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理科の合否を分けた一題

豊島岡女子中入試対策・理科の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

(1) A  (2) A  (3) B  (4)A  (5)B
(1) A  (2) A  (3) B
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) B  (6) B

A…豊島岡合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2020年度の豊島岡は、受験者平均30.67点(昨年度37.37点)、合格者平均34.36点(昨年度41.80点)と、難易度が低かった去年より大幅に平均点が下がり、平年並みに戻しています。
定番の計算問題の難問(つるかめ算など)がなく、ひとつひとつの問題においては、特に難易度が上がっているという印象はありません。それでも平均点が下がった理由としては、平易な導入問題がなく、最初からドーンと難しい問題に飛ぶような展開が多く、基礎点がかせげなかったことが考えられます。

物理分野の問題は、ばねの伸び縮みとゴムひもの伸び、棒のつり合いについての問題。
化学分野の問題は、水溶液の性質についての問題。
生物分野の問題は、ヒトのからだのつくりとはたらきについての問題。
地学分野の問題は、地震の発生とホットスポットについての問題。

物理→化学→生物→地学 の流れは、例年通りです。
もちろんその年の出題によりますが、さっと見て特に変わったところがなければ、大問3、4を先に完成させてから、大問1、2に取り組むのが鉄則です。
大問中で冒頭に難問が配置されている場合は、万が一先行する小問ができなくても、あとに続く問題で視点を変えた問題が配置されていれば得点できる可能性があるので、粘り強く取り組むことが大切です。
全体として、リード文からの情報整理を、書き出しながら丁寧に処理することを基本姿勢としましょう。
また、知識問題においては、弱点を残さないよう万遍なく学習しておくことが重要です。
数的処理力を必要とする問題に対しては、表やグラフを読み取り、関連付けて考える力をつけておく必要があります。ある程度の演習量も必要ですが、考え方や式をかくことで、解法を自分のものにしておくことが大切です。

問題構成は、4分野から大問4題、小問32問。昨年より、3問増加しています。
解答形式は、記号選択が16問、数字が11問。言語が5問でした。
記号選択が、昨年の20問から減少し、例年並みに戻しています。
数字は、昨年に続いて少なくなっています。
言語は、どれも基本の知識が中心で、解答しやすいものでした。

問題別寸評

(物理)ばねの伸び縮みとゴムひもの伸び、棒のつり合いについての問題です。
豊島岡にあっては、いきなり箱ばねからのスタートです。強い気持ちで取り組むことが大切です。
条件を整理しながら解き進める形式は、いつもの豊島のパターンです。煩雑な計算はありませんでしたが、手を動かしながら整理し、丁寧に処理していく必要があります。

(1)

グラフから、このばねは10gで1cm伸び縮みするとわかります。ばねは、力によって引き伸ばされても、押し縮められても、もとの長さに戻ろうとします。図のおもりを1cm下に下げると、ばね1には下向きに10g、ばね2にも下向きに10gの力がはたらくので、合計20gの力が必要です。いま、おもりの重さが40gなので、おもりは2cm(1×40/20)さがるはずなので、ばね1は12cm(10+2)、ばね2は8cm(10-2)になります。

(2)

グラフからわかるように、ゴムひもは伸びますが縮みません。図のゴムひも2はたるむので、おもりの重さ40gは、すべてゴムひも1にかかります。したがって、ゴムひも1の長さは、10+4=14(cm)となります。

(3)

→合否を分けた一題参照。

(4)

棒の中央に、40+200=240(g)の力がかかるので、ばねはかりには、240÷2=120(g)がかかります。

(5)

ゴムひもにかかる力が50g増えると、ゴムひもは5cm伸びます。実験結果の表から、おもりの重さが600gまでは、かかる力と伸びが比例しています。このときにゴムひもにかかる力は、(600+40)÷2=320(g)なので、おもり3個(320÷100=3あまり20)までは大丈夫だとわかります。

(化学)水溶液の性質についての問題です。
計算をからめた化学反応の問題は豊島岡の定番ですが、今年度は計算の比重がやや軽くなっている印象です。

(1)

実験結果を整理して書きだして、水溶液が何であるかを特定していきます。6種類の水溶液を、9つの中から選ぶため、やや難易度が高くなっています。
A:非電解質で溶質が気体でも液体でもないことから、砂糖水とわかります。
B:塩酸(D)以外の酸性の水溶液で、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムと反応することから、酢とわかります。
C:アルカリ性で、溶質が気体のアンモニア水があてはまります。
D:酸性でFの水酸化ナトリウム水溶液と反応して、Eの食塩水ができることから、塩酸とわかります。

(2)

10%の塩酸80gには、塩化水素が8g(80×10/100)入っています。また、5%のアンモニア水60gには、アンモニアが3g(60×5/100)入っています。過不足なく反応する量の比が、塩化水素:アンモニア=75:35=15:7であることから、アンモニア3gすべてが反応すると、塩化アンモニウムが、110×3/35≒9.4(g)発生します。

(3)

酵母は、ブドウ糖をアルコールに変えます。さらに、アルコールに酢酸菌を加えて酸素を通すと、酢酸をつくることができます。
これは、お酒やお酢をつくる工程で利用されています。聞きかじったことがある生徒は、有利だったのではないでしょうか。

