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社会の合否を分けた一題

女子学院中入試対策・社会の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

問1 B 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 B
問7 A 問8 A 問9 B 問10 (1)A (2)A 問11 A
問12 B 問13 A 問14 A 問15 A
問1(1)A (2)B 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A
問6 A 問7 A
問1(1)A  (2)A 問2 B 問3(1)A (2)B 問4 A 問5 A
問6 A 問7 A 問8(1)A (2)A 問9 B 問10 B 問11 C
問1(1)A (2)A 問2(1)A (2)A 問3 A 
問4(1)A (2)A 問5 A 問6 A

A…女子学院を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2021年度の女子学院中の社会は、2016~20年と比較して記述問題の出題数が少ない代わりに約50問と全体の問題数としては多く、依然として情報をスピーディーに判断する能力、ち密な知識が求められた問題だったといえます。
さらに複数の選択肢を選ぶ問題、間違っているものを選ぶ問題も混在していますので、過去問を通じた時間配分のトレーニングに加え、判断に迷う問題はいったん解答を出しておいて先に進む思い切りの良さも必要でした。
紛らわしい情報が含まれた選択肢が女子学院の特徴です。知らないことが出てきたとしても焦らず、選択肢同士の矛盾や、時代背景から考えてありえないものを除外して状況から正解を導くことができる問題もあります。諦めずに取り組みましょう。

問題別寸評

【Ⅰ】

(歴史分野/地理分野)縄文時代から現在までの人々の暮らしと食をテーマにした、歴史分野中心の複合問題です。テーマ史の問題では、リード文を読む際に時代の変化に着目し、時代ごとに本文を区切りながら読んでいくとスムーズに問題に取り組むことができます。

問1

【絵1】(平安時代の竪穴住居)と【絵3】(室町時代の京都の町家)を比較し、【絵2】(室町時代の大鋸)にふれて家の建て方の変化を説明する問題です。字数指定はありませんが、1行あたり30~40字で2行分、つまり60~80字程度でまとめるのがよいでしょう。

変化を説明する記述問題では、以下の型を使うと簡潔に述べることができます。


変化のきっかけは【絵2】に見られる大鋸により木材の加工が容易になったことだと考えられます。

【絵1】竪穴住居と、【絵3】京都の町家では、それぞれどのように木材を使用しているでしょうか。

木材を中心部の柱に向かって立てかけて、その上に屋根をふいている竪穴住居に対し、京都の町家は木材を板状や四角い柱状に加工し、柱と壁で建物を作っていますね。以上を型にあてはめて説明するとよいでしょう。

