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社会の合否を分けた一題

開成中入試対策・社会の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

問1 (A)A (B)A (C)A (D)B (E)A (F)A (G)A (H)A (I)C (J)B (K)B
問2 (1)C (2)B (3)B (4)A (5)A (6)A (7)A (8)B
問3 ① B  ② A  ③ B  ④ B  ⑤ A  ⑥ B  ⑦ A  ⑧ B  ⑨ A  ⑩ B  ⑪ A  ⑫ B  ⑬ B  ⑭ A  ⑮ A
問1 (1)A  (2)① A  ② A  ③ A  (3)A
問2 (1)A  (2)① A  ② B  ③ B
問3 (1)A  (2)A

A…開成中合格を目指すなら必ず得点したい問題
B…やや難しく差がつく問題
C…難問

出題総評

ここ数年、開成の社会は基礎的な知識を問う出題傾向でしたが、今年度は、ややマニアックな「東京問題」が復活しました(大問1)。荒川水系や隅田川にかかる橋の歴史と現在の様子に関する問題が出ました。普段から開成中学の周辺などの「東京」の地理・歴史についてまとめておくのが良いでしょう。

問題別寸評

問1

(A)江戸時代に河川工事によって、銚子に流れるように移動させたのは利根川です。
(B)江戸時代に新田開発を進めた結果、耕地面積は秀吉の頃の2倍に拡大しました。
(C)奈良時代に九州を守る兵役が防人、都を守るのが衛士です。農民の負担でした。 
(D)1180年、挙兵した源頼朝が平氏に敗れた戦い。頼朝は船で安房国に逃げました。 
(E)1338年、足利尊氏は征夷大将軍に任命され京都に幕府(室町幕府)を開きました。
(F)戦国大名の北条氏は相模国(神奈川県)の小田原を根拠に関東を支配しました。
(G)両国とは隅田川が武蔵国と下総国の国境であったことに由来します。
(H)両国の花火大会は隅田川の夏の風物詩です。
(I)日露戦争の激戦地である203高地の戦いの結果、旅順要塞の陥落に成功しました。
(J)1940年の東京オリンピックと万国博覧会は日中戦争の激化のため中止されました。
(K)世界最大の規模の卸売市場である築地市場は近く豊洲に移転が予定されています。

問2

(1)荒川水系で水塚とよばれる施設は濃尾平野の輪中では水屋と名称が変わります。
(2)紡績とは綿花から綿糸を紡ぐことです。鐘淵紡績は現在のカネボウです。
(3)参勤交代のため江戸には大名屋敷がありました。佐竹氏は出羽国の大名でした。
(4)1910年、韓国併合によって日本は朝鮮を完全に植民地化しました。
(5)奈良時代、紙は貴重だったため不要になった戸籍の裏などを利用しました。
(6)石山本願寺の跡地に豊臣秀吉は大阪城を築きました。
(7)下総(しもうさ)は千葉県北部を中心に茨城、埼玉、東京にまたがる旧国名。
(8)⇒合否を分けた一題を参照。

問3

① 江戸時代、荒川の上流部からは炭が、下流部からは塩が運ばれていました。
② 日清戦争の賠償金の一部で作られた八幡製鉄所の生産開始は1901年です。
③ 荒川と隅田川の分岐点は東京都北区にある岩淵水門です。
④ はばが広く上部に緑地や公園があるような堤防をスーパー堤防といいます。
⑤ 液状化現象は地震のときに起こります。
⑥ 渡来人は古墳時代ですから赤褐色の土器(弥生土器)が誤り。
⑦ 聖徳太子の時代にはまだ律令はありません。
⑧ 奈良時代の土地の区画(条里制)は班田収受と関係があります。
⑨ 城下町の形成は戦国時代です。
⑩ 上杉氏は室町時代、関東管領をつとめた有力な守護大名。
⑪ 豊臣秀吉の小田原攻めは1590年、朝鮮出兵は1592、1597年。
⑫ 日光街道・奥州街道の最初の宿場町は千住でした。
⑬ 北里柴三郎・志賀潔は明治時代の医学者。本居宣長は江戸時代の国学者。
⑭ ため池は瀬戸内地方などで干害対策のためにつくられた貯水池。
⑮ 1940年開催予定の東京オリンピックは日中戦争の長期化のため中止になりました。

