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理科の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・理科の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

問1 1 B  2 B  3 A  4 A  5 A
問2 1 A  2 A  3 A  4 A  5 A  6 A  7 B  8 A
9 B
問3 1 A  2 A  3 A  4 B  5 A  6 B
問4 1 A  2 A  3 A  4 A  5 A  6 B

A…慶應義塾普通部合格を目指すなら必ず得点したい問題
B…やや難しく差がつく問題
C…難問

出題総評

2017年度の慶應普通部は、例年通り、基本的知識を問う問題が中心です。しかしながら、生物分野の問題は、植物と動物が、それぞれ大設問1題ずつ出され、普通部特有のマニアックも問題を含むものでした。一方、物理分野の問題がなく、計算は、化学分野の反応のデータを処理するだけのものでした。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、普段から生活に関連したことがらを、理科的な視点で考える姿勢をもつことが大切です。食材の食べ方や調理方法については、特に、知識欲をはたらかせましょう。また、生物ととりまく環境との関係は、他の学校の入試問題においても、取りあげられることが多くなっています。自分のことばで説明できるように、練習しておきましょう。

問題構成は、3分野から大問4題、小問48問。
解答形式は、言語が11問、記号選択が30問、作図が2問、記述が5問で、昨年はあった数字が0問。作図は、いずれも目にしたことがあるものでありながら、図に描くとなると、迷ってしまうものだったかもしれません。記述は、いずれも10字程度で、取り組みやすくなっています。計算が必要な問題は、どれも平易で、回答形式も選択肢であるため、負担は少なくなっています。一方、選択肢には、「すべて」選ばせる問題が多く見られ、限られた時間で得点に結びつけるためには、確かな知識力とすばやい判断が必要です。

問題別寸評

問1

(化学)液体の性質と反応についての問題です。
5つの液体のうち、水溶液は3つと、典型的な水溶液の問題とは、一線を画しています。一部、マニアックな知識を含んでいるので、そこで悩んで時間をとられないように注意しましょう。基本的な知識で対応できるところで、確実に得点することが大切です。

それぞれについて、1つ選ぶ問題ですが、あてはまるものがない場合も想定しなければならず、実に悩ましい問題です。わかるものから回答し、深追いして時間を消費しないように注意しましょう。
(ア)フランベ(アルコール度数の高い酒をフライパンの中に落とし、一気にアルコール分を飛ばす調理法)をイメージしてみましょう。料理酒を煮切るときも、炎を出して燃えるようすが見られます。
(イ)石油ストーブをイメージしてみましょう。着火や消火のときに、少なからずすすが出ます。
(ウ)一つ選ぶとすれば、食酢です。灯油は、変質すると黄色がかってくることがあります。
(エ)水溶液のうち、溶質が固体のもの(食塩水)は、水が蒸発すると、とけきれなくたった固体が出てきます。
(オ)水溶液の中から選びます。過酸化水素水は弱い酸性、食塩水は中性、食酢は酸性ですから、あてはまるものがありません。

「すべて」選ぶ選択肢の問題です。1よりさらに、悩ましい内容になっています。
(カ)燃料用アルコールには、メタノールとエタノールが混ぜてあります。
(キ)赤液温度計には、アルコールを使ったものと、灯油を使ったものがあります。どちらも、着色して使います。
(ク)傷口の消毒に使われるオキシドールは、3%前後の過酸化水素水です。アルコールも、消毒に使われます。
(ケ)炭酸飲料は、炭酸水(二酸化炭素の水溶液)を含むものなので、×です。
(コ)キャンプなどで使用するアルコールストーブは、主に調理が目的です。暖房器具としては、灯油があてはまります。

過酸化水素水は二酸化マンガンを入れると、水と酸素に分解されます。酸素の発生量は、過酸化水素水の量に比例します。表1から、過酸化水素水10gが分解されると、酸素100mLが発生することがわかります。分解で発生した酸素は、空気中ににげるので、気体発生後の液の重さは、はじめの過酸化水素水より軽くなります。

食酢にふくまれている酢酸と、卵の殻にふくまれている炭酸カルシウムが反応して、二酸化炭素が発生します。表2から、卵の殻0.4gと食酢10gが過不足なく反応して、二酸化炭素80mLが発生することがわかります。
(ナ)卵の殻が余ります。発生する二酸化炭素は160mLです。
(ヌ)食酢が余ります。発生する二酸化炭素は240mLです。

③は酸素、④は二酸化炭素です。
(ハ)酸素は、空気中に約21%含まれています。
(ヒ)二酸化炭素の水溶液は炭酸水です。酸素は水にわずかに溶けていて、水中でエラ呼吸する生物が取り入れます。
(フ)オゾン層を破壊する物質には、フロンガスがあります。
(へ)酸素・二酸化炭素ともに、空気より重い気体です。
(ホ)燃料電池は、水素を燃焼させてエネルギーを得ます。水素を燃やすには、酸素が必要です。

問2

(生物)マメ科の植物に関する問題です。
イネ科・キク科についで、マメ科には多くの種類があります。マメ科の植物の主なものは、あげられるようにしておきましょう。食用になるものも多く、生活に結びついた題材が多く出され、普通部らしい問題といえます。

マメ科の植物は、熱帯から寒帯まで世界中に広く分布しています。直立生またはつる生の草本、低木または高木のものもあり、サヤの中に種子ができます。花弁の数は5枚です。

花弁はふつう、3種類5枚で、左右対称です。特徴のある形から、蝶形花とよばれます。

カラスノエンドウの葉は、偶数枚が互生し、先端にまきひげがあります。また、葉のつけねの茎から分れるところに、蜜腺があるのが特徴です。マメ科の植物の特徴を、きちんととらえているかを確かめる問題です。

