では、2012年度の合否を分けた一題として、難易度のわりには得点差がついたであろう[2](2)を取り上げます。
[2] 1から100までの整数を1つずつ書いたカード100枚を、下のような手順でア~オの箱に入れていきます。
スタート
↓
≪5で割りきれるか≫ → はい → ≪3で割りきれるか≫ → はい → 箱ア
↓ ↓
いいえ いいえ
↓ ↓
≪6で割りきれるか≫ → はい → 箱ウ 箱イ
↓
いいえ
↓
≪7で割りきれるか≫ → はい → 箱エ
↓
いいえ
↓
箱オ
(2)ア~オの箱に入るカードの枚数をそれぞれ答えなさい。
それぞれの箱にどのような数が入るのかを考えるにあたって、見通しを良くするためにベン図を書いていきましょう。
箱ア: 「5でも3でも割りきれる数」 = ベン図のBの部分 = 「15の倍数」
100÷15=6 あまり10 より 6枚
箱イ: 「5で割りきれるが3では割りきれない数」 = ベン図のAの部分
5の倍数から15の倍数をひけばよい
5の倍数は 100÷5=20枚
よって 20-6=14枚
5 3
B
A C
箱ウ: 「6で割りきれるが5では割りきれない数」 = ベン図のFの部分
6の倍数から30の倍数をひけばよい
6の倍数は 100÷6=16 あまり4 より16枚
30の倍数は 100÷30=3 あまり10 より3枚
よって 16-3=13枚
5 6
E
D F
箱エ: 「7で割りきれるが5と6では割りきれない数」 = ベン図のJの部分
7の倍数からG・H・Iをひけばよい
7の倍数は 100÷7=14 あまり2 より14枚
Hは210の倍数なので 1~100では0枚
Gは35の倍数からH(0枚)をひけばよいので 100÷35=2 あまり30 より2枚
Iは42の倍数からH(0枚)をひけばよいので 100÷42=2 あまり16 より2枚
よって 14-(2+2)=10枚
5 6
H
G I
J
7
箱オ: 「5でも6でも7でも割りきれない数」 = ベン図の外側
ベン図の内側は 5の倍数+I+J+M
MはFからIをひけばよいので 13-2=11枚
ベン図の内側は 20+2+10+11=43枚
よってベン図の外側は 100-43=57枚
5 6
K L M
H
G I
J
7
平易ではあるものの思いのほか処理量が多く、まずは設問ごとにベン図を書いて見通しを良くしておかないとミスをしやすい問題です。また、ア~オと連続するため、アが誤答だと連鎖的に残りも全て失点し、大きく得点差がついてしまうという怖さがあります。
今年度の入試では、この[2](2)と[6](2)が処理量の多い問題です。[6](2)はさほど合否に影響しないでしょうが、[2](2)は確実に得点したい問題でした。