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理科の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・理科の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

1 問1 B 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 
2 問1 A 問2 C 問3 B 問4 ① A ② B ③ C 問5 C 問6 C 問7 C
3 問1 A 問2(1)B (2)B
4 問1 B 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A

A…合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2021年度の慶応普通部の理科は、大問1が化学分野(水溶液)、大問2が生物分野(アオダイショウの生態)、大問3が物理分野(浮力)、大問4が地学分野(地層・チバニアン)と、4分野からまんべんなく出題されています。解答箇所は44箇所と多く、基本的な問題は手早く処理をしなければならない一方で、問題による難度の差が大きく、解くのを後回しにする、飛ばしてしまうといった判断力も重要でした。

問題別寸評

化学分野、水溶液の性質の問題です。水溶液の分類を正確に行うことができれば、後半の知識問題でしっかり得点出来るはずです。計算問題が1題出題されましたが、非常に易しい問題でした。

問1

与えられた実験結果から水溶液を分類していく典型題でした。ただし、酸性でにおいがあり、蒸発させると黒い固体が残るAの水溶液だけは、分類に失敗した受験生もいたかもしれません。

問2

問1で分類が正確に出来ていれば手早く処理できます。水酸化ナトリウム水溶液と石灰水の分類が出来ればいいわけです。

問3

計算問題でしたが、蒸発皿の重さを引いて考えることが出来れば易しい問題でした。

問4

砂糖には炭素が含まれている、という基礎知識を問う問題でした。多くの受験生が正解したのではないかと思われます。

     

問5

水溶液と金属反応についての問題です。アルミニウムを溶かすのは水酸化ナトリウム水溶液となります。

問6

水酸化ナトリウム水溶液とアルミニウムが反応すると水素が発生します。水素の性質についての知識があれば正答できる問題です。

生物分野、アオダイショウの生態についての問題です。アオダイショウの生態や特徴について詳しく知っている受験生は少ないでしょうから、与えられたヒント・学習した知識をフル活用して臨むことになります。難度の高い大問でした。

問1

ヘビはは虫類です。「イモリ」「ヤモリ」で迷った受験生もいたのではないでしょうか。確実に正解したい問題でした。

問2

アオダイショウが人里近くで見られる理由についての記述問題でした。アオダイショウのエサが、ネズミやカエルであることを知っていれば正答出来たかもしれませんが、思い切って飛ばしてしまうのも手でしょう。難しい問題でした。

問3

子どものアオダイショウがマムシに擬態することでなぜ身を守れるのか、その理由を答えさせる記述問題でした。問2と比較すると理由も想像しやすく、解答しやすかったかもしれません。

問4

①ナナフシが木の枝に擬態することは知っている受験生も多かったのではないでしょうか。②2回脱皮したアゲハチョウの幼虫は鳥のフンのような模様になります。③トラカミキリはスズメバチに擬態します。③はかなり難しいので、①②をしっかり正解したいところです。

問5

ヘビの骨格についての問題でした。ヘビはセキツイ動物ですので、「背骨」があることは容易に想像がつきますが、標本を見たことがなければ「肋骨」は答えられなかったかもしれません。また、肺のひとつが退化して小さくなっていることを知っていた受験生はほぼいなかったでしょう。リード文の「2つある」というヒントから答えるしかありません。ヘビの住処については、想像がついた受験生が多かったと思います。

問6

昆虫や甲殻類などの節足動物は成長のため脱皮を行います。また、カエルも皮膚の更新・成長のため脱皮を行います。ウシガエルを除いてしまった受験生が多かったのではないでしょうか。

問7

ヘビの腹のうろこは腹板といい、小さな突起などに腹板を押し付け、前進の足掛かりにしています。普段接地しているのは腹側のため、大きなウロコで腹板を引っかけやすくしています。非常に難しい問題でした。

物理分野、「浮力」についての問題です。表・グラフの読み取りがメインテーマでもありましたが、浮力計算の基礎知識、条件の読み取りを正確に行うことが出来れば全問正解も狙える大問でした。