いずれも食用になるので、目にしたことがあるのではないでしょうか。サヤから取り出したときの種子の大きさは、ソラマメ>ラッカセイ>ダイズの順です。

エダマメの収穫時期は、ふつう7月から8月ごろで、期間は1週間ほどです。

ダイズが原料のものには、きな粉・しょうゆ・豆腐・納豆があります。
うどん粉は小麦粉、片栗粉はジャガイモ、バターは牛乳が原料です。
砂糖は、サトウキビやサトウダイコンからつくります。食酢やみりんは、穀類を発酵させてつくります。

白あんは、種子が白色のインゲンを使います。

インゲンはサヤインゲンとして食べます。エンドウは、未熟な種子をサヤからはずして、グリーンピースとしてたべます。サヤごと食べるスナップエンドウは、アメリカから導入された、エンドウの品種です。

育てた環境に着目します。「世話をせずに放って」おいたので、水やりの頻度は少なかったと考えます。ラッカセイは、病虫害に強く、水やりは少な目でよく、日当たりがよい場所でよく育つことがわかります。実際には、根に根粒菌がいて、空気中の窒素を肥料とすることができるので、人の手によって肥料を与える必要がありません。

問3

(生物)身近な昆虫に関する問題。
野原にいるような種類だけでなく、ゴキブリのように、ヒトと共存しているものも含んでいて、普通部らしい問題といえます。

①はアカトンボ、②はカブトムシ、③はナナホシテントウ、④はトノサマバッタ、⑤はオオカマキリ、⑥はクロゴキブリです。完全変態か不完全変態か、冬越しのようすはどうかといった基本の知識は、おさえておきましょう。特に完全変態の昆虫は、幼虫と成虫で食べ物が大きく異なることが多いので、注意が必要です。

樹木の樹液に集まる昆虫は、カブトムシやクワガタのほか、カナブンやオオムラサキがあります。オオムラサキは、日本の国蝶です。

アカトンボは水中、カブトムシ・トノサマバッタは地中、ナナホシテントウは葉の裏、オオカマキリは草の茎や木の枝、クロゴキブリは人家などに産卵します。

夏から秋に草むらで、成虫が飛んでいるすがたが見られることから、アカトンボと考えられます。アカトンボは、群れをなして、さまざまな場所に移動して夏を過ごし、秋になると産卵場所に戻って交尾・産卵をます。

基本的な昆虫のすがたを、絵に描けるようにしておきましょう。特に、あしの数、羽の形やつきかたは、かき分けられるようにしておきましょう。

人家の中や付近は、生ごみなどのエサが豊富で、一年中あたたかいので、過ごしやすい環境といえます。

問4

(地学)月の見え方に関する問題。
望遠鏡で月の表面を観察し、これまでに起こったことを考察する問題です。未知の知識を含む部分は、作問者の意図を推し量りながら考えます。

望遠鏡は、上下左右が逆に見えます。顕微鏡も同様です。基本の知識ですから、確実に得点すべき問題です。

図1は、望遠鏡で観察したものですから、実際の月は、上弦の月です。上弦の月は、夕方に南中します。

(サ)ある時期、月で発生したマグマが、深いクレーターの底から噴出して、クレーターを平らにうめたところを、月の海といい、玄武岩の黒色をしています。
(シ)クレーターは、隕石が落下してできたくぼみですから、その分布は均等ではありません。
(ス)遮光板が必要なのは、太陽を観察するときです。
(セ)日食は、太陽の前を月が横切る現象です。

地球にも、隕石が落ちると、クレーターができます。しかし、火山活動や地殻の変動、水の流れのはたらきなどで、大地のようすが変化するうちに、目立たなくなりました。

3の(サ)を参照。

合否を分けた一題で取り上げます。

合否を分けた一題

見たことがない題材についての問題に取り組むとき、圧倒的に知識がない場合であっても、とにかく、手さぐりで進むしかありません。では、何をてがかりにすればよいのでしょうか。
実は、ここで、着目すべきは、3~6の問題の流れそのものになります。
3~5の小問に取り組んだ結果、おさえておくべきことがらは、
①クレーターは、月面のいたるところでできている。
②月のクレーターは、地球とちがって、消えることがない。
③月の海は、かつて、マグマで埋められたところである。
の3つです。

問4

この問題では、「大地がつくられた順」たずねています。
…「大地がつくられた順」がちがうというのは、どういうことでしょうか?
ここで、図3の区切られた地域A~Dの、クレーターの数のちがいに着目します。
①・②をそのままに考えると、時間が経てばたつほど、クレーターの数は均等に多くなるはずです。
しかし、大きさの大小はあるものの、Aは5.5個、Bは0個、Cは4個、Dは2個と、数にちがいがあります。なぜ、このようなちがいがあるのでしょうか?
A~Dは、どれも月の海の中の土地です。そこで、それぞれマグマで埋められた土地であり、噴火の時期が、それぞれちがうのではないかと推測できます。それが、つまり、「大地がつくられた順」にあたるのです。つまり、クレーターの数は少なければ、土地は新しく、クレーターの数が多ければ、土地は古いのではないかと、考えることができるのです。
クレーターの数を数えることを、クレーターカウンティングといいます。これは、月面のある地域のクレーターの数を数えて、その地域にどれくらいクレーターが密集しているかを調べる方法です。
いろいろな仮定がなければ成り立たない手法ですが、問題解決の方法の一つとして、おおざっぱな予想であっても、ある程度の整合性があることがあります。そういった手法の一つとして、取り組んでみましょう。

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