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国語の合否を分けた一題

桐朋中入試対策・国語の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

問1 A 問2 A 問3 B 問4 A 問5 B 問6 C 問7 B 問8(1) B (2) C 問9 A
問1 A 問2 A 問3 B 問4 B 問5 B 問6 B 問7 A 問8 A 問9 B 問10 C 問11 A

A…桐朋中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題

総評

今年度の桐朋中の問題構成は、例年通り長文読解が2題というものでした。問題数や出題傾向もほぼ例年通りです。特徴的だったのは、大問1、大問2がともに随筆文の読解、というところでしょう。物語文がまったく出題されないということに、少し驚いた受験生もいたかもしれません。しかし、随筆文については、中学入試全体を見ても出題が増加傾向にあります。このようなこともあると頭に入れておきましょう。また、桐朋中では、ストレートな論説文の出題というものがあまり多くないです。物語文と随筆文という組み合わせが多いのですが、その場合も、論説的随筆文より物語的随筆文の場合がほとんどです。ですので、論説的な文章の出題は少ない、と考えておいて良いと思います。今年度については、大問1がどちらかというと論説的随筆文ですが、それでも一般的な論説文と比べれば読みやすい文章ですし、設問の内容的には物語文の読解の方に近い印象です。桐朋中の対策を考える場合は、物語文・物語的随筆文を中心に読解のトレーニングを積むのが良いでしょう。設問の種別を考えると、言葉の知識の問題が比較的多いです。選択肢問題になっていることが多いので、こういった問題を確実に得点したいです。また、漢字の問題も簡単なので、ここも確実に得点したいです。記述問題については、大問ごとに1題ずつ100字程度の大型記述があります。文章全体の理解を問う良問ですが、しっかりと書き切るのは小学生にはなかなか難しい内容です。学校側からの発表を見ると、合格者平均点は69.7点です。この点数から考えると、記述については部分点を多めにつけていると推測されます。完璧でなくて良いので、半分くらいの点数がもらえれば良い、というイメージで解答しましょう。空欄のまま終わってしまうと、7割近い点数を確保するのは難しいです。頑張りましょう。

問題別寸評

大問1

論説的随筆文 NHK『クローズアップ現代+』+『知るしん』制作班 著
『樹木希林さんからの手紙 人生上出来!と、こらえて歩こう』より

問1

言葉の知識を問う選択肢問題です。素材文に「亡くなる一年前」とあるので、「晩年」が正しいです。死に近づいた時期のことを「晩年」ということを知っていないと、どうにもならない問題なので、しっかり覚えておきましょう。

問2

言葉の知識を問う選択肢問題です。問1と同様の問題ですが、こちらの方がやや難しいです。正解はウの「しのぶ」ですが、それ以外の選択肢もそこまでおかしな選択肢ではないからです。文脈上「しのぶ」が最も適切であると判断できる必要があります。

問3

素材文の内容を説明させる記述問題です。「どんなこと」と「どういう点」の2つをはっきりさせることがポイントです。「合否を分けた一題」で詳しく解説します。

問4

登場人物の心情を問う選択肢問題です。物語文の設問に近い感覚で考えましょう。傍線部の直前に「しかし」という逆接の接続語があるので、何がどう逆接なのか、前後の文章を手がかりに考えます。適切なものを2つ選べ、となっていますが、エの「心配している」が選びにくいかもしれません。

問5

人物描写についての抜き出し問題です。そこまでたくさんの候補があるわけではないので、あまり迷うことはないはずです。気をつけたいのは【※】の直前にある「私が以前~」で始まる文章で、これは解答としては不適切です。この文章に書かれていることは、介護の仕事をしている人には共通する内容なので、「『本気』で一生懸命に取り組む人」という設問の指示とはやや食い違っています。

問6

登場人物のセリフを補足させる記述問題です。この問題は難しいです。そもそも設問の意味がわかりづらく、何をどう考えればいいのか、それがわからない可能性が高いです。また、設問の意味がわかったとしても、ではどんな言葉が省略されているか?というのがわかるかは、センスが問われるところです。文章に対して「どこに?」「だれに?」と突っ込んで考える姿勢を磨いておきたいです。