問3

「平安時代までの食事は、食べる際に自分で塩などをつけて味付けするという単純なものでした」とありますので、加工食品である佃煮が含まれるウが誤りです。

問4

「4世紀から6世紀」、つまり古墳時代のできごとでないものを選びます。

イ まわりを堀やさくで囲んだ集落とは環濠集落のことですから、弥生時代について述べた文です。

エ 古事記(712年完成)や日本書紀(720年完成)がまとめられたのは奈良時代のことです。

問5

地方の特産物を都に運ぶ税、「調」について説明する記述問題です。確実に正解したい問題でした。

問6

ア ぼんおどりの起源は諸説あり、一説には平安時代に空也上人が始めた「念仏踊」が発展したものだとも言われていますが、文献に記録が表れるのは室町時代のことです。

ウ 能は猿楽から発展し、室町時代に3代将軍足利義満の保護を受けた観阿弥・世阿弥親子が大成させました。

エ 歌舞伎は安土桃山時代に出雲阿国が始めたとされる「かぶき踊り」が発展し、江戸時代に庶民の娯楽として流行しました。

オ 人形浄瑠璃は、安土桃山時代に成立し、特に江戸時代初期の元禄文化のころに流行しました。

問7

鎌倉時代のできごとのうち、正しいものを2つ選ぶ問題です。守護の働き、御家人の義務、鎌倉の新仏教など用語の意味や固有名詞に注意して選びましょう。

ア 守護の役割は軍事・警察で、年貢の取り立ては荘園ごとにおかれた地頭の仕事です。

イ 御家人による「奉公」とは、将軍に忠誠をちかい、幕府に危機が迫ったときに鎌倉にかけつけて将軍のために働くことをいいます。

エ 「朝廷に命令して」が誤り。

カ 一遍は踊念仏を広めた時宗の開祖。比叡山延暦寺は、最澄が開いた天台宗の総本山。

問8

14・15世紀前後のできごとの時代整序問題です。

ア 南北朝の分立は、1346~1392のことです。室町幕府の3代将軍が南北朝の合一をなしとげました。

イ 銀閣は、8代将軍足利義政の別荘として作られました。

ウ 六波羅探題は、足利尊氏により1333年に滅ぼされました。鎌倉幕府の元御家人である足利尊氏が六波羅探題、新田義貞が鎌倉をそれぞれ攻め落としたことで鎌倉幕府が滅亡します。

エ 室町幕府の3代将軍足利義満は1401年に明・朝鮮との国交を開き、1404年に明との朝貢貿易を開始しますが、このとき義満はすでに将軍の職を退いていました。

これらを古い順に並べると、ウ⇒ア⇒エ⇒イ となります。

問9

「生産量」という言葉は養殖の場合に使います。

昆布の生産量が多い県は、多い順に北海道、岩手県です。

かつおの漁獲量が多い県は、静岡県、東京都、三重県です。

仮に順位を覚えていなかったとしても、養殖を行っている場所(利尻・羅臼)や水揚げされる港(焼津港)を思い出すことができれば十分正解の選択肢を選ぶことができます。

問12

サトウキビについて述べた文のうち、まちがっているものを選びます。

サトウキビの生産地として有名な沖縄県の気候の特徴を考え、消去法で選んでいくのがよいでしょう。

エ が誤りで、日本産の砂糖は、8割がてんさい(ビート)から作られています。

問13

取りつぶしにあった大名の土地は幕府のもの(天領)になり、直轄地として幕府が治めるか、親藩・譜代大名に与えるなどして幕府の力を増すために用いられました。

問14

明治時代には、地租改正により、土地の値段の3%(のちに2.5%)を米で納めさせました。収穫高ではなく土地の値段に対してかけられた税であるため、豊作であったとしても税率が変わることはありませんでした。

問15

ア 調理済みの冷凍食品が広まったのは、電気冷蔵庫が普及した第二次世界大戦後のことです。1964年の東京オリンピックを機にまず外食向けの生産が広まり、1980年代には電子レンジの普及と併せて家庭向けの商品が広まりました。

イ 鹿鳴館は明治時代、井上馨による欧化政策の一環として建てられたもので、お雇い外国人のコンドルが設計しました。

ウ 「第一次世界大戦」とあるので大正時代ごろのことです。

エ 雑炊やすいとんが代用食として食べられたのは日中戦争~太平洋戦争末期のことです。

以上を並べ替えると、イ⇒ウ⇒エ⇒ア との順になります。

【Ⅱ】

(歴史分野/地理分野)昭和初期~現在にかけて、食料生産にまつわる開発とその影響をまとめたリード文を読んで答える、歴史・地理分野の複合問題です。

問2

学校給食の説明として誤っているものを選ぶ問題です。

エ 学校給食は、アメリカからの支援としてはじまったものでもともとはパン食が主でした。米飯が給食で頻繁に出されるようになった背景には、「米余り」の問題があります。生産量の増加・食の洋風化により米が余るようになり、学校給食で消費することになったのです。減反政策の開始と同時期のできごとでした。

カ オの選択肢と矛盾します。学校給食には、生徒に栄養バランスのとれた食事を提供するほか、食を通じて地域の食文化を伝える、外国の文化を知るという役割も期待されています。また地産地消の場としての役割ももっています。自分が食べている給食を思い浮かべれば、この選択肢は容易に選べたでしょう。

