出題形式の変更以前の桜蔭中学の理科においても、記述問題は無かったわけではありませんが、それらはあくまで、塾のテキストにもよく載っているような、知識問題的な記述でしかありませんでした。
ところが、変更後は、他の男子上位校が好むような、実験や観察の結果から理由を類推させる問題が目立ってきています。
とはいえ、これらも手が付けられないような問題ではないので、対策をしてしっかり得点できるようにしておく必要があります。
どの分野も、環境問題との絡みで出題される問題が、時折見受けられます。
例を挙げると、化学とリサイクル、地学と地球温暖化、生物と乱獲や森林伐採などがそれに当たります。
以下、分野別の特徴を述べていきます。
力学分野は必出というべきでしょう。
天秤・振り子・輪軸・浮力などが狙われやすい単元で、化学分野との融合問題も時折見られます。
電気や光はあまり見られませんが、全く出題例がないわけではないので、基本的な知識と考え方は当然身につけておかなければなりません。
中和や溶解度などの計算問題は出題率の高い単元です。
そのほかには、物質の性質を問う問題が良く出題されています。
また、物理分野に近い出題(熱力学・浮力との融合問題)も見られます。
天体や気象からの出題が目立ち、地質・地形からの出題は多くありません。
特に天体では、動きに焦点を当てた問題が多く、桜蔭中の1つの特徴を作っています。
惑星の動きなども、自分で作図をして解けるようにしておく必要があるでしょう。
知識だけを問う問題ではなく、実験や観察の結果を分析する問題が多く出題されています。
計算を必要とする問題も出題形式変更以降隔年で出題されており、速さと馬力のある計算力を求められます。
聞かれる知識自体は、非常に基本的な内容です。
全体的に受験生のレベルに比して平易な内容です。基本的な知識・考え方の完全マスターを前提として、とにかくスピードと正確さを競う勝負になっていると考えるべきでしょう。とにかく、桜蔭中学受験において、理科で大きく失点することはすなわち不合格を意味します。