問7

素材文の空欄を埋める選択肢問題です。直前にある「」内の文章2つを素直に受け取れば、答えはエしかないです。しかし、どの選択肢も、事実としては間違っていないので、消去法で考えると迷う可能性があります。直前の文章の「意図」をきちんと考えましょう。

問8

素材文の内容の理解度を問う記述問題です。(1)はともかく、(2)については、なかなか難しい問題です。設問には「~。それなのに~なぜか」とあります。「それなのに」は逆接の接続語なので、前後には食い違う内容が書かれています。ですので、解答には食い違う2つの内容が具体的に書かれていないといけません。完璧には書けなくても、最低限この2つが押さえられているかを確認しましょう。

問9

漢字の書き取りの問題です。3題ですが、どれも中学入試の問題としては標準的なものです。ここは確実に全問正解したいです。

大問2

物語的随筆文 加藤シゲアキ『できることならスティードで・Trip4 岡山』より

問1

漢字の書き取りの問題です。4題ですが、大問1の問9同様、すべて簡単なものばかりなので、ここも全問正解で切り抜けたいです。

問2

言葉の知識を問う選択肢問題です。知ってさえいれば、とても簡単な問題です。逆に、このような問題は考えてもどうにもならないので、正しい言葉の知識を身に付けましょう。

問3

筆者の心情を問う選択肢問題です。イとエで迷う可能性が高いです。どちらでも良いような感じがするかもしれませんが、エは「『僕』を気遣いながら」の部分がややおかしいです。「父」の行動が「僕」に対する「気遣い」なのかどうかは、素材文からはわかりません。

問4

素材文の内容理解を問う記述問題です。「祖父」は、二人の孫がいるように勘違いをしているのですが、実際にはどちらも「僕」のことです。ちなみに、この文章の筆者は加藤シゲアキですが、彼はNEWSというアイドルグループのメンバーです。また、小説家として文筆活動もしており、この素材文もとても素晴らしい文章です。

問5

素材文の空欄を埋める記述問題です。いろいろな解答が思い浮かぶかもしれませんが、直後の文章とのつながりをしっかり考えましょう。直後の文章の主語と述語は「僕自身も~会いに行こうと思っていた」です。ですから、直前の「父」のセリフは「会いに行け」という内容でないとおかしいとわかります。

問6

人物描写についての抜き出し問題です。「ひと続きの二文」と設問にあることに注意しましょう。そうなると、該当する部分はひとつしかありません。うっかりすると、正解になる抜き出し部分の、二文あとの文章が答えと勘違いするかもしれません。しかし、ここは「ひと続きの二文」にはなっていないので、正解にはなりません。

問7

言葉の知識を問う選択肢問題です。「伴侶」とは、「連れだって行くもの」という意味です。一般的には配偶者、つまり夫や妻を指します。素材文の文脈から、この場合は妻しかありえません。言葉の意味を知っていれば簡単な問題です。

問8

素材文の空欄を埋める抜き出し問題です。「祖父」が「僕」に対してかけた言葉を考えるわけですが、セリフの直前に「再び」とありますので、それ以前に一度言われている言葉でないといけません。「祖父」が「僕」に対して発した言葉はそもそも多くないので、見つけ出すことは容易です。

問9

素材文の内容理解を問う選択肢問題です。ウとエの選択肢は問題外なので、すぐに除外できます。アとイで迷う可能性がありますが、傍線部の直前に「好きではなかった~不思議と愛おしくなり」とあるので、イの「大切に思えるようになった」の方が適切です。

問10

筆者の心情を説明させる記述問題です。大問1の問8と同様に、なかなか難しい問題です。筆者は「少しも本質を見抜けていなかった自分にがっかりする」と書いていますが、「本質」とは、この場合は「祖父」の本当の姿というような意味です。ですから、筆者が思いこんでいた「祖父」の姿と、あらためて知った「祖父」の実像を対比的に説明する必要があります。

