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理科の合否を分けた一題

慶應中等部入試対策・理科の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

(1) A  (2) A  (3) A  (4) B
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) A
(1) A  (2) A  (3) B  (4) C  (5) C
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A
(1) A  (2) B  (3) B

A…慶應中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2018年度の慶應中等部は、例年通り、基本的知識を問う問題を中心としながらも、しっかり考えさせる問題がちりばめられているといった構成です。ほとんどが選択肢でありながら、計算問題あり、論理的に段階を踏んで処理を重ねなければならない問題ありで、取り扱う題材もバラエティーに富んでいます。昨年度と比べかなり難化しており、これまでの対策では対応できないレベルといえます。

地学分野の問題は、昨年に引き続き、月の見え方の問題。
化学分野の問題は、ろうそくの燃え方の問題。とても基本的で易しい。
物理分野の問題は、てこと浮力の融合問題。定量的な設定がない分、かえって混乱しがちな問題。
生物分野の問題は、大設問2題。昆虫の体のしくみに関する問題と、植物の分類に関する問題。

月は設定が複雑化しています。良く出される題材なので、演習を重ねておきましょう。
物理分野は力学が中心になりつつあります。計算がない場合でも、根本原理の理解がなければ対応できません。ふだんから、答えが出ればよしとするのではなく、どうしてそうなるのか? 条件によって結果はどうかわるのか? といった思考を重ねておくとよいでしょう。

問題構成は、4分野から大問5題、小問31問。
解答形式は、記号選択が21問、数字が2問。
小問数は昨年と同じです。数字は、昨年の4問から減少していますが、計算が必要な問題は増えています。

問題別寸評

(地学)月の見え方についての問題です。
月齢と月の形、見える時刻と方角の関連をしっかり理解していることが求められます。日数計算と月齢の計算は、原理原則にのっとって解けば、必ず答えが出る問題です。しっかり演習し、確実に回答できるようにしておきましょう。

(1)

同じ時刻に月が見える方角は、だんだん西から東へずれていきます。

(2)

午後6時に見える半月は上弦の月です。これから、光っている部分がふくらんでいく月です。

(3)・(4)

→合否を分けた一題参照。

(化学)ろうそくの燃焼に関する問題です。
難化著しい中で、唯一基本中の基本の知識で解答できる問題です。確実に得点しておきたいところです。

(1)

基本の知識です。正答率は100%近いはずです。

(2)

完全燃焼をしている部分ほど、高温です。

(3)

内炎にはろうが熱分解されてできた炭素があり、きらきら輝いてみえます。

(4)

外炎は完全燃焼している部分なので、水蒸気と二酸化炭素ができています。いずれも無色透明で見えません。

(5)

ろうそくの燃焼によって、集気ビンの中にあった空気の酸素が減り、二酸化炭素が増加します。二酸化炭素は水に溶けるので、その分集気ビン内部の気圧が下がります。

(物理)てこと浮力に関する問題。
てこがつり合っているとき、(右にまわすはたらきの合計)=(左にまわすはたらきの合計)が成り立ちます。
また、おもりA~Cは金属なので、水に沈みます。てこにつり下げたおもりを水に入れると、それぞれのおもりの体積分の浮力がかかり、つり合いの関係が必ずしも成り立たなくなります。
(1)・(2)は基本ですが、(3)~(5)はかなり難しく、得点できなかった生徒も多かったのではないでしょうか

(1)

(左にまわすはたらきの合計)=100×2+100×4=600
Cをつり下げる目盛りの位置を□とすると、100×□=600 □=6

(2)

(Aによる左にまわすはたらき)=100×3=300
(Bによる右にまわすはたらき)=100×8=800
左にまわすはたらきの方が小さいので、おもりCは左側につり下げます。
Cをつり下げる目盛りの位置を□とすると、100×□=800-300=500 □=5

(3)

