[1] | (1)A (2)A |
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[2] | (1)A (2)A (3)A (4)A (5)A (6)B |
[3] | (1)A (2)B (3)B |
[4] | (1)A (2)A (3)B |
[5] | (1)B (2)A (3)C |
A:本郷合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断してとばすべき問題
受験者平均点が53.7点、合格者平均点が68.1点と両者で点差が開く結果となりました。
また、今年も大問1は計算が全2問、大問2は小問が全6問(昨年は全7問)、3~5は3つの単元にわかれて、という昨今の形式が踏襲された入試となりました。
詳細については大問1が逆算と分数・小数の計算、大問2は割合の文章題が2問、数の性質が1問、和と差に関する文章題が2問、平面図形が1問、大問3はグラフの問題、大問4は場合の数の問題、大問5は立体図形の応用問題でした。
受験生が一般的に求められるレベルの計算問題。2つとも落とすことは出来ません。時間の目安としては3分ほどです。
式で与えられているのが整数のみなので、しっかりと計算の順序を考え、計算できるところから数値を出して答えを求めたいところです。
様々なジャンルの混ざった小問集合。こちらも、大問[1]に引き続き、本校の合格を目指すためには落とすことは出来ません。6問中、ミスがあっても1問までには抑えたい所です。時間の目安は12分ほどです。
和と差に関する文章題から平均算の問題です。回数がわからず、合計点が求まらないので面積図や天秤を使って対処しましょう。
数の性質の問題です。0が何個連続して並ぶか=10で何回割れるか、と解釈します。10=2×5なので、1×…×50が5で割り切れる回数を調べればよいです。
割合の文章題から相当算の問題です。「BはCの…」「DはCの…」という条件から、C=①とおいて他のA,B,Dを計算していくようにしましょう。
割合の文章題から仕事算の問題です。仕事の全体量を1とおいてもよいですし、問題文にある分数の分母の15と18の最小公倍数=90でおいても答えは求まります。問題文前半の条件からA+Bが求まり、後半の条件からBが求まりますので、その差がAということになります。
和と差に関する文章題から、2つの整数同士の和や差を考える問題です。4つの整数を小さい順にA,B,C,DとするとA+B<A+C<A+D、B+C<B+D<C+Dとなりますが、A+DとB+Cについては大小の判別が出来ません。問題文の条件からA+B=46、A+C=51、B+D=62、C+D=67までは確定しますが、A+DとB+Cについては考える必要があります。C-B=67-62=5で奇数となり、和差算を利用するとB+Cは奇数である55になります(B+Cが偶数である58の場合、BもCも計算結果が小数になってしまう)。ここからDが求まります。
大きな正三角形の周りに、小さい正三角形を転がす回転移動の問題です。まずは転がった後の正三角形をすべて作図し、頂点記号P,Q,Rをすべての三角形に書き込みます。そのうえでPが移動する線を、おうぎ形の中心がどこであるか・意識しながら描いていくようにしましょう。おうぎ形の半径がすべて2㎝なので、中心角についてもまとめて計算すると時間の短縮になります。
ここからは大問になります。本校では毎年必ず出題されるグラフの問題ですが、今年は一風変わったものとなっています。後ほど合否を分けた一題として記述していきます。
2人の会話形式で問題を考えさせる、場合の数の問いです。テーマは例年違いますが、会話が問題を解くための誘導となっているので、しっかりと時間をかけて考えていけば正解にたどり着けることでしょう。
Cを一度も通らず、Dを2回通るのでA→F→E→D→E→D→E→F→Aの経路となります。
2回移動するごとにAを経由できるので(例えばA→F→Aといったように)、動きとしてはA→□→A→□→A→□→A→□→Aとなります。各々の□はBかFのみの2通りとなり、答えが求まります。
二人の会話をもとに、問題用紙7頁の図を完成させると以下のようになります。
後はAを出発点として、8が到達点になるような最短経路の問題と捉えれば答えが求まります。なお、問題文を全て読んだうえで図を描き、(1)~(3)まで全て解く方が効率的です。
最後の大問であり、昨今の入試で良くテーマとして扱われる図形の問題。底辺と高さの比を利用した平面図形の問題から、それを回転体である立体図形の問題へと昇華させています。最終問である(3)は、特別な知識・解法が必要となるため相当な難問と言えるでしょう。
図の対称性を考え、対称軸をBDあるいはACとして考えていけば難なく作図できる問題です。
本入試、最後の問題にしてかなり難易度の高い回転体の問題です。パップス・ギュルダンの定理と呼ばれる、高校数学も絡むような回転体の体積をすぐに求めることのできる方法を使わなければ、本問を解くことは難しいでしょう。
パップス・ギュルダンの定理とは、“回転体の体積=回転させたい図形の面積×その図形の中心が動く長さ”というものです。
これにならうと、回転させたい図形の面積は(1)より28㎠です。図形の中心、即ち点Oが動く長さは、半径が6÷2=3㎝の円の周りの長さとなるので、3×2×3.14=6×3.14㎝となります。先ほどの定理から、体積が計算できます。パップス・ギュルダンの定理は、かなり高等なテクニックですし、他の中学校の入試で頻繁に出題されるものでもありませんから、無理に憶える必要はないといえます。本問は、それ故に相当正答率は低いものと思われますので、回避して他の問題を解く方がよいでしょう。
後半の大問群の中で、本郷中では必ず出題されるグラフの問題について、今年は大問3を、合否をわけた一題として紹介しましょう。2台のエレベーターの高低差という普段見慣れないような動きを題材にした問題で、グラフの読み取りを正確にしなくてはならないために差がついたものと思われます。
本問は1台のエレベーターの動きだけを考えればよいので難易度は低いです。図Ⅰのグラフから、1階から15階に上がるまでに111秒かかります。途中の階に1回につき9秒ずつ、計3回止まるのでその時間の合計は9×3=27秒間です。移動でかかった時間の合計は111-27=84秒となります。全部で15-1=14階分(間の数が絡む植木算です。15階分ではありません)移動するので84÷14=6秒となります。
答え:6秒
図ⅠにてAが最初に止まる42秒後、図ⅡではAとBの高さに変化が起こっていません。これはBもAと同じように、同じ階で止まったからです。42÷6=7階分、つまり7+1=8階で1回目に止まったことになります。
次に、42+9=51秒後に両エレベーターは9階に向かって動き始めますが、図Ⅱを見てみると、その6秒後である57秒後には差が開き始めています。Aが次に停止するのは図Ⅰから75秒後なので、これはBが停止したことを示します。6秒で1階分進むので、Bは8+1=9階で2回目に止まったことがわかります。
また、Aが2回目に停止する75秒後、図Ⅱでは高さの差が減っていますが、その3秒後にはグラフが横ばいになっています。これは78秒後にBも停止したことを表します。Bはこれまでに2回止まっており、(78-9×2)÷6=10階分進んだので、10+1=11階で3回目に停止したことがわかります。
答え:8階、9階、11階
先ほどの続きから考えます。Bが3回目に停止するのは78~87秒後までなので、85秒後は11階で停止していることになります。よって答えは③となります。
答え:③
本問にて問われる力は、片方のグラフのある時点を見た時に、もう片方のグラフを見て何が起こっているのか?を推察する力です。この問題だけではなく、大問4にもあるような会話の内容を正確に判断して分析するといった力も、本校攻略には欠かせないものだと言えます。