問11

素材文の空欄を埋める選択肢問題です。空欄部の少し前で、「父」の泣き顔は見たくない、ということを筆者は書いています。さらに、空欄部の直後は「父の弱った姿を見ずに済む」となっていますので、ウの「安心」が適切です。

合否を分けた一題

大問1
問3

素材文の内容を説明させる記述問題です。文字数の指定はないですが、解答欄の大きさと設問の内容から60字程度の記述量が求められていると推測されます。このあとの問8の記述問題に比べれば圧倒的に書きやすいので、ここではしっかりと得点を確保したいです。以下にポイントを解説します。

考え方

まずは、設問がどう問うているのかを確認します。
設問には「どんなことに対してどういう点で『生半可じゃない』と思ったのか」とあります。設問にもあるように、「生半可」とは「中途半端であること。不十分であること」という意味です。
ですから、「生半可じゃない」とは「中途半端ではない。不十分ではない」ということになります。言い換えれば「徹底している。十分だ」ということです。
今回の場合は、もっと単純に「すごい」くらいの意味だと思って大丈夫です。
では、何がどう「すごい」のでしょうか?

設問が説明を求めているのは、「どんなことに対して」と「どういう点」の2点です。
ということは、解答の文章の形としては「○○なことに対して、△△な点」としなければなりません。
このことを意識して記述しましょう。

傍線部の直前には、「中島さん」を気遣ってくれた樹木希林さんの様子が、「中島さん」の言葉で表現されています。
傍線部を含めたセリフすべてをそのまま引用します。

「私が以前、ちらっと話した、介護の仕事で人をおぶったりするから、足がしびれてつらいという話を希林さんは覚えていて、それをとても気遣ってくれました。お仕事も含め、普段からたくさんの人々と交流がある希林さんですが、私の話をちゃんと覚えていてくれて、一人一人を大事にしてくれる。生半可じゃないですよね。」

設問が求めていることは、この中島さんのセリフの内容を説明することです。
このセリフを「どんなことに対して」「どういう点」が「生半可じゃない」ということを整理して説明できればOKということです。

まず「どういう点」からはっきりさせましょう。
端的には「一人一人を大事にしてくれる」点です。
どう「大事にしてくれる」か、というと、「話をちゃんと覚えていてくれて」「気遣ってくれる」ということです。
ですから、解答の後半は「話をちゃんと覚えていて気遣ってくれ、一人一人を大事にしてくれる点」というようになります。

では、次に「どんなことに対して」の部分です。
先ほど作った後半部分とのつながりをきちんと考えましょう。
「『私』に対して」という解答が思い浮かぶかもしれませんが、これでは「どんなことに対して」の答えにはなっていません。
なぜなら、その場合は「だれに対して」という問いになるはずだからです。
ですから、少なくとも「『私』が話したことに対して」というようにならないといけません。

さらに、なぜそれが「すごい」のか、ということまで考えてみましょう。
それは、「たくさんの人々と交流がある」のに、「私」の話をちゃんと覚えてくれていたということです。
こう考えると、解答の前半部分は「たくさんの人々と交流がある中で、「私」が話したことに対して」というようになります。

それでは、前半部分と後半部分を合体させてみます。
すると、解答は次のようになります。

解答例:たくさんの人々と交流がある中で、「私」が話したことに対して、その話をちゃんと覚えていて気遣ってくれ、一人一人を大事にしてくれる点。

文字数は65字なので、解答欄に対しても十分です。
ここまで書ければ問題ないでしょう。

多くの中学受験生の指導をしていると、「その答え方では、質問に対する答えになっていないよね?」と指摘することがよくあります。
問題を解く作業は、設問者とのコミュニケーションです。
相手が聞いていることに対して、適切に返答をしないと、良い点数はつきません。
一体何が問われていて、どう答えれば過不足のない返答になるのか、ということをいつも意識しましょう。
これは、入試問題を解くだけではなく、日常的なコミュニケーションでも鍛えられる部分ですので、普段から意識して、話し方・答え方を考えさせていくのが効果的です。
頑張りましょう!

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