おもりの重さはどれも同じですが、体積はどうでしょうか。おもりを水に入れたとき、体積が大きい方が水から受ける浮力が大きいので、つるしている糸にかかる力「(おもりの重さ)ー(浮力)」が小さくなり、もち上がります。
実験の結果から、体積の大小関係は、A<B、B<Cとわかります。

(4)

(3)で体積が大きかった方のおもりは、どのくらいまで持ち上がるでしょうか?
持ち上がった方のおもりは、やがて一部が水から出ます。さらに、水中の部分が、下がった方のおもりの体積と同じになったとき、さおは傾いたままつり合います。
これは、水が食塩水にかわった場合も同じです。

(5)

つり合いの式で考えます。
図5のつり合いのとき、100×5={100-(Bの体積)}×6
AとBを入れかえたとき、
(右にまわすはたらき)={100-(Aの体積)}×6
「Aの体積<Bの体積」より、{100-(Aの体積)}×6>{100-(Bの体積)}×6=100×5
(右にまわるはたらき)>(左にまわるはたらき)の関係から、水に入れたAの側が下がります。

(生物)昆虫に関する問題。
問題文には、昆虫のからだのうち、口の形は食べ物に、脚の形は暮らしている場所に関係が深いとあり、いろいろな例があげられています。選択肢だけ見ると、かなり詳しい知識が必要な問題のように感じますが、問題文の中にヒントがちりばめられていて、きちんと読み取れば解答できるようになっています。

(1)

基本の知識です。アカイエカのメスは動物やヒトの血液を吸います。草食動物のアブラゼミは樹液、モンシロチョウは花のみつを吸います。

(2)

トノサマバッタの口は、草の葉を食べるのに適しています。

(3)

バッタはジャンプし、マツモムシはオールのような後ろ脚で水をかいて進みます。

(4)

問題文の説明がそのまま選択肢の図になっています。だ円形のからだつきで、オールのような脚があるので、マツモムシは「1」とわかります。前脚だけが大きくからだ全体が円筒形になっているケラは「5」です。

(生物)植物の分類に関する問題。
図6のA~Cが大まかなため、戸惑った生徒もいたのではないでしょうか。これは、(1)の選択肢を見ると、解決できます。
10個の〇に囲まれたグループは、「××科」や「△△類」といった分類学の名前で考えます。

(1)

Aは葉・茎、Bはつぼみ・実・種子、Cは根・地下茎・球根の部分を食べています。

(2)

アはキク科でシュンギク、イは単子葉類でタマネギ、ウはアブラナ科でキャベツ、エはマメ科でエンドウ、オはウリ科でキュウリ、カはナス科でジャガイモがあてはまります。
アがキク科であると気づいた生徒は少なかったではないでしょうか。しかしながら、他の分類がかなり標準的なので、消去法で大体の見当をつけることはできたかもしれません。

(3)

キク科の植物の特徴を選びます。タンポポやヒマワリなどの花を思い浮かべるとよいでしょう。

合否を分けた一題

難化が著しかった今年の中等部にあっては、多くの生徒が正答できなかったと考えられる問題よりも、丁寧に拾えば正答できる問題をきちんと処理できたかどうかが、合否を分けるポイントとなったのではないでしょうか。
月の問題は、根本原理をきちんと理解していれば、条件が複雑になり処理すべき情報が多くなったとしても、定石どおりに処理することで必ず正答できます。
問題文に「満月から次の満月までにおよそ29日かかります。」とあるので、この数字を使います。

(3)

ひとつひとつ、段階をふんで考えます。
7/20の月の形(月齢)は?→上弦の月と満月の間(約11日の月)
7/20から9/20までの何日?→31+31=62(日)
9/20の月齢は?→62=29+29+4 11+4=15(日)で、満月です。
満月が午後9時に見える方角は?→南東

(4)

(3)同様、段階をふんで考えます。
2/20の月の形(月齢)は?→上弦の月(約7日の月)
翌年の2/20までの何日?→365(日)
翌年の2/20の月齢は?→365=29×12+17 7+17=24(日)で、下弦の月と新月の間です。
翌年の2/20の月が午後6時に見える方角は?→見えない。

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