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国語の合否を分けた一題

攻玉社中学入試対策・国語の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

問1 B 問2 B 問3 A 問4 B 問5 A
問1 A 問2 B 問3 B 問4 A 問5 C
問1 A 問2 B 問3 B 問4 A 問5 A
問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A問6 A 問7 A 問8 B 問9 A 問10 C 問11 A
問1 B 問2 B 問3 B 問4 A 問5 B問6 A 問7 C

A…攻玉社中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度・処理量から判断して、部分点を拾えれば良しとする問題

総評

例年同様に、大問一が漢字の読み、大問二が漢字の書き、大問三が言葉の知識、大問四が物語文、大問五が論説文という構成でした。問題数も例年通りです。
素材文の文章が長く、50分の試験としてはかなりのボリュームがあります。素材文の長さや難易度に比べて、設問は平易である場合が多いので、素材文を読むスピードが合否の鍵を握っています。しかし、物語文が古い時代の作品であることが多いので、多くの小学生にとっては決して読みやすい文章ではありません。過去問対策などを通して、少し古いタイプの文章に慣れておく必要があります。今年度も、大正時代の作品が素材文でした。合格者平均は例年60点前後なので、すべてを解ききろうとは考えずに、時間配分を意識した方が良いでしょう。途中であっても、時間を見て次の論説文に進むなどの割り切りが必要です。
また、大問一・二の漢字については中学受験の問題としては比較的難しい問題が多いです。十分に準備をしましょう。大問三で出題される知識系の問題は、今年度は手紙文についてでした。多くのテキストに載っている常識的なレベルの知識問題ではありましたが、手紙を書く習慣が少なくなった今では、きちんと勉強していないと解けないでしょう。大問三に限らず、全体的に言葉の知識の出題が多いので、知識系の問題を幅広く確認しておく必要があります。攻玉社中の合格を目指すなら、言葉の知識を古い言葉も含めて豊富に身に付けておくべき、と考えましょう。

問題別寸評

大問一.漢字の読み

問1~5
漢字の読みが5題です。攻玉社中の出題としては例年通りのレベルですが、どれも決して読みやすいとは言えないものばかりです。「一途(いちず)」「術(すべ)」「万端(ばんたん)」あたりは、差が付く可能性があります。

大問二.漢字の書き
問1~5

漢字の書きが5題です。大問一と同様、攻玉社中の出題としては例年通りのレベルですが、簡単ではありません。「刊行(かんこう)」「製品を納める(おさめる)」あたりは確実に得点したいです。一方、「孝養(こうよう)」は書けなかった受験生が多かったと思います。

大問三.言葉の知識
問1~5

手紙文の知識を問う問題です。「拝啓」で書き起こして「敬具」で締めるや、書き足す場合は「追伸」と入れるなどは、確実に得点したい問題です。時候の挨拶「花冷えの候」は、わからなくてもそこまで気にしなくていいでしょう。

大問四.物語文 久米正雄『金魚』より
問1

擬声語についての選択肢問題が3問です。どれも簡単なものばかりなので、ここはすべて正解して次に進みたいです。

問2

副詞についての選択肢問題が4問です。最初の(あ)「つくづく」が難しいかもしれません。ここを間違えると、連鎖的に他の問題を間違える可能性があります。選択肢が余らないので、全体を見て選んでいきましょう。

問3

ことわざについての選択肢問題です。「こんなにおとなしくっても、丈夫に育つんですかね」と素材文にあるので、エの「泣く子は育つ」を選ぶのは簡単でした。

問4

四字熟語についての選択肢問題です。「豪奢なのと~清貧に甘んじているのと、二種類混ざった」と素材文にあるので、「いいものと悪いものとが入り混じった状態」を意味する、エの「玉石混淆」が正解です。やや難しい問題です。

問5

登場人物の見分けを問う選択肢問題です。丁寧に確認すれば簡単ですが、このような問題ではできるだけ時間を使いたくないです。日頃から、登場人物にチェックを入れる習慣をつけておくと、このような問題を素早く処理するのに役立ちます。

問6

登場人物の状況を問う選択肢問題です。「奥州訛り」と素材文にあることに気が付けば、正解はエの「奥州」しかありません。

問7

視点人物外の心情の理由を問う抜き出し問題です。抜き出す箇所が傍線部の直前にあり、
29字という字数の限定もかかっているので、見つけ出すのは簡単です。

問8

せりふについて補足説明をさせる問題です。アとウはほぼ抜き出しなので問題ないですが、イについては自分で考えて書く必要があります。4字という字数の限定がかかっているので、逆に書きにくかったかもしれません。

問9

視点人物の心情を問う抜き出し問題です。「兄の家族が去ったのち」と設問にあり、その条件にあう文章が、素材文最後の4文しかないので、自然に探せば正解にたどり着けます。

問10

視点人物外の心情を問う選択肢問題です。「二つ選び」となっていることにも注意しましょう。ひとつはオで問題ないですが、もうひとつを論理的に選び出すのが難しいです。この手の問題は、あまり気にせずに先の問題に進んで大丈夫です。

問11

作品の表現の特徴を問う選択肢問題です。「適当でない」となっていることにも注意しましょう。迷う選択肢もあるかもしれませんが、イの「古典的な短歌」となっているのが明らかな間違いです。素材文には「俳句」は出てきますが、「短歌」は出てきません。

大問五.論説文 佐藤卓『塑する思考』より
問1

接続語の知識を問う選択肢問題が3問です。接続語の問題は、論理的に答えがはっきりするので、ここで点数を落とすと決定的な差になります。「合否を分けた一題」で詳しく解説します。