問6

扇状地は山地と平野の境目にできる傾斜地で、水はけがよいため水田には適さず果樹の栽培に向いています。

【Ⅲ】

(歴史分野/地理分野)穀物と食料自給率をテーマとした、地理分野の問題です。

問2

ア は広葉樹林、イ は畑、ウ は田、エ は荒れ地を表す地図記号です。牧草地を示すと「考えられる」ものを答える問題なので、消去法でイを解答とします。

問3(2)

カナダは世界屈指の農業国であり穀物に限らず食料自給率が世界一です。アの中華人民共和国は、生産量は多いのですが人口も多いため、穀物自給率としては90%台にとどまっています。イのサウジアラビアは砂漠に位置し、穀物自給率はわずか7%です。

問6

みかんは温暖で水はけのよい地形を好みます。ここから、一番北にあり寒さの厳しい埼玉県を選ぶとよいでしょう。

問8

定番の知識記述問題です。冬でも温かい気候を活かして他の生産地と野菜の出荷時期をずらすことで、より高い価格で販売することができ利益が多く得られます。

問9

鶏卵は、鮮度の問題と輸送中に割れてしまう心配があることから、米の自給率と同様95%程度を推移しています。

問10

合否を分けた一題で解説します。

問11

この問題は、今までに学習した知識を使って正解を導くことが難しく、合否には関係しなかったと思われます。選択肢を一読して時間がかかりそうであれば、ここで立ち止まらず先に進むのがよいでしょう。

ア カナダやフランス、イギリス、アメリカの食料自給率は100%を上回っているため誤り。

イ 正しい選択肢です。

ウ 正しい選択肢です。

エ 国の土壌が農業に不向きであるモルディブを始めとして、穀物の自給率がゼロの国がいくつか存在します。そのほか、砂漠におおわれた国も穀物の自給率が極端に低くなります。

今回の出題を機に、食料自給率や穀物自給率の高い国・低い国を調べ、国土・気候の特徴と照らし合わせて「なぜ自給率が高く/低くなるのか」を考えてみるのも、社会科的な考え方を養うトレーニングになりますので、ぜひ取り組んでみてください。

【Ⅳ】

(公民分野)政治・経済と人々の食や農業の関係を切り口にした問題です。国会・内閣・日本国憲法・税に関する問題・社会保障制度などから幅広く出題されました。

問2(2)

法律が成立するまでの流れは以下の通りです。必ず正解したい問題でした。

国会議員や内閣が法律案の提出⇒衆議院・参議院いずれかの委員会で審議⇒本会議で審議

⇒可決の場合、もう一方の議会の委員会で審議⇒本会議で審議、議決⇒成立

問3

ア 家畜(主にウシやヒツジ、ヤギ、ラクダなどの反すう動物)がおならやゲップとして排出するメタンガスは、世界のメタンガス排出量全体の約37%ともいわれます。植物由来の肉に切り替えることによって、温室効果ガスの排出量減少が見込めます。

エ 「宗教上の理由で牛肉を食べない」のは、ヒンドゥー教徒です。ヒンドゥー教では、牛(こぶ牛)は神聖なものとされ、人々が牛の肉を食べることはありません。インドはヒンドゥー教徒の多い国として知られています。

そのほか、イスラム教では豚の肉を食べることを禁止しています。

問4(1)

消費税について正しいものを選ぶ問題です。

ア 消費税は年齢にかかわりなく、物・サービスを購入したときにかかる税です。よって正しい選択肢です。

イ 収入の少ない人でも税率は変わりませんので、正しい選択肢です。このような問題の解消のため、所得税、住民税等に導入されているのが累進課税制度です。

ウ 税率を上げた場合、その後しばらくの間は支出が増えることを嫌い買い控えが起こるため消費が落ち込みます。よって誤り。

エ 税率を上げる直前には、増税により負担額が増える前に買い物をしてしまおうという「駆け込み需要」があります。よって誤り。

オ 内閣とは法律に基づいて政治を行う行政機関です。消費税増税には、それを決める法律の成立が必要になります。よって誤り。

問4(2)

