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理科の合否を分けた一題

海城中入試対策・理科の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

[1] 問1 A  問2 A  問3 A  問4 B  問5 B
[2] 問1(1) B  (2) B  (3) A  (4) A  
問2(1) A  (2) A  問3(1) A  (2) B  (3) B
[3] 問1 A  問2 A  問3(1) A  (2) B  問4 A  問5 A  
問6 B
[4] 問1 A  問2 A  問3 B  問4 A  問5 A  
問6(1) B  (2) C

A…海城合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2017年度の海城は、例年通り、基本的知識を問う問題が中心です。
物理分野は、てこの問題で、キャリーバックを持ち上げる場合について考えます。
化学分野は、いろいろな気体の発生と性質についての問題で、かなり細かい知識を問うものを含みます。
生物分野は、音の聞こえ方についての問題で、耳のしくみや音を伝える物のちがいについて考えます。
地学分野は、地球の自転軸の首振り運動についての問題で、季節性の変化や海水面の変化へと考えを進めます。
海城特有の、普段の学習からさらに突っ込んだ題材を扱った問題に対応するには、問題文を読み取る力と、グラフから手がかり見つけて処理する力、さらに幅広い知識が求められます。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、科学全般に興味を持ち、調べ学習を行うときも、データを通して論理的に考える姿勢をもつことが大切です。

問題構成は、4分野から大問4題、小問39問。
解答形式は、言語が14問、記号選択が10問、作図が2問、記述が4問、数字が9問。
記述は、2行程度のものが3問、1行程度のものが1問。
計算は、計算そのものは煩雑ではありませんが、論理的に考えて導き出すものでした。
選択肢は、シンプルで選びやすくなっています。

問題別寸評

[1]

(物理)てこについての問題です。
てこの考え方を使って、キャリーバックにはたらく力の関係を考えます。一見、複雑な剛体力学のように見えますが、グラフの数値をうまく利用することで、解答に結びつけることができます。

問1

端Aを支点とした、つり合いの式を考えます。ばねはかりの値を□gとすると、
380×20=□×80 □=95(g)

問2

問1と同様に、端Aを支点とした、つり合いの式を考えます。
380×20=F×L の式から、FとLは反比例の関係とわかります。

問3

下の図のように、力の向きに垂直に、支点(端A)からの距離をとったときの比は、
位置Gと端Bの、支点からの距離の比と同じになります。
したがって、ばねはかりは、問1と同じ95gを示します。

問4

図6では、バックの重さも、ばねはかりで持ち上げる力も、鉛直方向です。このとき、支点からの距離は、それぞれXと90cmですから、15×X=ばねはかりの値×90 
これは、図7でZ=0のときにあたるので、グラフから、ばねはかりの値=3kg です。
式に代入すると、15×X=3×90 となるので、X=18(cm)

問5

→合否を分けた一題参照

[2]

(化学)気体の発生に関する問題です。
酸素と水素の発生は必須の知識ですが、アンモニアの発生については、対応できない生徒が多いのではないでしょうか。問題文に出てくる、塩化アンモニウムは、「塩安」とも呼ばれ、窒素を含む化学肥料として使われるものです。その他に、膨張剤として食品添加物に使用されるなど、用途は多岐にわたります。一方、炭酸アンモニウムは、「炭安」とも呼ばれ、強いアンモニア臭を持つため、気付け薬として使うようです。また、加熱すると二酸化炭素とアンモニアと水に分解されるので、ふくらし粉として使用していたこともあったようです。いずれも、昔から利用されていた物質です。中学受験レベルでは、目にすることが少ない物質ですが、この機会におぼえておくとよいでしょう。

問1

実験Aでは酸素、実験Bでは水素が発生します。水素が酸素と結びつく(燃焼する)と、水になります。燃料電池は、これを利用したものです。
炭酸アンモニウムは、58℃で熱分解し、アンモニアと二酸化炭素と水になります。実験Cでアンモニアを得るためには、塩化アンモニウムに水酸化カルシウム(消石灰)を混ぜて、加熱します。              ⇓加熱
塩化アンモニウム+水酸化カルシウム-→塩化カルシウム+アンモニア+水
(3)実験Cでは水が発生しますから、試験管の口のほうを下げて加熱します。水が加熱部分に逆流すると、試験管が急に冷やされて割れる危険性があるからです。
(4)アンモニアは、大変よく水にとけるので、水上置換は適しません。空気より軽いので、上方置換法で捕集します。

問2

a 燃料電池の原料は、酸素と水素です。
b 温泉のにおいは、硫化水素のにおいです。無色で空気より重く、有毒なので、低い姿勢はとらないように注意します。
c 水にとけるとアルカリ性を示すのは、この中ではアンモニアだけです。
d 空気中に最も多く含まれている窒素は、とても安定した気体で無毒ですが、窒素酸化物はNOxと呼ばれ、有毒です。多くが排気ガスによるもので、光化学スモッグや酸性雨を引き起こします。
e ヘリウムは、空気より軽く安定した物質です。
(2)塩素は、においのある黄緑色の気体で、漂白剤や殺菌剤として使用されます。

