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社会の合否を分けた一題

本郷入試対策・社会の合否を分けた一題(2017年度)

難易度表

[1] 問1(A)B(B)B(C)C(D)A  問2 B  問3 A  
問4 A  問5 B  問6 B  問7 B  問8 B  問9 B 
[2] 問1 A  問2 A  問3 B  問4 B  問5 B  問6 A  
問7 A  問8 A  問9 A  問10 A  問11 A 問12 B
問13 B  問14 C  問15 A  問16 C  問17 A
[3] 問1(1)A(2)A  問2 B  問3 B  問4(1)A(2)A 
問5 A  問6 A  問7 A  問8 A  問9 B

A…易しい(本郷中合格を目指すなら確実に正解すべきレベル)
B…標準的(ややまぎわらしいが落とせないレベル、ここで差がつく問題)
C…難しい(受験者の大半ができないため差はつかない問題)

全般的分析

2017年度の本郷中学の社会は、例年通り40分で大問3つの構成でした。[1]は地理、[2]は歴史、[3]は公民分野という出題も例年通りです。特徴としては、解答問題数が45問と非常に多いこと、その中でも用語を記述させる問題が20問と半数を占めることが挙げられます。本校を志望する受験生の皆さんは、まずは用語を漢字で正確に書ける力をしっかり身につけておくことが必要です。その上で時間内に全問解答できるスピードを身につけるよう取り組んでください。また、地理・歴史・公民とも、ユニークな題材に注目したリード文を使った総合問題の形で出題されることが多いことも挙げられます。地理や歴史では難問も見られますが失点が合否に影響することはありませんので、落ち着いてリード文を読んで正解できる問題を確実に得点していくことを優先させて下さい。用語記述問題は、特に歴史分野で多く出題されます。問題文の中に潜む「キーワード」をしっかり見抜ける力をつけていきましょう。また、公民では政治・経済分野からの時事的な問題も出題されています。小5・小6の期間に起こった直近のニュースについては必ず確認をしておきましょう。

問題別寸評

[1]

(地理)港をテーマにした地理の総合問題です。

問1

(A)九頭竜川は福井県を流れる北陸地方の主要河川で上流には水力発電地帯があります。(B)岐阜県はかつて美濃と呼ばれ、美濃和紙や美濃焼などの伝統工芸品が有名です。(C)秋田県北部にある能代市にそそぐのは米代川になります。正解するのは難しい問題だったと思います。(D)北海道にある製紙・パルプ工業であることから苫小牧と分かります。鉄鋼で有名な室蘭と区別しましょう。

問2

合否を分けた1題で扱います。

問3

地形図の読み取りの問題です。このような単純な知識ではなく、むしろ受験生の正確さや精度を見てくる検証問題を確実に得点できたかどうかが合否の分かれ目となります。また、地図中から必要な情報を迅速に見つけるスピードも要求されています。日頃から、正確さと時間を意識した問題演習を心掛けてください。

問4

石油化学工業ではない製品を選ぶ問題です。ガラス工業は、陶磁器やセメントと同じ「よう業」に分類され、軽工業に含まれます。

問5

オイルショックのため石油ではなく石炭を使って火力発電を行ったのが能代火力発電所です。石炭の最大の輸入相手国はオーストラリアとなります。
問6
日本海側における最大の人口を有するのは新潟市です。新潟市は日本海沿岸の都市で唯一の政令指定都市であることも覚えておきましょう。

問7

福井県はかつて越前と呼ばれ、その名が「越前和紙」や「越前塗り」などに残っています。また、鯖江市は「めがねの街」として知られ、全国のめがねフレームの90%を生産しています。そろばんは、島根県や兵庫県での生産がさかんで、それぞれ伝統工芸品に指定されています。

問8

青森県から山形県にかけてある山地は、出羽山地です。奥羽山脈、北上高地とともに合わせて押さえておきましょう。

問9

茨城県はメロンの生産が全国一で鉾田市が有名です。アのらっかせいは千葉県、ウのいちごは栃木県、エのキャベツは愛知県がそれぞれ全国一となります。

[2]

(歴史)接着剤をテーマにしたリード文を使い、歴史事柄を答えさせる総合問題です。

問1

白村江の戦いは、663年に起こった日本・百済連合軍と唐・新羅連合軍が朝鮮半島で戦った戦いです。ア、壬申の乱は672年に起こった古代最大の戦いとして有名です、イ、694年、日本初の本格的な都として藤原京に遷都が行われました、

問2

享保の改革を行った徳川吉宗は、裁判の基準を公平化させるため「公事方御定書」を制定しました。

問3

聖徳太子の政治として、十七条の憲法、冠位十二階、遣隋使がありますが、第一回遣唐使が派遣された630年には聖徳太子はすでに亡くなっていました。エの「天皇記」は聖徳太子や蘇我馬子が編纂した歴史書です。

問4

東大寺は聖武天皇が奈良時代に建立しましたが、東大寺南大門にある金剛力士像は、鎌倉時代に運慶・快慶が作成しました。

問5

鹿苑寺金閣を創建したのは足利義満です。南北朝の統一や勘合貿易の業績を知っていても、将軍を退いて太政大臣になっていたことを知っていた受験生は少なかったと思います。守護大名が強大になるのが室町時代後半であることから、誤っていることを見抜きましょう。