問1

(1)1960年と2014年の日本の貿易構造の変化に注意しましょう。1960年当時はまだ繊維品・繊維原料の輸出入が最も多く、鉄鋼や船舶など素材型のモノの輸出も上位を占めていました。ところが、2014年では、機械類、自動車のような組み立て型の輸出が多くなっています。他方、輸入では石油が長い間1位でしたが、近年は製品輸入が増えています。機械類が輸出入とも最も多く加工貿易のすがたがうすれてきています。

(2)
① 現在、貿易港の1位は成田空港です。
② 名古屋港は自動車の輸出が多く輸出額が最も大きい貿易港です。
③ 石油化学の割合が最も大きい京葉工業地域にある千葉港は石油の輸入港。

(3)
1960年の機械類の輸入額=1兆4596億円×0.122=1780億円
2014年の機械類の輸入額=73兆0939億円×0.368=26兆8986億円
26兆8986億÷1780億=約151倍
1960年の機械類の輸出額=1兆6168億円×0.07=1132億円
2014年の機械類の輸出額=85兆9091億円×0.213=18兆2986億円
18兆2986億÷1132億=約162倍

問2

(1)おもな国からの代表的な輸入品は覚えておきましょう。オーストラリアは液化天然ガス、石炭、鉄鉱石。アラブ首長国連邦からは原油。韓国からは機械類、石油製品、鉄鋼。マレーシアは液化天然ガス。ブラジルは鉄鉱石、肉類、コーヒー。
フランスはぶどう酒やバッグ類などの輸入が特色です。また、おもな国の場所も世界地図で確認しておきましょう。

(2)
① アはタンカー、イは自動車専用船、ウはLNG専用船、エはコンテナ船。
② 天然ガス(気体)を冷やして液化天然ガス(液体)にすることで体積が小さくなります。その結果、一度に大量の天然ガスを運ぶことができます。
③ 2011年の東日本大震災によって原子力発電所の重大な事故が発生しました。それ以降、安全面から原子力発電所は稼動停止となり、その代わりに火力発電の割合が増えました。その結果、火力発電の燃料である液化天然ガスの輸入が増えました。

問3

(1)(2)FTA(自由貿易協定)は関税撤廃による国境を越えたモノの移動の自由化を目指します。EPA(経済連携協定)はFTAをもう一歩進めて、国境を越えたヒトやカネの移動の自由化や知的財産権に関する取り決めも含まれます。FTA・EPAは普通は二国間の条約ですが、TPP(環太平洋経済連携協定)は多国間で結ばれるEPAです。

合否を分けた一題

1970年以降、勝鬨橋が開かれなくなった理由を、10字以内の文で2つ答えなさい。
([1]問2(8))

東京都中央区隅田川の下流部にかけられている勝鬨橋は、日露戦争の激戦地203高地の戦いの勝利と旅順の陥落を祝ったこと(「勝どきを上げる」)に由来します。当時は隅田川を航行する船舶が多く、特に大型船舶の航行のために開閉する跳開橋(可動橋)として建設されました。ところが、高度経済成長期以降、モータリゼーションの時代に突入すると隅田川の水運は衰退して行きました。つまり、1970年以降、大型の船舶の航行が減少し、自動車の交通量が増えたために勝鬨橋が開閉しなくなりました。

今年の開成の社会の大問[1]は荒川水系と隅田川の周辺の歴史・地理にまつわる問題でした。本問題は今年の開成社会を象徴する問題として「合否を分けた一題」として取り上げました。単に知識の丸暗記だけではなく「なぜそうなんだ?」という疑問を抱き、歴史や地理の基礎知識に基づいて自分の頭で解答を考えるような練習を日頃からしてきた生徒に有利な問題でした。

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