[1] | (1) A (2) ① A ② B ③ A (3) B (4) ① A ② B (5) ① A ② A (6) B (7) A |
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[2] | (1) A (2) ① B ② B (3) ① B ② B ③ B ④ B (4) B (5) C |
[3] | (1) A (2) 問題不成立 (3) A (4) A (5) A (6) B |
[4] | ((1) A (2) A (3) B (4) A (5) B (6) B (7) C (8) C |
[5] | (1) A (2) A (3) B (4) C (5) C |
A…駒場東邦中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、解けなくてもやむなしとする問題
大問は、様々な分野が混ざった小問集合と、物理・化学・生物・地学の各分野から1題ずつの計5題で例年通りでしたが、小問にすると40題で、昨年の46問より少し減少していました。
内容的には、今年も非常にレベルの高い出題です。受験者平均は47.9点(80点満点)でした。これは、例年よりもやや低めだった昨年度より、さらに低い平均点です。合格者平均でも51.4点と、昨年比マイナス0.7点でした。
もちろん、お子様の得手不得手もありますし、教科ごとの難度の差もありますから一概には言えませんが、4教科合計の合格最低点が400点中249点(62.25%)でしたので、理科の合格最低点は、同じ得点率で言えば約50点と計算できます。100点満点に換算した受験者平均点が国語に次いで2番目に低かったことを踏まえても、50点程度とれれば合格ラインと考えて良いでしょう。
ただし、今年は大問[3](2)に問題の不備がありました。2月6日付で同校のホームページにも発表がありましたが、その対応については「適切に対応を致しました」という表現に留まっており、具体的にどのような措置がとられたのかは分かりません。平均点などの入試統計資料は、合格発表の行われた2月2日付で出されていますので、得点データには反映せず、この一問によって合格になる受験生にのみ個別に連絡して、「繰り上げ合格」というような形をとった可能性もあります。
いわゆる小問集合の問題です。(1)は物理化学分野「状態変化」,(2)は物理分野「物体の運動」,(3)は生物化学分野「顕微鏡の使い方」,(4)は生物分野「プランクトン」,(5)地学分野「気象(台風)」,(6)は物理分野「光の反射」,(7)は地学分野「流水のはたらき(侵食)」と、様々な分野からバランスよく出題しています。
中には多少難しい問題もありますが、知識を試すだけの問題が多いので、あまり時間を掛け過ぎないように気を付けたいところです。
「透明から白くなる現象」は、気体から液体への状態変化(凝結・凝縮)です。
落ち着いて考えれば難しくないはずですから、確実に得点したい問題でした。
①の「止まっている」と③の「最も速い」は易しいですが、②の「速くなっている」は難問です。グラフの意味をきちんと理解し、運動の様子が想像できないと、正解はできないでしょう。
もしかしたら、アとウのどちらを先にするかで悩んだ受験生が多かったかもしれません。
プレパラートを置く前に、反射鏡やしぼりの調節(明るさの調節)をしなければなりませんから、その段階で、一番倍率の低いレンズを選んでいるはずです。
アはクンショウモ、イはミジンコ、ウはゾウリムシです。
①は、「すべて」とありますが、ゾウリムシとミドリムシの区別があいまいになっている人をひっかけるための一言でしょう。
②は、「観察倍率が高い=大きさが小さい」ということさえ間違えなければ易しかったはずです。
台風に関する出題です。
①は、数字ではなく単位をきいた珍しい問題でしたが、常識的に考えればメートルしかありえないことが容易に想像できるでしょう。
②は、正確な言葉の知識を問われる問題です。それほど難しくはありませんが、「何となくわかっている」を許さない、駒東の姿勢がよく表れた問題でした。
鏡を回転させる問題は、有名ですから即答できた受験生も多かったことと思います。一方で、知らなかった場合には、その場で考えるのは少し難しかったかもしれません。その意味で、知識の差が出る問題だったと言えます。
これは基本問題でした。確実に得点しておきたいところです。
大問[2]は、データの分析力が問われる問題でした。
グラフデータの読み取り誤差もあるため、多少難しく感じる問題もありますが、データ解析自体はそれほど難しくありません。むしろ、(2)で問われた知識問題の方が難しかったかもしれません。また、(5)の記述問題も、あまりリード文の中にヒントがない難問でした。
カラスノエンドウを知らなくても、他の選択肢が分かりやすいので、消去法で選べたと思います。
イのタンポポは綿毛、ウのヘビイチゴは動物が食すことでフンに混ざって運ばれる、エのオナモミは動物の体に付着して運ばれる種子です。
