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理科の合否を分けた一題

武蔵中入試対策・理科の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

問1 A  問2 A
問1 A  問2 A  問3 違い B  理由 C
問1 A  問2 A  問3 B  問4(1) B  (2) B
問1 B  問2 C

A…武蔵合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2018年度の武蔵は、例年通り、知識力と思考力、そして、かく力を試す問題が中心でした。
特に本年は、知識中心の選択肢の問題の割合が増加し、その分、記述問題の割合が減少しています。学校が公開している平均点(60点満点)は、合格者平均36.5点(昨年度38.5点)、受験者平均31.3点(昨年度34.2点)と、昨年より下がっていることから、記述問題の難易度はそのまま、知識中心の問題はそれ以上に難易度を上げていることがわかります。

化学分野の問題は、水溶液の性質についての問題。
物理分野の問題は、空気でっぽうに関する問題。
生物分野の問題は、花に集まる生物についての問題。
武蔵特有の持ち帰ることができる「おみやげ問題」は、食品などを密閉する袋に使用されるジッパーテープでした。

武蔵のように問題文が短く、読み取りやすい一方、手掛かりの少ない中で解答するためには、知識と思考力を総動員してあたらなくてはなりません。ただ知識を詰め込むのではなく、互いに関連付けることで使える知識としておくことが大切です。また、記述対策としては、気がついたこと、考えたことを整理し、的確な表現でかく練習をしておくこと。身の回りの道具に興味をもち、その仕組みについて考えるくせをつけること。工作や実験用具を手作りした経験もまた、とても大切です。工夫した点やその利点を、図に示しながら説明できるようにしておきましょう。

問題構成は、3分野から大問4題、小問18問。
例年大問3題の構成ですが、本年は4題となっています。
解答形式は、選択肢が13問、記述が5問(うち、1問は作図も可)。昨年あった、グラフ・言語はありませんでした。例年通り、計算が必要な問題がありませんでした。
選択肢は、複数回答が多く、答えに迷うものもありました。
記述は、1行程度のものが2問、3行程度が2問、8行程度が1問でした。

問題別寸評

(化学)水溶液の性質についての問題です。
溶質(固体・液体・気体)・液性(酸性・中性・アルカリ性)についての正確な知識が必要です。

問1

実験の操作によって、何が残って、どのような液性を示すかを考えます。
試験管Aの液体が中性かアルカリ性なのは、①のアンモニア水・③の石灰水・④の食塩水です。このうち、蒸発させた後に水を入れると中性か酸性を示すのは、①(アンモニアが気体となったため)と④(再び食塩水となるため)です。

問2

試験管Aの溶質が気体のものについては、特に注意が必要です。
①試験管Aにとけていたアンモニアが、試験管Bの水に溶けて、アンモニア水になります。
②試験管Aにとけていた塩化水素が、試験管Bの食塩水に溶けて、塩酸と食塩水の混合液になります。
③試験管Aの水のみが、試験管Bにうつります。試験管Bは炭酸水のままです。
④試験管Aの水のみが、試験管Bにうつります。試験管Bは石灰水のままです。
⑤試験管Aにとけていた二酸化炭素が、試験管Bの塩酸に溶けて、炭酸水と塩酸の混合液になります。

(物理)空気でっぽうに関する問題です。
実験を通して考える問題です。シンプルな仕組みの空気でっぽうにあって、結論は見えていても、理由をかくとなると、容易ではありません。

問1

穴埋めの選択問題です。
一つ目が決まらないときは、二つ目・三つ目を先に決めてしまいましょう。
二つ目にケ、三つ目にイが当てはまるので、文脈から、一つ目の空欄はクです。
「空気は、後玉の力を前玉に伝える」
「空気は圧力によって圧縮し、もとの体積にもどろうとする力で前玉をおす」
この2点をおさえておきましょう。

問2

ここは、スムースに選べたのではないでしょうか。
押し棒をゆっくり押すと、筒の中の空気の圧力が高くなり、ゴム風船の中の空気も押し縮められます。

問3

→合否を分けた一題参照。

(生物)花に集まる生物に関する問題。
植物に関する知識ももちろん、少ない手がかりから、どう結論を導き出すか、問題の題意を考えながら決断力も必要です。

問1

聞いたことがない動物であっても、「ハナアブ」「ハナバチ」といった箇所を手掛かりにするとよいでしょう。

問2

「昆虫でないもの」を選ぶ問題です。個数指定がないので、取り違えないよう注意しましょう。
レベルとしては、基本の知識です。

問3

「都合のよい訪問者ではありません」とあるので、受粉の役に立たないと考えます。図2で、雄しべと雌しべに、ホウホウジャクが触れていないことに着目します。

問4

(1)「植物にとって都合がよい」とは、蜜を求めて訪れた虫が、受粉に一役かってくれることです。
「小さなアブやハエ」は、チョウやスズメガのように長いストローのような口をもたないので、AやCのような花の形は不適当です。また、DはBよりも止まりにくいので、Bを選びます。
色については、「アブやハエ」は「オオクロバエ」と同じなかまなので、白い花を好むと考えます。
(2)少々悩ましい問題です。色以外の条件が同じ「あ」はすぐに選べるのですが、「すべてを選び」とあることから、それらしい答えを追加すべきかどうかです。選ぶとしたら、花として有利と考えられる「蜜をしみこませた」「花の香りのする水をしみこませた」の条件をもつ他の色に対しても、赤色がアゲハを集める場合を追加します。

(観察)ジッパーテープ(チャック)の仕組みを考える問題。
封筒の中には、チャックつきの袋・ジッパー部分だけ切り取ったもの・虫眼鏡が入っています。
虫めがねは、チャックを観察するために使います。

問1

「開いているチャック」を閉じるには、チャック部分を外側から押すだけで、袋の内側についたチャックの溝のつくりと突起がかみ合って接合されます。
「図をかいてはいけません」とあるので、ことばだけで説明しなければなりません。

問2

2018_gouhi_rika_1
「図をかいてもかまいません」とあるときは、図を使って説明した方が有利です。
A側とB側のちがいは、虫眼鏡で観察しないとわかりません。チャックの断面を拡大すると、図のようになります。
チャックを閉めると、右の突起が上下とも、左の溝に入った状態になります。
これをA側から袋を左右に広げると、上の突起が簡単にはずれます。
一方、B側から袋を左右に広げると、下の突起が溝に食い込み、なかなかはずれません。

合否を分けた一題

難易度が高かった本年度にあっては、「おみやげ問題」は逆に安心して取り組める問題だったのではないでしょうか。
そのなかかで、の問3は、結果が分かっているものの、説明がとてもしいにくいと感じる問題でした。このような問題に出会ったとき、根本原理に立ち返って、原理原則に根差して考えることができるかどうかが、合否を分けたと考えます。

問3

根拠とするポイントを確認します。
問1で確認した2項目に照らして、次の2点があげられます。
「水は空気のように縮まないので、圧力をためることができない」
「中玉と水はスムースに動くので、力をそのまま伝えることができる」
このことを、A・Bにあてはめて考えます。
・Aでは、棒を押す力がそのまま水から中玉に伝わり、空気を押し縮めるので、前玉は勢いよく飛び出します。
・Bでは、後玉によって押し縮められた空気が、中玉・水・前玉を一度に押し出さなければならないので、Aよりも飛び出す勢いが小さくなります。

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