(生物)ヒトのからだのつくりとはたらきについての問題です。
最近トレンドの、CT検査(X線を使って撮影しコンピュータで処理したもの)の断面図を使った問題です。図を見て、どの部分が何の臓器か、どのあたりの断面で、前後左右がどちらにあたるのかを判断します。1対1で対応する臓器の名称が示されていることから、比較的取り組みやすくなっています。

(1)

図1は、左右に大きな臓器④が見られ、これが肺にあたるので、Xの位置です。
図2にも、左右に1つずつある臓器⑥が見られ、これがじん臓にあたるので、Yの位置とわかります。

(2)

肺にはさまれた位置の③は、心臓です。大動脈は、心臓の背中側にあるので、A側が背側です。

(3)

肺についで大きい⑤はかん臓、袋のように見える⑦は胃、胃の背中側にある⑧はすい臓です。残る2つの管〔食道 大静脈〕は、①か②のどちらかですが、図2で胃が見られることから、②は食道ではなく大静脈とわかります。

(4)

それぞれの臓器のはたらきについての、基本の知識を問う問題です。どの臓器であるかがわかれば解答できる問題です。

(地学)地震の発生とホットスポットについての問題です。
標準的な内容で、比較的取り組みやすい問題になっています。リード文の数字を読み落とさなければ、迷うことなく処理できるのではないでしょうか。

(1)

地震の規模の大きさはマグニチュード、ゆれの大きさは震度です。よく聞かれる基本の知識です。

(2)

海洋プレートが大陸プレートの下にしずみこんでいる境目のところでは、岩石がとけてマグマになりやすくなっていることがわかっています。こうしてできたマグマは、岩石よりも軽いので、浮力によって地上に向かい、岩石の隙間にそって上昇して、噴き出したところが火山です。

(3)

表から、震源からの距離が30km(90-60)ちがうと、小さなゆれがとどく時刻が6秒(7時34分11秒-7時34分5秒)ちがうので、小さなゆれの伝わる速さは、30÷6=5(km/秒)です。
同じように、震源からの距離が30kmちがうと、大きなゆれがとどく時刻が10秒(7時34分23秒-7時34分13秒)ちがうので、大きなゆれの伝わる速さは、30÷10=3(km/秒)です。

(4)

小さなゆれの伝わる速さを使うと、60kmを12秒(60÷5)で伝わるので、地震が発生した時刻は、7時34分5秒―12秒=7時33分53秒とわかります。
大きなゆれの伝わる速さを使っても解くことができます。

(5)

リード文を読んで、火山の位置とホットスポットとの関係を考えます。これまでも何校かの入試問題で取り上げられているので、見たことがある生徒は有利だったかもしれません。
島6が4000万年前、島8が5000万年前に生成されたとあるので、4500万年前は、島6から島8へ動く間なので、南から北への移動にあたります。

(6)

「現在」の移動速度を求めるのですから、島1から島6までの移動距離2000kmを手掛かりにします。島1が現在、島6が4000万年前なので、(2000×1000×100)÷(4000×10000)=5(cm/年)です。

合否を分けた一題

ひとひねり、ふたひねりある問題が散見される豊島岡の理科に対して、豊島岡受験生は果敢に取り組んだはずですし、また、そうでなくては合格を勝ち取れません。そんな問題の中で、やはりミスしがちなのがグラフを選ぶ問題ではないでしょうか。豊島岡は、いろいろな事象について、実に様々なタイプのグラフにからめた問題を毎年出題しています。グラフを読み取るだけでなく、数的処理を行ったり、分析して考察したりできるかどうかが問われています。
リード文を読んで条件をしっかり把握しなければならないのはもちろんですが、この問題は、場合分けの考え方を使って処理する必要があったため、合否を分けた問題に取りあげました。
 

(3)

まず、グラフの横軸と縦軸の関係を確認します。
縦軸は、ゴムひもの長さです。ゴムひもは縮みませんので、たるんだ状態でも長さは10cmです。つまり、たるんだ状態~伸びる直前の場合は、10cmで一定です。この先は、ゴムひもにかかる力の変化によって場合分けをしていきます。
横軸は、手を動かし始めてからの時間です。手は、真上に向けて一定の速さで動いているので、床からの距離は、一定の速さで変化します。

<ゴムひも1>
①手を動かした距離が0~10cmのとき…長さ10cmで一定。
②手を動かした距離が10cm~14cmのとき…10cmをこえると伸びはじめます。伸びが4cm(手を動かした距離14cm)になると、おもりが床をはなれます。
③手を動かした距離が14cm~24cmのとき…ゴムひも2がたるんでいる間は、ゴムひも1にかかる力は40gで一定なので、ゴムひも1の長さも14cmで一定です。このあと、手を動かした距離が24cmになると、ゴムひも2が伸び始めます。
④手を動かした距離が24cm以上のとき…ゴムひも2が伸び始め、ゴムひも1に、ゴムひも2が元の長さにもどろうとする力が加わります。このとき、ゴムひも1・ゴムひも2の両方が伸びて、手を動かした距離の変化を分担するので、②のときよりも、グラフの傾きが半分でゆるやかです。
<ゴムひも2>
①手を動かした距離が0~10cmのとき…長さ10cmで一定。
②手を動かした距離が10cm~14cmのとき…長さ10cmで一定。
③手を動かした距離が14cm~24cmのとき…長さ10cmで一定。
④手を動かした距離が24cm以上のとき…ゴムひも2が、手が引き上げる力によって伸び始めます。

以上を手掛かりに、グラフを選びます。
選択肢のグラフを見比べると、横軸の1目盛りが、1cmにあたることがわかります。

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