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A…駒場東邦中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
例年と同じく、物語文一題での出題でした。2017年度、2018年度と比べれば本文の長さは若干短くなりましたが、それでも2016年度までと同程度の長さを読まなければならず、また本文も決して読みやすい平易な内容とは言えないため、本年も駒東らしくレベルの高い問題であったといえます。設問においては、物語文の基本である「人物の心情」を、中心人物の「夏」だけでなく他の登場人物についても正しく読み取ることが要求されています。普段から過去問などで長い物語文を素早く読み取ることに慣れておくこと、読む時点で心情が読み取れる表現やその理由などにチェックを入れながら読んでいく訓練を積んでおくことが必要です。
戸森しるこ『夏と百花とカルピス』より
漢字の書き取りです。特に難しいものはないので、丁寧に書いて全問正解を狙いたい問題です。
傍線部の理由を答える問題です。特に心情などに関するものではないため、そこまでの本文の内容から、「カフェに来る外国人観光客が七夕飾りを見て喜んでいたから」ということを答えれば良いでしょう。
本文中の言葉の意味を選んで答える問題です。Aは知らないと厳しいかもしれません。Bの方は前後の流れより「言い慣れなくて発音しづらい名前だったんだろうな」という想像をすることができれば、知らなくても正解することは十分に可能です。
傍線部の「夏」の父親の発言について、なぜ途中で言葉を言い直したのかを書いて答える問題です。少し前の部分で、百花とその両親がどこから来たのかを知った「夏」の両親が「国名を聞いたとたん、息をのんだ(予想外のことに驚いた)」ことと、「それはまた、なんというか、大変なところから」と父親が言葉を濁したことに着目します。国の名前を聞いて「大変なところ」と感じるということは、そこは平和ではない状態の国であると考えることができます。そんな状態の国から日本へ遊びに来る余裕があるとは考え難いので、父親は「観光」ではなく「滞在」という言葉を使うべきであると判断したのです。「観光」と「滞在」、これら二つの言葉の持つ意味の違いに着目できるかどうかを見る問題です。
傍線部の「夏」の心情を書いて答える問題です。基本的な問題ですので「きっかけ(出来事)+心情語」の基本形で確実に正解を狙いましょう。
傍線部の「夏」の様子としてふさわしいものを選ぶ問題です。顔をしかめる「しか」できないという表現や、その後に「テレビでよく見る……イメージする」という一文より、「夏」が戦争というものについてあまり具体的には想像できていないことがわかります。また、「顔をしかめる」という動作そのものには嫌悪感が込められていますので、心情についてはそちらから判断しましょう。
「夏」の母親の心情が読み取れる行動を探すという問題です。設問自体に「百花の家族が訪ねてきた場面でも」とかなり具体的に探すべき箇所の指示があります。また、母親は中心人物ではなく発言もほとんどありませんので、素直に「行動」を辿っていけば問題なく答えを見つけ出すことができると思います。
傍線部について、そのときの「夏」の心情を答える記述問題です。まずは傍線部の内容そのものを置き換えましょう。「自分の言葉があまりにもわざとらしくて、かえって恥ずかしくなった」といった内容になるかと思います。ここに、その言葉を発することになった背景を付け加え、80字に近付けていきます。「百花が店の前にいることには気づいていたのに、それをことさら喜んだりせず、何気なさを装おうとして『あ、この前の』という発言をした」ということになります。あとはこの2つの内容を組み合わせて仕上げていきましょう。
「夏」から見た「百花」の人物像としてふさわしいものを選ぶ問題です。設問の条件に従って、この傍線部の表現そのものと、「その他のクラスの女子についての記述」を参照していきます。傍線部自体には「まるくて小さなくせのある字」とあり、これはおそらく女の子の間で流行っている字体で、多くの女子がそれを使っているのだと読み取れます。そして傍線部より前に「クラスの口うるさい女子のように、口からぽんぽんと感情が飛んでこない」という表現がありますので、クラスの女子は口うるさく感情的であると「夏」が捉えていると読み取れます。上記内容と一致するもの、そして「百花」はそれと対照的な描写であることを考慮して、答えを絞り込んでいきましょう。
傍線部の「とうさん」の様子としてふさわしいものを選ぶ問題です。「きょとんとして」と「にやっと笑った」という2種類の心情表現がありますので、それぞれ確かめていきましょう。きょとんとする=意味がわからずぽかんとすること。つまり「夏」の「やめてよ」という反応の意味が初めは分からなかったということです。そして「にやっ」と笑うことと、その後の「おまえの話じゃない」という発言から、「とうさん」がどう了解したのかが分かります。「夏」は初恋の味というフレーズを聞いて、自分がからかわれたのだと思い、反発したのです。
傍線部の「とうさん」の発言の意図を答える問題です。「きみのパパのために」という表現から、「とうさん」は百花の父親の心情を慮ったのだと分かります。それまで戦争が起こりそうな国にいた百花が日本で初めてカルピスを飲むということは、平和な国に来て嗜好品(生活の上で必ずしも必要ではないもの)を楽しむということです。もといた国を離れるときにも、それまで支援してきた子供たちをおいてくることに罪悪感を抱いていたような優しい「パパ」ですから、百花に対しても不便を強いることへの申し訳なさは抱いていたのではないでしょうか。
「夏」の行動と百花への思いについて、ふさわしくないものを選ぶ問題です。記憶に頼って解くのではなく、本文の該当部分と照らし合わせれば、特にややこしい選択肢もなく解きやすい問題であったといえるでしょう。
本文内容に沿って、「夏」の願い事としてふさわしいものを考えて書くという問題です。「文脈をふまえて」という指示から、ある程度遡った内容まで考え、必要に応じて盛り込む必要があると考えることができます。短冊の内容を考えるのですから、「百花」が短冊に願い事を書いている場面まで戻ってみましょう。百花の「(カルピスを)また飲めますように」という願い、七夕がカルピスの日であるという偶然への驚き、そして別れの場面で二度と会えない可能性が高いことを悲しみつつも気持ちを言葉に出すことはできないという「夏」の様子……。ここで願うことといったら、「百花とまた会いたい」+「百花にまたカルピスを飲ませてあげたい」といった内容が考えられますね。これに加えて、この物語の時期が七夕であり、カルピスの日でもあるということの意味を考えると「来年の七夕にも、また百花がカルピスを飲みに店に来てくれますように」といった内容が最もふさわしいでしょう。
合否を分けた一題で解説します。
この文章での「カルピス」が、「世界平和」との関連においてどのようなものとして描かれているのかを書いて答える問題です。おそらく、カルピスが世界平和の象徴として登場しているということには、多くの受験生が気付いたのではないかと思います。そういう意味では空欄や×になってしまう設問ではありません。
問題は、残りの「本文中の具体的なエピソードに触れながら」をどこまで正確に盛り込めたか、という部分になるでしょう。
両方の要素をきちんと取り入れることで正解となります。
あとは、設問の条件に応じて、「~(名詞)として描かれている」という文末表現でまとめましょう。