これは難問でした。①のハタバミの茎は「匍匐茎(ほふくけい)」といって、地面をはうように横に伸ばすのが特徴です。軍隊などで行われる「匍匐前進(ほふくぜんしん)」を知っていれば、名前からはイメージしやすいかもしれません。与えられた絵(図1)を、そういうつもりで見れば「なるほど」と思うかもしれませんが、これだけのヒントで正解を探すのは不可能に近いでしょう。実際にカタバミを知っている受験生が圧倒的に有利な問題でした。
②は、①が正しく選べれば消去法でも正解にたどり着けますので、カタバミを知っていた受験生に対するボーナス問題かもしれません。しかし、いずれにしても難問だと言えます。
本格的なグラフの読み取り問題です。決して難しくはないのですが、データ分析の習熟度の違いによって、所要時間に大きな差が生まれた可能性があります。これを「合否を分けた一題」とし、後で詳しく説明します。
日没・日の出の時刻が与えられているのですから、前問のデータ分析が正確にできていれば、難なく正解できる問題です。
しかし、その前問の正答率が大きく分かれるはずですので、この問題の得点が加算されるか否かで、さらにはっきりと合否が分かれたかもしれません。
カタバミには体内時計があり、明るさの変化がなくても、数日間は同じような就眠運動を行います。
しかし、多くの受験生はそのような知識を持っていないはずですから、この問題は、「人間と同じだ」という感想を持てたかどうかが正解の鍵となります。
海外旅行などで時差ボケが起こるのもこのためで、外の明るさとは別に、体内時計が決まったリズムで生活しようとすることによって時差ボケが発生するのです。
理科の問題を、自分たちの日常にあてはめて考えることができたかどうか……算数の大問[1](4)のテーマにも通じる出題だったと分析することもできるでしょう。
不成立な問題はありましたが、全体的に基礎知識ばかりで易しい大問[3]は、貴重な得点源でした。
冒頭のリード文にある「地球の自転軸と月の自転軸は平行」「月の北極は地球の北極と同じ側」という条件を、読み飛ばさずにきちんと考えられたでしょうか。
月の超基本問題です。ここは確実に得点しましょう。
明け方ということは、太陽は東の地平線にあり、月が観察された位置は南東ですから、月の左下から太陽の光があたる位置関係になります。
学校側から「不備があった」と正式発表があった問題です。
10日後の同じ時刻には、月は地平線の下にありますから、観察することができません。したがって、問題不成立となります。
地球の右半分が光って見えるのですから、地球の右側に太陽が見えるような位置関係を探します。
基本問題ですから、確実に正解してください。
(3)の正解はウですから、この後、月が公転すると、次第にエの位置に近づいていくことになります。エの位置から見た地球は、満月のように全て光って見えることになりますから、この後地球は満ちていくことになります。
どちらから見ても、地球と月の間の距離は変わらないわけですから、実際の大きさの通り、地球の方が大きく見えることになります。
問題文の意図を、正しく読み取ることができたでしょうか。
リード文にあった「地球の自転軸と月の自転軸は平行」および「月の北極は地球の北極と同じ側」という条件を考え、この問題にあるように「月の赤道から」見ているのに「地球は真上ではなく水平線近く」にある」となるためには、以下の図(いずれも、月と地球の中心が重なるように真横から見た図)のいずれかの状態になることが必要です。
これも実験結果を分析させる問題です。
かなり難しい問題ですが、前半の記号選択問題は消去法で絞りやすい選択肢も多いので、ここでしっかりと得点を稼いでおきたいところです。後半の記述問題は、いかに部分点を確保できるかが勝負どころでしょう。
人体内で栄養分を吸収する前に行うことですから、「消化」が正解としては自然です。
「分解」という別解を認めるかどうかは学校側の判断なので分かりませんが、意味を考えればこれも正しいと言えるでしょう。
アとイは簡単に除外できますから、迷うとすればウでしょう。
ただし、このわずかな実験条件だけで「どんな温度でも」という結論が出せるはずがないということに気づけば、比較的簡単にエという解答が選べると思います。
アの選択肢に惑わされてしまった受験生もいるかもしれませんが、この実験だけでは、「一度固めたゼラチンゼリーが再びとけた」というだけで、それを「繰り返すことができる」かまでは分かりません。
実験2の結果を見ると、寒天の方はどの温度でも1時間後に変化がないのですから、落ち着いて読めれば易しい問題だったはずです。確実に得点しておきたい問題でした。
(2)と同様に、アとイの選択肢は簡単に除外できます。
判断に迷うのはウとエでしょうが、寒天ゼリーの「1時間後」に対して、ゼラチンゼリーの「10分後」「15分後」というのが十分な時間かどうかも分かりません。この実験だけで「水の量は決まっている」とまでは言えないので、ウが正解となります。
普段私たちが使っている濃度(濃さ)は、正確には「重量パーセント濃度」と言います。
これは、体積ではなく重量(重さ)の割合で濃度を表したものですから、10倍にうすめた[酢B]を100gつくる場合にも、重さで考えなければなりません。したがって、使用する器具も「台ばかり」「上皿天びん」などを使います。メスシリンダーで体積を測る方法ではできませんので気をつけてください。
