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国語の合否を分けた一題

豊島岡女子中入試対策・国語の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

問一 A 問二 B 問三 B 問四 A 問五 A 問六 A 問七 A 問八 A 問九 B
問一 A 問二 A 問三 A 問四 B 問五 A 問六 A 問七 A 問八 A

A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

問題総評

今年度の豊島岡は大問二つの構成となっており、例年通りの出題でした。しかし、記述で90字以内と100字以内という今までにない長文化がみられました。配点も12点・12点の計24点と高く、いよいよ豊島岡でも記述で合否が分かれる可能性が出てきました。
大問一の論説文は、親の子どもに対する本当のやさしさについて書かれています。大問二の物語文は、タイムスリップというファンタジックな素材文ながら、裏切られる少女の心理を中心に据えた、中学受験にふさわしい問題となっています。漢字は書き取りが3問です。

平成30年度 問題別寸評

問一 何を育てているか 抜き出し

単純に考えると、「子ども」ということになりますが、それでは易しすぎますし、字数としても、言い換えでも、あてはまるものがありません。そこで視点を変えて、文章全体を読んで主題をとらえることに注力します。主題は、子どもの将来に必要なことは親に頼らないで生きていくこと、つまり「自立」です。これを四字で説明している言葉を探します。主題なので正解しておきたい問題です。

問二 線部の理由

のちほど、合否を分けた一題でくわしく説明します。

問三 線部の換言

「自分のため」という表現の言い換えが、線部のやや後ろに「自分のことしか考えていない」とあります。「子どもの将来のため」、「自分が死んだあと一世代後まで」を考えることをしていない、間違ったやさしさだということです。

問四 線部の理由 抜き出し

問いの「親と子どもの間には」と同じ意味の言葉を探せば正解になります。「~がある」もそのまま本文にあります。落としてはいけない問いです。

問五 線部の補足説明

「将来困る」という表現は、線部のやや後ろに「将来もっと深刻な意味でかわいそうになる」というふうに言い換えられて出てきます。その直後に具体例が出ています。これをまとめた選択肢が正解です。

問六 線部の説明

「近視眼的」の本文での対義語「長期的な展望」に注目できると容易に解ける問題です。また、「子どもの将来のため」という言葉を考えても正解が選べる問いです。落としたくない問いです。

問七 線部の換言

問三と関連しています。「自分のため」がどういうことかを、ペットにたとえて説明しているだけです。

問八 指示語の指す内容

直前の三文をまとめたものを選べば正解となります。

問九 線部の換言 記述 

筆者のいう親としてのやさしさが書かれているところが答えの土台です。「子どもの将来のため」を考える。子どもが自立するために厳しいこともする。その方法は本文最後に書かれた「自分の考えや価値観をぶつける」である。問八の子どもの思いも入れます。それでも字数があまるので、「今子どもに嫌われることを心配するのではなく」という、筆者が否定した対比の内容を、答えの最初に持ってきます。要素が多く、完答は難しいでしょう。

問一 空欄補充 様子

前後の文脈から判断する問いですが、三つのうちつ二つ正解が選べれば正解になってしまう、易しい問題です。

問二 主人公の気持ち

直後の二文の理解で正解を選べます。

問三 線部の説明

「自分に言い聞かせる」は入試必須の表現です。自身の中には言葉とは裏腹の気持ちがあるのを、打ち消そうとするときにする行動です。「あの子ぜったい、浴衣を返しにくる」と言っているので、本心では「返しにこないかもしれない」と不安に思っているわけですね。努力を重ねてきた受験生にはできてほしい問いです。

問四 線部の行動の理由 「がまんしていたもの」の内容も説明

問三に関連しています。がまんしているものは「浴衣を返しにくると信じていたのに裏切られた悲しみ」です。母に「浴衣は戻ってこない」と言われたことに対し、「絶対に返ってくる」と言い張った手前、母にこの悲しみは言いづらかったので、がまんしていたのです。返ってこないことが現実となった今、しかし、母は自分を責めず、優しく言葉をかけてくれました。これがきっかけで、おさえこんでいた悲しみがあふれ出てきました。もう止められません。

問五 線部の言葉を言った理由

浴衣が返ってこない現実に打ちひしがれた心はそう簡単には前向きになりません。色々悲観的な発言を繰り返しているのは、母に「本当にだいじょうぶだ」と背中を押してほしいのです。線部のあとでゆきちゃんはやっと「こっくり」とうなずきます。母との会話から、ゆきちゃんの心の変化の機微を読み取れるかが勝負です。

問六 空欄補充 ゆきちゃんの性格

問一のやりとりから選べてほしい問いです。

問七 主人公の気持ち

「一心に」=「一生懸命」ということをふまえて、線部の最後「思い浮かべた」の正確な言い換えを考えればおのずと正解は選べます。本文に書かれていないことを選ばないようにしましょう。

問八 漢字の書き取り

「要領」は「容量」と区別できていない人が多い印象があります。それぞれの意味を理解して漢字をおぼえましょう。「仕草」がやや難しいでしょうか。しかし、小学生で習う漢字でできた熟語です。

合否を分けた一題

今回は大問一の問三を取り上げます。豊島岡の入試問題には、はいくら難問であっても、国語の解法パターンに則れば答えを出せる選択肢の良問が多くあります。その典型ということで見てみましょう。

問二 線部の理由

―線②「子どもから見て~頼りなく感じられる」とありますが、なぜですか。最も適当なものを次のア~オの中から一つ選び、記号で答えなさい。

解き方の手順
線部の前後だけで答えを出そうとすると痛い目を見ます。

前には「子どもの「嫌い」とか「やさしい」といった未熟で感情的な言葉に大の大人が振り回されて、子育ての使命を忘れてしまう」とあります。これと関係することが書いてある選択肢がウとオですが、まずウは、「振り回されているように見える」という表現が合いません。
オは「(子育ての本質を見失ったために)不安を抱えているような印象を子どもが受ける」が書いてありません。

ではどこを読めばよいのか?

問いの表現と同じことが書かれた場所を探すのです。
これが遠ければ遠いほど、あるいは、表現の換言の度合いが強ければ強いほど、難問になります。
今回は遠かったのです。

5ページ
「自分の親はやさしいのかもしれないけれど、こっちの機嫌を窺っているようでいるようなところがあって、何だか頼りない、親にはもっとどうどうとしてほしい。」
「こちらの機嫌を窺っているような親が頼りない」

この表現が使われているのはイです。
イの「大人が子どもに反発されることを恐れて」はここにはありませんが、線部の直後に

「子どものためを思ったら、たとえ子どもから厳しく反発され、一時的に嫌われるようなことがあっても、親として厳しく注意しなければならないこともある」

という筆者の考えがあり、この反対の表現が選択肢の一部に使われたということが分かります。
問いをおさえることの重要性を知っておきましょう。

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