問3

メタンとプロパンには、それぞれ水素原子と炭素原子が含まれていて、燃焼すると、それぞれ水と二酸化炭素になります。燃焼の前後で、気体の体積の合計が変化することに着目すると、次のようになります。
①メタン1L+酸素2L→水(液体)+二酸化炭素1L・・・体積は2L減る。
②プロパン1L+酸素5L→水(液体)+二酸化炭素3L・・・体積は3L減る。
メタンを完全燃焼させると、体積が6L(15-9)減ったので、①より、メタンははじめ、3L(1×6/2)あったと考えられます。気体Ⅰに含まれる酸素は、15-3=12(L)
燃焼すると、全体の体積は減るので、残る気体が最も少なくなるときが、過不足なく反応したときとなります。このとき、②より、プロパン:酸素:二酸化炭素=1:5:3 となるので、(プロパン+酸素):二酸化炭素=6:3=2:1。したがって、残る二酸化炭素の体積は、22×1/2=11(L)
つるかめ算で解きます。もし、混合気体Ⅲ16Lがすべてプロパンだったら、発生する二酸化炭素は、3×16=48より、48Lで、26Lより22L多くなります。プロパン1Lをメタン1Lに置き換えると、発生する二酸化炭素は2L(3-1)減るので、22÷2=11より、混合気体Ⅲにメタンは11L含まれていることになります。

[3]

(生物)音の伝わり方に関する問題。
音は、図1のこまくを震わせ、その振動を耳小骨と呼ばれる3つの小さな骨が内耳に伝えます。内耳のうずまき管で、振動が電気信号になり、脳に伝えられます。

問1

ヒトが声を出すとき、吐く息でのどの声帯を震わせます。声帯から出た音は、ふつう空気を伝わって、相手の耳の鼓膜を震わせます。

問2

内耳には、半円形をしたチューブが3方向に向いた形の半規管があります。中にはリンパ液が入っていて、からだの傾きや回転を察知することができます。

問3

右耳と左耳に音が届くまでの距離の差は、10cm(20×1/2)。音の速さは秒速340mなので、左右の耳に音が届く時間差は、10/(340×100)=1/3400(秒)
(2)水中では、水の振動が鼓膜に伝わります。音が進む速さは、空気中よりも水中のほうが速く、耳に届く時間差が小さくなります。

問4

振動させるために必要なエネルギーの大きさは、水中のほうが大きいので、装置Aのように、音が空気から水中に進む音はわずかです。装置Bでは、ゴム膜がこまく、プラスチックコップが耳小骨に相当します。耳小骨同士がぶつかって音を伝えることで、てこの原理で音を増幅することができます。

問5

ヒトが聞き取ることが出来る音の周波数は、20~2万 Hzと限られています。

問6

録音された声は、空気を伝わってマイクに入った声です。ふだん、自分の声は、骨を伝わって耳に入ることが多く、録音された音は、これと伝わり方が違うため、ちがって聞こえます。

[4]

(地学)地球の自転に関する問題。
地球の自転の軸は周期的に動いています。現在は、天の北極は北極星の近くですが、長い時間をかけて、自転軸はコマがふれるように軸の傾きを変化させてきました。このことが、気象や地形の変化に影響を及ぼす可能性まで、話を広げ考えさせる問題となっています。

問1

現在の地軸は、公転面に垂直な方向に対して、23.4°傾いています。

問2

北半球では、夏は太陽高度が高く、昼の長さが長くなります。

問3

紀元前12000年は、今から14000年さかのぼった時代です。天の北極は26000年で1周するので、360×14000/26000≒194 より、右回りに約200°回転した場所です。

問4

見つけやすい形のカシオペヤ座や北斗七星は、北極星を見つけ出す際に手掛かりになる重要な星座です。

問5

夏に、地球の太陽との距離が近づくと、北半球は季節性が増大し、逆に冬の南半球は季節性が減少します。冬に、地球の太陽との距離が近づくと、北半球は季節性が減少し、逆に夏の南半球は季節性が増大します。

問6

地球温暖化で起きることの逆を考えます。気温が下がり、氷河や氷山が増え、海へ流れ込む水の量が減るので、海水面は下降します。
川のはたらきによる地形はよく出されますが、海の地形に関する問題はあまり出されることがないので、戸惑う生徒もいたと思います。海岸段丘(浸食と隆起が繰り返されて、階段状の地形になったもの)・海食崖(沈降して、急に深くなった海岸線に、強い波が打ち付けられることで削られて急な崖になったもの)・リアス海岸(谷が沈降してできた入り江)・波食台(海食崖の浸食がすすんで後退するが、浅い海底は浸食されずに残る。これが隆起すると、平らな面が現れる)などがあります。

合否を分けた一題

問4では、図7でZ=0の場合について、グラフを利用しました。それでは、角度Zをじょじょに大きくしていくと、どのようになるでしょうか。図7とグラフを行き来しながら、つり合いに変化が起きる瞬間を見つけます。

[1]
問5

図7で見ると、Gはばねはかりの位置より、角Yだけさらに角度があるので、支点Cからの水平方向の距離の変化の割合が大きくなっています。そして、Gが支点Cの真上にきたとき、キャリーバックは自立し、F=0となると考えられます。このとき、Y+Z=90 です。
これは、グラフのF=0のときに当たるので、グラフから、Z=65°
式に代入すると、Y+65=90 となるので、Y=25(°)

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