円周率計算はまとめる、つまり「×3.14」の計算は最後に1回だけ行うのが当然ですが、身についていない生徒は案外います。こんな“できて当然”のことが合否を分けるのです。
初学者に対しては、円周率計算をまとめる習慣付けを徹底します。さらに、頻繁に出てくる円周率計算の数値は暗記してもらいます。
問題なのは指導開始時に既にまとめない習慣がついてしまっている生徒。「まとめる方が慣れていないので時間がかかる」だとか「まとめると逆にミスしてしまう」なんてことを言う生徒もいますが、要はまとめる練習を怠ったがゆえの結果ですので、必ず改めてもらいます。算数においては、複数の解法を駆使できる生徒が強いことは確かです。
私自身、テキストの解説以外の解き方を自分なりに考えようとする生徒の姿勢はおおいに尊重しています。ただし、円周率計算については生徒の個性を発揮する余地はないでしょう。
円周率以外の小数計算については、計算の工夫をしようにもできないタイプが多く、辛抱強く処理していくしかありません。
小数計算はどの塾でも4年生の学習内容です。5年生になると分数中心の計算になり、小数・分数混合計算でも分数に直して計算するケースが多いため、小数に触れる機会が極端に少なくなります。分数計算の手際良さに慣れてしまうと、小数の筆算が面倒になるのが普通の感覚でしょう。
5・6年で塾ごとの計算練習用教材に定期的に小数計算が含まれていれば問題ありませんが、大幅に間隔があくようであれば適宜組み込んでいきます。
周期・規則性・条件整理・場合の数の問題において要求される“丁寧に堅実に”書き出す力・整理する力。そんな腕力を養成するためには、端的に言えば雙葉的王道問題の演習を積み重ねることです。
最近は解法選択がカギのスマートに解ける問題が徐々に増えてきましたが、それでも他校の入試問題と比べればやはり丁寧さを要求する度合いは極めて高いと言えます。面倒がらず取り組みましょう。
なお、上位校がこぞって出題する不定方程式も雙葉中で出題例がありますが、男子難関校及び桜蔭中が出題するレベルの問題は過去において2005年度[4][6]のみ。雙葉中志望者には解けないでしょうし、解けなくても合否に影響しません。
「所要時間を短くするために工夫の余地はあるけれども、“丁寧に慎重に”書き出していくうちに答えがすべて求められてしまう」のが雙葉的王道問題。このタイプの問題演習を過去問演習と並行して積み重ねていきます。
コテコテの不定方程式全般に強くなる必要はないのです。あくまでも、雙葉的王道問題に特化して正答率を上げていきましょう。