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理科の合否を分けた一題

世田谷学園中学入試対策・理科の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

問1 A   問2 A  問3 A  問4(1)A (2)A  (3)A  問5 A
問1 A   問2 A  問3 B  問4 B  問5 B
問1 B   問2 B  問3(1)C (2)C (3)C  問4 C
問1 A   問2 B  問3 A  問4 A  問5 B 問6 B

A…世田谷学園合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2019年度の世田谷学園の入試は合格者平均点29.6点(50点満点)、受験者平均点24.7点(50点満点)でした。難易度は例年通りだったといってよいでしょう。知らなければ解くことが困難、または知っていれば有利であったという問題もありましたが、受験生の多くが準備するであろう見慣れた問題をしっかり得点できていれば十分に合格点には届いたであろうと思われます。大問1と大問2がそれにあたります。
物理分野の問題は、ふりこ、物体の運動に関連した問題。
化学分野の問題は、塩酸と石灰石による二酸化炭素の発生量についての問題。
生物分野の問題は、生活用水に関する環境についての問題。
地学分野の問題は、火山噴出物と地層についての問題。
対策としては、まず、基本的知識を定着させること。また、近年計算問題の出題が増えている傾向が多くの中学入試で見受けられます。パターンで対処できるよく見る計算問題は練習をかさねて行くことがより一層必要になると思われます。最後に対策として挙げられることは長文のリード文になれるということです。一問一答の学習は知識の確認および定着においては欠かせない手段ですが、その学習にだけ偏ってしまうとなかなか初めて見る内容のリード文が読み切れず問題文の意味が分からないまま解かなければならないというい事態になります。初見の問題でもリード文の中に考え方を誘導してくれている問題も少なくありません。
問題構成は、4分野から大問4題、小問29問。
解答形式は、言語が3問、記号選択が15問、記述が1問、数字が9問、グラフ作成が1問。
記述は1行程度のものでした。

問題別寸評

(物理)ふりこ、物体の運動に関する問題です。
おもりをつるしてふりこを作り、それを持ち上げて最下点で木片に衝突させ、木片の移動距離を測定する問題です。その際、おもりを放す高さ、おもりのおもさ、糸の長さを変えて実験した測定結果が表に与えられており、それをもとに問題に解答するという出題でした。しかし、多くの受験生は知識として木片の移動距離は①おもりを放す高さに比例すること、②おもりのおもさに比例することを知っているうえで解答していると思いますので容易に解答できたのではないでしょうか。

問1

表1の実験結果は表2の実験番号3の測定結果です。表2の①の値は表1の5回の実験結果の平均を計算します。(8.0+8.1+7.9+8.0+8.1)÷5=8.02 小数第1位まで求めるので 8.0

問2 

おもりを放す高さ(A)と木片が動いた距離(D)は比例の関係になります。

問3 

おもりの重さ(B)と木片の動いた距離(D)も比例の関係にあります。

問4(1) 

表2の実験番号1を基準に考えます。Aが2倍、Bが2倍、したがって、2×2=4倍になります。
実験番号1の測定結果が4.0㎝ですから、4.0×4=16.0㎝

問4(2) 

(1)と同様に、表2の実験番号1を基準に考えます。Aが1.5倍、Bが1.5倍、したがって1.5×1.5=2.25倍になります。実験番号1の測定結果が4.0㎝ですから、4.0×2.25=9.0㎝

問4(3) 

(1)と同様に、表2の実験番号1を基準に考えます。Aが0.75倍、Bが0.375倍、
実験番号1の測定結果が4.0㎝ですから、4.0×0.75×0.375=1.125㎝ 小数第1位まで求めるもで 1.1㎝

問5

手を放してから木片にあたるまでの時間が最も短いものを選ぶ問題。手を放してから最下点までの時間が最も短いとは、周期が最も短いことを意味しています。周期の長さは糸の長さに関係していて糸が短いほど周期は短くなります。実験1~9の中で糸の長さが最も短いものは70㎝の8と9です。

(化学)塩酸と石灰石による二酸化炭素発生に関する問題。
ある濃さの塩酸50㎤に様々な重さの石灰石を加えて発生する二酸化炭素の体積を示した表が与えられている出題でした。問1、問2は基本的な知識、問3、4、5は計算問題、問6はグラフの作成でした。
計算問題は複雑な問題ではなく、いずれもよくみる典型的な問題です。全問正解することがのぞましいでしょう。

問1

炭酸カルシウムを主成分としない固体を選択肢から選ぶ問題。食塩とガラスは炭酸カルシウムを成分としない物質です。

問2

塩酸と炭酸カルシウムが反応して発生する気体は二酸化炭素です。

問3

塩酸50㎠と過不足なく反応する石灰石の重さは表から5.0gとわかります。

問4

塩酸Aの4倍の濃さの塩酸10㎤は、塩酸A40㎤がとかすことができる石灰石と同じ量の石灰石を溶かすことができます。塩酸A50㎤がとかすことができる石灰石の重さは5.0gですので塩酸A40㎤がとかすことができる石灰石の重さは4.0gです。

問5

石灰石5.0gから二酸化炭素1000㎤をつくることができます。二酸化炭素2018㎤を作るのに必要な石灰石の重さは5.0×2.018=10.090g このとき必要な塩酸Aは50×2.018=100.9㎤ となります。