「とけることなく,色が変化した」という結果は、ゼラチンゼリーの中に酢が入り込めることを意味します。つまり、リード文の中ではゼリーの仕組みを網に例えていましたが、その網がほどけることなく酢が入り込めるということです。
この実験だけでは、入り込んだ酢が出られるかどうかまでは分かりませんから、「ゼラチンゼリーは、固まったままでも酢が入りこめる」ということが書ければ正解です。「出入りできる」などとすると、蛇足となる可能性もありますので注意しましょう。
氷は、水自体が状態変化して固体となっていますから、中に水が閉じ込められているわけではありません。
酸性・アルカリ性などという性質は「液性」と言って、あくまで液体の状態で表れるものですから、固体の氷では色の変化は起こらないと予測できます。
大問[5]は難問でした。特に後半のグラフの処理は、理科というより数学を分かっていなければ理解できないところがありますので、普通の受験生ではほとんど対処できないと思います。
その意味では、ここで合否が分かれることはあまりありませんから、易しい(1)(2)(3)を確実に押さえたら、(4)(5)は部分点が取れるかどうかというところでしょう。
ただの「電流計の使い方」です。リード文の難しさに諦めてしまってさえいなければ、難なく正解できたはずです。
抵抗の長さと流れる電流の関係ですから、これも極めて基本的な問題です。
ただし、電流は「小さ(くなる)」であって、「少な(くなる)」でも「短(くなる)」でもありません。正確な言葉の使い方を身につけているかどうかが問われているのかもしれません。
与えられた表(数値データ)をグラフにするだけですので、時間さえあればできるはずです。
一つだけ気をつけなければならないのは、「折れ線グラフにしないこと」でしょう。与えられた点をグラフ上に打ったら、それらの点をなめらかな曲線で結びます。
反比例の関係は、一方を逆数にすると比例関係となります。本問では、縦軸(電流)を逆数にしていますので、抵抗の長さと電流が反比例するなら、比例のグラフの特徴を示さなければなりません。つまり、「原点を通る直線」になるはずなのです。
この問題は超難問です。通常、中学受験の学習では「無視できるもの」として省略している部分について聞かれている問題ですので、完璧な正解はなかなかできないと思います。想像力をはたらかせて、いかに部分点をとれるかというところでしょう。
反比例の関係では、2数の積が一定になります。しかし、図4では、その積が一定の値になっていませんでした。これは、スライド抵抗器だけの長さと電流の関係をグラフにしたことが原因です。
実際の回路には、抵抗器以外にも抵抗は存在します。電流計にも抵抗はありますし、電源(電池)にも内部抵抗というものがあるのです。
これら、スライド抵抗器以外の部分に存在する抵抗の大きさが、この抵抗器の中にある抵抗線1cm分に等しい抵抗の大きさだったと考えられます。
前述の取り、データの分析自体はさほど難しくありません。しかし、データ分析に不慣れな受験生は、データの違いと意味を読み取るのに時間がかかり、結果的に諦めてしまったり、時間が足りなくなったりと、苦戦したのではないでしょうか。その観点から、本問を「合否を分けた一題」とします。
【問題】大問[2](3)
図3のグラフの構成ですが、左側の2つは、時刻から日没前後の観測結果であることが分かります。同様に、右側の2つは日の出前後の観測結果ということになります。
したがって、①の「葉が閉じ始めたとき」と②の「閉じた(就眠した)とき」は左側のグラフを使い、③の「葉を開き始めたとき」と④の「ほぼ開いたとき」は右側のグラフを使って解きます。
左上のグラフから、葉が閉じ始めた(開閉度が3.8になった)のは、日陰では18:00ごろ、日なたでは18:15ごろです。それを、左下のグラフにあてはめると、いずれも約400ルクスの明るさのときだと分かりますので、①にはオの400が入ります。
就眠した(開閉度が1.5になった)のは、左上のグラフから、日なたで18:50ごろ、日陰で19:00ごろです。これを左下のグラフにあてはめると、いずれもほぼ0ルクスであることが分かります。②にはアの0が入ります。
葉を開き始め(開閉度1.5になった)のは、右上のグラフから、日なたで5:00過ぎごろ、日陰で5:10直前ごろですから、これを右下のグラフにあてはめると、およそ100ルクスの明るさになっています。したがって、③にはイの100が入ります。
ほぼ開いた(開閉度が3.0になった)のは、右上のグラフから、日なたで5:30ごろ、日陰で5:50ごろです。これを右下のグラフにあてはめると、日なたのデータは400ルクス、日陰のデータは300~350ルクスと読めます。
判断が難しいところですが、日なたの1つ前(5:20)の観測結果は200ルクスまで下がってしまいますし、日陰で開閉度3.0になった5:50ごろでは、やはり400ルクスには届いていませんので、「300ルクスを超えたから開いた」と考える方が自然でしょう。日なたも日陰も、開閉度が3.0になる10分間で急激に明るさが増していますから、一気に明るくなったために起こった測定差異であると説明することができます。したがって、④にはエの300が入ります。