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国語の合否を分けた一題

芝中学入試対策・国語の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

A
A
問一 B 問二 B 問三 A 問四 B
問一 B 問二 A 問三 B 問四 B

A…芝中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

総評

前年同様、大問一が音読みの漢字5問、大問二が訓読みの漢字5問、大問三が論説的文章、大問四が文学的文章という出題でした。文章題である大問三と大問四には、選択肢問題が一つもなく、全問が字数制限のある記述問題になっています。「本文全体の内容を踏まえ」や「理由と合わせて」など、記述問題での指示が多いことが特徴です。自分が考えたことをなんとなく書くのではなく、設問の条件に沿って書くことを常に意識しましょう。

問題別寸評

音読みの漢字を書く問題です。「血相を変える」とは怒ったり心配したりして顔色を変えることです。

訓読みの漢字を書く問題です。「湯船」が出てこなかった受験生も一定数いたと思われます。

『学ぶということ<続・中学生からの大学講義>1』所収 斎藤環「つながることと認められること」より

問一

傍線部の指示語の内容をまとめる問題です。指示語の直前の部分のまとめが同じ段落の最初にあるので、主語を補ってまとめましょう。

問二

傍線部の理由を答える問題です。自分が嫌いという人は、「自分には価値がない」「自分には成長・成熟する可能性がない」と考えるので自信がなくなると傍線部の前の段落に書いてあります。なぜそのような意識になってしまうのかと言えば、『自己愛を成長させるのは「他者」である』というイメージがないからです。この二つを簡潔にしてつなげましょう。

問三

傍線部にある指示語の内容を答える問題です。直前にある「自信を高めるには、他者との持続的で安定的で良好な関係が重要です」という部分と、その少し前にある「大事な他者との関係が長く続いていくことが一番価値のある承認だ」という部分を合わせ、重なる表現を削ってまとめましょう。

問四

合否を分けた一題で解説します。

佐川光春『駒音高く』より

問一

主人公の心情を答える問題です。山沢君に対する心情を答えるということはすぐに分かりますが、短い字数で書かなければならず、書くべきことを取捨選択する必要があります。ぼくが山沢君に負けたことがある点、山沢君がつまらなさそうにしている点を考慮し、「以前ぼくに勝った山沢君が、ぼくのことを甘く見ている」こと、「何としても勝ちたい」ことを要素に入れることが必要です。

問二

主人公の心情の理由を答える問題です。きっかけとなった出来事は直前にある有賀先生の発言です。先生の発言を聞いた主人公は「ここまで認めてもらっているとは思わなかったので」呆然としています。先生の発言の要旨をまとめ、将棋の実力を先生に認めてもらった驚きを書きましょう。

問三

主人公以外の登場人物の心情変化を答える問題です。傍線部③の前の部分にある、ぼくの「一緒に強くなろうよ」という呼びかけに対し、「自分以外はみんな敵なんだ」と反発していた山沢君は、自分と引き分けたぼくの「ライバル」宣言と「図書館で棋譜をつける」発言を聞いた後に、表情をやわらかくしています。ライバルとしてのぼくの実力とやる気を認め、一緒に強くなれるかもしれないと気づいたのです。

問四

主人公の心情を答える問題です。設問の指示に従って順序良く答えていきましょう。ぼくの『<山沢君>との対局前までの様子』は、前書きと傍線部①の周辺に書いてあります。ぼくは前回負けた山沢君に勝つために対策を練り、熱戦の末に引き分け、その後で有賀先生から初段の賞状をもらい期待の言葉をかけてもらいます。当然、うれしさや達成感があり、その気持ちが「<かけ足>となったきっかけ」だと考えられます。「図書館で棋譜をつける」ということは、将棋の研究を今すぐやりたい、もっと強くなりたい、という前向きな気持ちの表れでもあります。

合否を分けた一題

問四

本文全体の内容を踏まえた上で、傍線部にある筆者の主張の理由を記述する問題です。明確な理由が本文に書かれていないので、傍線部の前後の文脈をヒントに、どの部分が理由になっているのかを本文全体から探す必要があります。筆者の主張に共通する論理構成を見つける力の有無でかなりの差がついた問題だと考え、合否を分けた一題として取り上げることにしました。

考え方

傍線部の「承認を得るより人を承認することから始めてください」とありますが、何のために人を承認するのかを考えます。傍線部の直後の「愛されたければ、まず人を愛せとよく言います」という部分が大きなヒントになっています。ここを言い換えると、人を愛することができれば人から愛される」ということです。この組み立てを応用しましょう。傍線部の直前に「自信を持つためには承認を得ることだと話しています」とあるので、主語を補って考えると、①若い世代の人たちが自信を持つためには、他の人から承認を得ることが必要であり、②他の人から承認を得るためには、まず自分が他の人を承認することが必要である、という組み立てになっていることが分かります。

若い世代が自信を持つために必要なこと
まず自分が他者を承認するとその人からの承認を得ることができ、自分に自信が出てくる。

次に、どのような他者から承認を得ることができれば自信につながるのかを考えます。これは問三がヒントになります。傍線部③の直前の部分をまとめましょう。

どのような他者から承認を得ると自信につながるのか
大事な他者との持続的で安定的で良好な関係が長く続いていくと、自信を深めることにつながる。

最後に、傍線部④の直前にある「対話」の部分に注目し、他者との関係を良好に保つためにどのような対話をすればいいのかを考えます。

対話の役割
①対話は適切に使うと、人を癒す力や人を成長させる力がある。
②面と向かって相手の存在に配慮しながら対話し、新しい言葉を生み出していくことで、新しい現実が生まれる。

以上の三つをつなげます。

まず最初に、自分が、自分にとって大事な他者を承認し、相手の存在に配慮しながら対話して新しい言葉を生み出すことで、お互いに成長し、持続的で安定的で良好な関係を長く続けることができるので、自分の自信を深めていくことにつながるという考え。(115字)

重複している表現をなくし、過程を省いて字数制限に合わせます。

まず自分が、大事な他者を承認し相手の存在に配慮しながら対話をすることで、お互いに成長し、持続的で安定的で良好な関係を築ける。その関係が自己愛を鍛え、自信を深めるという考え。(86字)
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