問6

グラフを作成するときの注意点としては、塩酸Aのメモリが250㎤まで記載されていますが、グラフ250㎤で止めるのではなく、グラフの端まで線を書ききることです。
2019_gouhi_rika_01

(生物)生活用水と環境に関する問題。
琵琶湖の北西に位置する高島市針江地域。この地域の地下水を利用した水文化についての問題です。
初めて見る問題でもリード文や図、写真などから推察し解答する種類の問題でした。どの受験生も解きづらさを感じたのではないでしょうか。

問1

水を汚さず利用するための工夫として、食べた後の食器や鍋を「端池」につけておきます。端池でコイなどの魚を飼っており、食器についた食べ残しなどをコイに食べてもらいます。汚れのおちた食器は壺池から端池に流れ込む水で洗い流します。

問2

コンクリート護岸は、自然の川に近づけるためにコンクリート護岸の水面の近くにくぼみを作っておきます。これは魚などが水流を避け、かくれ家とするためのものです。水が滞留し、生き物がひっかかったり隠れたりすることができる場所を作っているのです。

問3 (1)

バイカモやセキショウモは名前に「モ」が付いているので「藻」の藻類(ソウ類)と思われた受験生も多かったのではないでしょうか。バイカモやセキショウモは種子植物です。

問3 (2)

バイカモやセキショウモは繁殖力が旺盛で、環境保全のために年に何回か刈り取りを行います。刈り取ったものは一定の処理を行った後、肥料として畑や水田にまいて利用されます。

問3 (3)

刈り取りの際に、バイカモの一部は残しておきます。刈り取ったところと刈り取っていないところの水質の違いを見るための指標にするためです。

問4

河口周辺に広がっているヨシ原は、茎についている微生物や土中の微生物などによって水の汚れを分解し、それを吸収することで水質浄化に役立っています。その他、卵からかえった小魚のえさ場や鳥の産卵・生育など、生き物のすみかとして利用されています。

(地学)柱状図があたえられたボーリング調査の問題
柱状図はボーリングした深さで表されているもとの標高で表されているものの2種類があります。
実はこの2種類の柱状図の区別がつかず同じように解いてしまう受験生がかなり多くいます。今回の出題は標高で表されているものですが、もしボーリングした深さで表されている柱状図が与えられた場合は、標高表示に書き直してから解きましょう。柱状図の出題ではよく見る問2のような問題、Ⅱの地層よりもⅠの地層の方が新しいことを確認したうえで示準化石の種類が問われる問5の問題、凝灰岩の粒の大きさを考慮したうえで選択肢を選ぶ問6の問題などは決して難問ではありませんが正解、不正解が分かれた問題ではないでしょうか。これらの問題は合否を分けた一題で触れていきます。

問1

各地点での凝灰岩層aに着目してみます。凝灰岩層aが各地点で標高何mに位置しているのかを見ていくとA地点では20m、D地点では30m、B地点とC地点では40mであることがわかります。したがって地層の傾きは北に向かって下がっていることがわかります。

問2

合否を分けた一題で扱います。

問3

河口付近であったということはれき岩層が存在していることになります。れき岩層は2種類見られるので少なくとも2回は河口付近の環境だった時代があったことになります。

問4

図のような地層と地層の間の不連続な重なりを不整合といいます。

問5

合否を分けた一題で扱います。

問6

合否を分けた一題で扱います。

合否を分けた1題

前述のとおり、柱状図の問題を苦手にしている受験生はかなり多いです。今回の問題では問2でE地点の地表から20m、50m、100mに位置する地層の種類を問われていますがこの3問を正解できる場合とそうでない場合では結果がかなり変わってきます。受験生は夏期期間終了までに柱状図の典型的な問題の演習をおこないマスターすることおすすめします。問5も示準化石がどの地質年代のものなのかを明確に答えられるように基本的知識の整理をしておきたいものです。問6は選択肢がどれも似たような文章になっているので、文章をに印などをつけて正確に読み取らなければなりませんでした。そういったことからこれらの問題は合否を分けた一題といえるでしょう。

問2

E地点は標高110mなので、E地点の地表から20mの地点は標高90mです。リード文中にどの地点でも標高80m以上で関東ローム層が見られたとありますので答えは関東ローム層(エ)になりますす。地表から50m地点では標高60mということになります。E地点での地層はA地点での地層と並行になっているのでA地点での標高60mを見るとれき岩層(ウ)だとわかる。Eの地表から100mの地点は標高10mです。A地点の標高10mを見ると砂岩層(イ)であることがわかります。

問5

リード文より柱状図のⅡからはアンモナイト(中生代)が見られたとあります。柱状図のⅠはⅡよりも後にできた地層ですので、ビカリア(新生代)であることがわかります。示準化石はフズリナ・サンヨウチュウ(古生代)、アンモナイト・キョウリュウ(中生代)、ビカリア・マンモス(新生代)をおさえるようにしてください。

問6

凝灰岩層のほうが凝灰岩層bよりも透明なものが多いことから、凝灰岩層aの方が無色鉱物(チョウセキ・セキエイ)が多く含まれていることになります。この時点で正解の選択肢は(ウ)か(エ)に絞られます。
また、凝灰岩aの方が凝灰岩層bよりも粒が小さいので凝灰岩層aは凝灰岩層bより遠くから飛んできたことがわかります。よって正解は(ウ)になります。

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