問1

解答箇所が8箇所もありましたが、どれも基本的な問題です。しっかりとすべて正答しておきたい問題でした。

問2

(1)条件を正確に読み取ることが出来れば問題なくグラフが書けたと思われます。
(2)合否を分けた一題で後ほど解説いたします。

地学分野、チバニアンをテーマとした問題です。といっても、化石や火山灰についての基礎知識を問う問題がほとんどでした。

問1

地層の観察に適した服装とその理由を答えさせる問題でした。「夏の晴れた日に」と問題にありますが、長そで長ズボン、帽子をかぶっているウが正解になります。野外観察ではすり傷、切り傷、虫刺されの危険があるため、なるべく肌の露出を少なくし、身体を守ることが必要です。

問2

貝の化石から、当時の環境を答えさせる問題でした。ここは正解した受験生が多かったと思われます。

問3

火山灰の地層が陸上で風化したと考えることが出来れば正解できたのではないでしょうか。雨、風、温度変化などが答えとして挙げられます。

問4

千葉セクションをニュースなどで見たことがある受験生は、厚く堆積している様子を想像できたでしょう。

問5

火山灰は決まった時期に、広い範囲に地層を作ります。基本的な知識ですので、正答率は高かったと予想されます。

問6

一見難しそうですが、「現在の地球と同じ」というヒントに気付けば容易に正解できる問題でした。

合否を分けた一題

【問題】大問3
(2)

  
表とグラフ、そして木片の大きさによる初期条件のわずかな違いなど、考慮すべき事柄が多く、合否に影響したと思われます。

重さ
(g)

(cm)

(cm)
高さ
(cm)
水面上の長さ
(cm)
密度
B 300 10 10 10 7.0 0.3
C 500 10 10 10 5.0 0.5
F 256 8 8 8 4.0 0.5
G 409.6 8 8 8 1.6 0.8

2021_gouhi_rika01
木片の上部が水面から15㎝はなれた状態を最初の位置とし、そこから木片を下げていったときのバネばかりの示す値を考える問題でした。
ポイントは3つです。木片の重さ、バネばかりの示す値が最初に変化する瞬間、0になる瞬間に注目します。縦の長さが10㎝の木片は、最初の位置から5㎝下げると下部が水面に到達し、そこから少しでも木片を下げると浮力がはたらき始めます。縦の長さが8㎝の木片は7㎝下げると下部が水面に到達し、そこから少しでも木片を下げると浮力がはたらき始めます。また、バネばかりの示す値が0になる位置を明確にするために、表に新たな情報を書き加えます。

重さ
(g)

(cm)

(cm)
高さ
(cm)
水面上の長さ
(cm)
水面下の長さ
(cm)
密度
B 300 10 10 10 7.0 3.0 0.3
C 500 10 10 10 5.0 5.0 0.5
F 256 8 8 8 4.0 4.0 0.5
G 409.6 8 8 8 1.6 6.4 0.8

※ 水面下の長さは(おもりの縦)-(水面上の長さ)で計算しています。

これで準備は整いました。
Bは300gですので、候補は(ク)です。縦の長さが10㎝なので、浮力がはたらき始めるのは5㎝のところです。また、水面下に沈むのは表より3㎝ですので5+3=8㎝のところでバネばかりの示す値は0gになります。よってBは(ク)と一致します。

Cは500gですので、候補は(カ)です。縦の長さが10㎝なので、浮力がはたらき始めるのは5㎝のところです。ですが、(カ)のグラフは7㎝のところから浮力がはたらき始めています。よって、Cは(カ)ではありません。

Fは256gですので、候補は(ケ)です。縦の長さが8㎝なので、浮力がはたらき始めるのは7㎝のところです。また、水面下に沈むのは表より4㎝ですので7+4=11㎝のところでバネばかりの示す値は0gになります。よってCは(ケ)と一致します。

Gは409.6gですので、候補は(キ)です。縦の長さが8㎝なので、浮力がはたらき始めるのは7㎝のところです。また、水面下に沈むのは表より6.4㎝ですので7+6.4=13.4㎝のところでバネばかりの示す値は0gになります。よってGは(キ)と一致します。

(カ)~(コ)の中から、B・C・F・Gではないものは(カ)、(コ)となります。

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