問6

明治維新後の文明開化では、学制や郵便制度の他にも鉄道や人力車、太陽暦や肉食の採用など様々な西洋の文化を取り入れました。アの自転車の普及は文明開化のずっと後となります。

問7

基本の年号になります。関東大震災(1923年)→普通選挙法(1925年)→五・一五事件(1932年)→二・二六事件(1936年)となります。

問8

基本の年号です。柳条湖事件(1931年)→盧溝橋事件(1937年)→真珠湾攻撃(1941年)→広島・長崎への原爆投下(1945年)となります。

問9

1960年代を挟んで長い間アメリカを苦しめた戦争はベトナム戦争になります。

問10

東海道新幹線は、東京オリンピックと同じ1964年に開業しました。 2016年には新青森駅と新函館北斗駅を結んだ北海道新幹線が開業しています。

問11

平安時代の貴族たちは、日本の風土や自然を生かした寝殿造と呼ばれる建築様式の邸宅で暮らしました。

問12

奈良県明日香村にあるキトラ古墳の壁には四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)が描かれており、一躍有名になりました。同じ明日香村にある高松塚古墳とともに、日本を代表する古墳の1つと言えます。

問13

姫路城は2009年から2015年まで「平成の大工事」として天守閣の修理を行っていました。

問14

浄土教は平安時代に広まった極楽浄土思想で、空也などによりその教えが民衆にも広まっていきました。
鎌倉新仏教の法然や親鸞にも大きな影響を与えました。

問15

正倉院は、天平文化を代表する建築物です。聖武天皇の遺品を納めている倉庫であること、校倉造という建築様式を用いていることを確認しておきましょう。

問16

作品名だけでは特定が難しかったと思いますが、設問中の「琳派」という単語の中にある「琳」の文字に注目することで、正解を出せるようにしましょう。尾形光琳は元禄文化を代表する絵師で、「風神雷神図」などが代表作になります。

問17

設問条件が「4字」ですので、漢字で書く必要があります。日頃から重要用語については正確に漢字で書いていた受験生は得点することで差をつけることができた問題と言えます。

[3]

   
(政治)金庫の販売数量に関する資料を利用して、公民分野の知識を問う総合問題です。

問1

(1)答えはエの橋本徹です。アの桝添要一は前東京都知事、イの河村たかしは現名古屋市長、ウの松井一郎は現大阪府知事です。東京や大阪など大都市の首長については、氏名まで確認しておきましょう。(2)基本問題です。2020年の東京オリンピックのメイン会場は、新国立競技場です。

問2

各市区町村から住民に対して個人番号を付与し、税や社会保障などの各種手続を行う制度をマイナンバー制度と言います。個人番号は12桁の数字で管理されます。

問3

ア、消費税は医療費の他にも年金や子育て支援の財源になっています。イ消費税が導入されたのは、1989年竹下内閣の時です。エ、歳入では法人税、所得税が消費税を上回っています。

問4

天皇の国事行為、衆議院の解散とも基本問題となりますので、確実に得点しましょう。

問5

日銀は「銀行の銀行」とも言われ、発券銀行の役割も果たしています。日銀が発行する紙幣には「日本銀行券」と記載がありますが、貨幣は「日本国」となっており、政府が管理をしています。イ、個人が日本銀行に預金口座を開設することはできません。ウ、日銀は国債の売買を行い、市場に出回るお金の量をコントロールして景気を調整します。エ、日本銀行は株式会社ではなく許可法人となります。

問6

国会・内閣・裁判所の仕事内容については、得点源にしたい設問です。ウ、最高裁判所裁判官は内閣が任命します。

問7

マイナンバー制度は基本問題になります。生活に身近なテーマに関する出題は年々増えています。

問8

マイナス金利は、民間銀行の資金がより市場に出回りやすくすることで、景気や経済が活性化することを狙った日銀の政策になります。

問9

問題文から検証をして解答を導き出す問題です。「資金を保管」「自宅に現金を置く」などから金庫が解答になります。「タンス預金」という言葉もあるように、マイナス金利の導入で資金を金融機関に預けずに家庭内に保管することも増えたと言われています。

合否を分けた一題

今回は、地理から、地図の縮尺を求めて、地図の面積から実際の面積を求める問題を選びました。社会の入試問題であっても、縮尺や時差、選挙の当選人数など、計算問題が出題されることは少なくありません。算数とはまた違った側面で、受験生の計算力を試しているのです。その上で、「縮尺」という知識をしっかり理解できているかを見てきている問題ですので、受験生の総合的な学力を見る良問となります。計算が混乱してミスをしてしまうことなく、落ち着いて正解にたどり着ける力をつけましょう。

[1]

   

問2

確実に正解したい問題です。ただし、今回は「面積」を答えさせる問題ですので、「縮尺」を苦手としている受験生にとっては「鬼門の問題」となります。面積の縮尺の問題では、面積を「長さ×長さ」に置き換え、「地図上の長さ」を「実際の距離」に換えてから、実際の面積を求めるようにします。今回は、地図上の面積である「4平方cm」をいったん「2cm×2cm」と置き換えることが大切です。ここで初めて地図を用いて実際の長さを求めます。地図の縮尺は5万分の1ですので、実際の距離は「2cm×50000」で「100000cm」=「1000m」=「1km」となります。従いまして、地図上で「2cm×2cm」だった面積は、実際の面積では「1km×1km」と求められます。

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