消費税がかからないものには、保険適用の医療、出産費用、身体障害者用の物品、学校の授業料、入学金、学校の教科書代、入学試験検定料、役所の発行する住民票の写しなどの発行手数料などがあります。「消費税法」にくわしく定められています。

問5

日本において食料供給が今後数十年にわたって滞る原因となると考えられるものを4つ選びます。

食料安全保障に関する問題です。

ア 輸出国での紛争による輸送網の混乱は、一時的ではあっても数十年にわたり続くとは考えにくく、また、それだけの長期間続くようであればほかの国からの輸入も考えることになります。よって誤り。

イ 後継者育成には時間がかかるものですから、正解の選択肢です。

ウ 年間を通じて同じ畑で同じ作物を栽培し続けると、連作障害の危険があります。よって正解の選択肢です。

エ 天候不順による凶作により数十年単位の不作は考えにくいので誤り。

オ 温暖化の進行は作物の育つ環境に大きな影響を与えています。正解の選択肢です。

カ 「農作業に従事する外国人労働者の激減」が見られた場合、企業は募集の条件を見直して、日本に住む人の農作業に従事させると考えられます。よって誤り。

キ 一時的には安く生産することができても、土壌に与える悪影響の多い方法です。

ク アブラムシの寿命は30~40日間程度です。これが数十年単位で続くことは考えにくいです。誤った選択肢です。

合否を分けた1題

【Ⅲ】
問10
  1.  グラフから読み取った内容として誤っている選択肢を選ぶ、資料読み取り問題です。
  2.  選択肢の文言とグラフを見比べていきますが、その際にポイントとなるのは、以下の2点です。

グラフ・表のタイトルと縦軸・横軸が表している数値を確認する。同じ基準が用いられていれば両者を比較することができます。
選択肢の細部に目を配り、変化の内容に注目する。例えば、同じ減少傾向でも全体として下がっていっているものの、その間に少しずつ上がったり下がったりしているものと、初めから減少を続けているものとがあり、両者の指す内容を余すところなく言い換えた選択肢を選ぶことが重要です。

では、実際に選択肢を見てみましょう。グラフ2・グラフ3は、1965~2018年の間牛肉・豚肉の自給率と資料自給率を反映した自給率の推移を示すものです。

ア 「自給率は豚肉の方が高い状態を保ってきた」
⇒1965年~2018年までのすべてで、豚肉の自給率は牛肉を上回っています。よって正しい選択肢です。

イ 「牛肉と豚肉は、1980年代半ばから2000年代に海外からの輸入が特に増加した」
⇒海外からの輸入が増加するということは、自給率が低下するということです。1980年代~2000年代にかけて、牛肉・豚肉ともに自給率が低下します。2010年代に入るとグラフの傾きがゆるやかになることから、1980年代~2000年代は特に海外からの輸入が増えた時期だといえます。正しい選択肢です。

ウ 「1965年ころに注目すると、牛と豚の飼料の主な中身は異なると考えられる」
⇒1965年の「飼料自給率を反映した自給率」を見てください。牛肉の飼料自給率を反映した自給率が80%超であるのに対し、豚肉の方は40%を下回っています。同じ飼料を食べさせているのなら、このように飼料自給率を反映した自給率に違いが出るはずはありませんね。

エ 「豚は牛より国産の飼料の割合が高い状態が続いてきた」
⇒こちらも、「飼料自給率を反映した自給率」を見ます。牛肉は1965年の時点で80%であり、牛肉自体の自給率との差が小さいことから、国産の飼料を多く用いていたことがわかります。豚肉はその逆です。一貫して、豚肉の自給率と飼料自給率を反映した自給率の差が大きく、外国産の飼料を多く用いていたことがわかります。よって誤った選択肢です。

日本は、生産にかかる費用動物の高い飼料用トウモロコシを、アメリカをはじめとした外国からの輸入に頼っています。牛は草食で主に牧草を食べますが、豚は雑食で、トウモロコシや大豆を主な飼料とすることからこのような違いが生まれます。

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