光平はしどろもどろな返事をしているのです。つまり、夏輝の言ったことは図星だったというわけです。よくある展開ですが、男子は「恋のお話」が苦手な人もいますので、いくつかのパターンを頭に入れておきましょう。

問九

本文の表現の特徴に関する問題です。こういったタイプの問題は、基本的には消去法です。選択肢をパーツに分けてチェックし、確実に×がつけられるものから除外していきましょう。「言われてみれば確かにそうだ」というものが答えになる場合が多いようです。

説明的文章で出典は藤田正勝の「哲学のヒント」です。「『言葉』が『経験』をすべて言い表すことはできず、そこには隔たりが生じるが、共通認識によって補うことは可能である」という内容です。言語論のテーマとしてはよくあるものですが、選択肢がかなり紛らわしいものになっています。物語文のところでもふれたとおり、一文で正誤を判断せず、パーツに分けて、本文内容と合っているかを確認しましょう。

問一

平易な語彙問題です。波線部前後からも類推可能です。

問二

まずは、傍線部中の指示語に着目しましょう。「そこ」が指す内容は「言葉は私たちの感情の振幅を削り取られ、固定化されるため、経験をあらわすことにはならない」ということです。さらに、傍線部直後の「つまり(=言い換えの接続語)」に続く文を確認しましょう。どの選択肢も、傍線部の前後にある語句を含ませて作られていますので、字面だけを見て選ばないようにしましょう。

問三

傍線部の「枠組み」とはどういうことを意味しているのかを中心に考えていきます。傍線部と直前が「AというB(A=B)」の関係になっていることにも着目し、傍線部前の内容を含む選択肢を選びます。

問四

これは平易な問題です。「どういうことですか」と問うていますから、傍線部の語句を言い換えたものを選びます。傍線部の「事柄」とは「経験・出来事」を指しています。また、「抽象化」とは、ここでは「広くあてはまる、一般的な表現」という意味です。

問五

こちらも失点は避けたい平易な問題です。傍線部の直前「この」という指示語に着目し、その内容を確認しましょう。「ローテローゼの赤」の具体例を通じて、具体的な経験のなかで使われる言葉は、言葉以上のもの(背景)を伝えることができるということです。ここでは、具体的な経験ではないものが「ふさわしくないもの」となります。

問六

この問題の解法ポイントは二点あります。一点は「美的な経験の現場」とは何か、もう一点は「主役・剰余」とは何かということです。「美的な経験の現場」は直前の文章内容と対比させて考えると「日常的ではない(平凡ではない)感動する体験」のことだと考えられます。一方、「主役・余剰」は「大切なこと・さほど重要でないこと」というとらえ方ができます。

問七

本文には「近江の人」という言葉から、近江の美しい自然をも連想させるという説明があります。「丹波の人」ではこういった連想はさせないので、平凡な句になってしまうということです。

問八

最後は、3つの俳句の中から好きなものを選び、鑑賞文を記述させる問題です。解答欄は字数制限なしの二行です。今年の聖光の新機軸といえましょう。ただし、どの俳句も有名なもので、大手塾のテキストには掲載されているものばかりです。やはり、初見の俳句の鑑賞文を書かせるのは小学生には難しい(もしくは、採点しづらい)と考えたのでしょう。解答ポイントは、俳句の言葉に「飛躍しない程度に」肉付けしていくということです。

合否を分けた一題

聖光学院の国語というと「記号選択問題が中心」という印象があります。もちろんそれは間違っていませんし、今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、聖光学院の国語攻略のカギは、まず記号選択問題のパターンを熟知することだと言えるでしょう。

一方、記述問題はどうでしょうか? 記号選択問題がある程度以上得点できたら、最終的な合否を決めるのは記述問題ではないかと私は思います。
「合否を分けた一題」では記号選択問題ではなく、あえて記述問題を取り上げたいと思います。

では、「合否を分けた一題」として、の問五を解説しましょう。

記述問題を解くうえで大切なことの一つは「文中で解答作成に使えそうな語句は優先して使う」ということです(これは論説文はもちろんのこと、物語文でも当てはまります)。むやみに自分の言葉で置き換えてしまうと、言葉のニュアンス(意味合い)が変わってきてしまうことがあるからです。

の問五も、できるだけ文中の言葉をつなぎ合わせて解答作成します。

ここでは「手放すのも惜しくはない」と光平が考えた理由を問うています。

まず、傍線部の直前に「そう思えば」とありますので、「そう」が指す内容を考えましょう。また、傍線部の二行前に「だったらもう、解放してやるのがいい」とあり、傍線部の「手放すのも惜しくはない」とほぼ同内容であることが分かります。「だったら」の前には、その理由が書かれていますので、そこをひとまず使いましょう。

「そういう意味では、これらの作品もそれぞれ立派に役割を果たしたのだ。」

次に「そういう意味」と「これらの作品」を具体的に言い換えます。
「そういう意味」は、直前の「自分の才能や器量を知り、その事実を受け入れ、身の丈に合った生き方を迷いなく選び取るために必要だったこと」を指しています。
また、「これらの作品」とは、さらに数行前に書かれているように「誰からも評価されなかったもの」です。

これらをつなぎあわせて、解答を作ってみましょう。

(解答例)誰からも評価されなかった作品でも、自分の才能や器量を知り、身の丈に合った生き方を選び取るための役割を立派に果たしたから。

以上のように、まずは文中の言葉を優先させて解答作成し、「7割以上の部分点」をとれば、十分合格点に達します。

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