問2

日本文化の知識を問う選択肢問題です。厳密には国語の問題といえないかもしれませんが、この手の問題も中学受験では出題されると理解しておいた方がいいです。素材文に「普段は折り畳んで仕舞い、使う時だけパタパタと広げて、必要なところに置けば室内の間仕切りとなる」とあるので、答えはオの「屏風」です。

問3

筆者の述べる「関係のデザイン」という言葉の意味を問う選択肢問題です。西欧の道具のデザインが、その道具の使い方を示すはたらきを持っているのに対して、日本のデザインは単純で、使う人間との「関係」によって使い方が変化する、ということが素材文に述べられています。それと合致する選択肢はエしかありません。

問4

筆者の主張を問う選択肢問題です。「日本のデザインは内向きでガラパゴス化している」という意見に対して、筆者は「とんでもない誤解」「箸のようなものにこそ、世界に誇るべき日本のデザインが豊かに潜んでいる」と反論しています。イの選択肢文はこれを説明し直した内容になっていますが、他の選択肢は完全に的外れです。

問5

筆者の主張を問う抜き出し問題です。「オブジェとしてのデザイン」と筆者が呼ぶものが具体的に説明されている文章を探します。傍線部が素材文の最後の方にあるのに対して、抜き出すべき箇所は素材文の冒頭にあります。探す範囲を設問が指定しているので、見つけ出すことは無理ではないですが、制限時間内で解くには難しい問題だったと思います。

問6

素材文の内容の理解を問う選択肢問題です。内容と合致するものを選択しますが、「二つ選び」となっていることに注意しましょう。筆者の主張を簡単に要約すると「日本のデザインはそもそも豊かだ」「デザインを考えることは、人の豊かさとは何かを考えることだ」の2点でしょう。前者とほぼ同内容になっているのがイで、後者とほぼ同内容になっているのがエです。素材文をきちんと読めていたなら、比較的平易な問題です。

問7

筆者の主張を具体的に説明させる記述問題です。「ほどほどのデザイン」とは何かを説明しなくてはいけないのですが、「余地」「能力」の二語を使用することが指定されています。そうなると、素材文冒頭の「ほどほどのデザイン」の説明だけでなく、中盤の「箸」や「ふろしき」の具体例まで含めて記述内容を練らないと、条件にあった記述を書くことはできません。時間配分を考えれば、ここまで解き切れた受験生は合格者でもほとんどいないはずです。

合否を分けた一題

大問五
問1

接続語についての選択肢問題です。オーソドックな問題で他の中学や模試でも、頻繁に出題されます。きちんと練習していれば簡単ですが、論理的に考えられていないと思わぬ失点をする場合もあります。攻玉社中のような合格者平均が低めの入試問題の場合、勉強していれば確実に解ける知識系の問題でしっかり得点することが重要です。以下に解説します。

考え方
まず、選択肢に挙がっている接続語をざっと見てみます。すると、接続詞4つと副詞1つが並んでいます。アの「ところで」、ウの「あるいは」、エの「もっとも」、オの「つまり」は接続詞です。一方、イの「もし」だけは副詞です。「もっとも」については、厳密な分類が難しい単語なのですが、ここでは接続詞としておきます。それぞれの意味やはたらきが正しく説明できるでしょうか?

「ところで」は「転換」というはたらきをします。「ところで」の前後で話題がはっきり変わることを示します。
「あるいは」は「選択」というはたらきをします。前後に同レベルのものを並べて、どちらかを選んでいいですよ、ということを示します。
「もっとも」は「補足」というはたらきをします。前の内容を肯定しつつも、それと反対する内容もある程度は認めている、ということを示します。「もっとも~ではあるが」のように、文末が「逆接」の形になることが多いです。
「つまり」は「換言」というはたらきをします。前後の内容が言い換えただけの同内容、あるいは、前の内容を抽象化したり要約したりしていることを示します。
「もし」は副詞で、特に「呼応の副詞」と呼ばれます。「呼応の副詞」とは、その副詞が現れたあとに、必ず決まった言葉がセットで現れるものをいいます。「もし」とくれば「~ならば」という言葉が必要だ、ということです。

さて、以上のことを踏まえた上で、素材文の該当箇所をチェックしてみます。
まず、Aからですが、Aの後の文章は「~一票を投じたいと思いますが」という形になっています。「一票を投じる」というのは「賛成だ」という意味ですね。さらに文末が「~が」という「逆接」の形になっています。以上のことから、これは「補足」のはたらきをしているエの「もっとも」が正解だとわかります。
次にBです。これは前後が「ほどほどのレベルを徹底的にデザインする」と「ほどほどのデザインを極める」となっています。そうなると、答えの可能性としては「選択」のはたらきをしているウの「あるいは」がもっとも可能性が高そうです。しかし、「換言」のはたらきをしているオの「つまり」の可能性も否定しきれません。そこで次のCを見てみます。
Cの後の文章は「ここでお話したい『ほどほど』とは、~仕上げておくことなのです」となっています。段落の最後の文章であることから考えても、これはそこまでに説明した「ほどほど」を要約したり、整理して言い換えたりしている、と考えるのが自然です。ですから、ここに入るのはオの「つまり」がもっとも適切です。そうなると、先ほど保留にしておいたBに入るのは、やはりウの「あるいは」しかないとわかります。

以上のことから、「A:エ B:ウ C:オ」が正解となります。接続語の問題は、このように論理的に考えていけば答えがはっきり定まる問題ばかりなので、しっかりと練習しておきましょう。

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