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社会の合否を分けた一題

武蔵中入試対策・社会の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

A:易しい(武蔵中合格を目指すなら確実に正解すべきレベル)
B:標準的(ややまぎわらしいが落とせないレベル、ここで差がつく問題)
C:難しい(受験者の大半ができないため差はつかない問題)

問1 (1) B(2) B
問2 (1)A(2)A
問3
問4 (1)A(2)B
問5 (1)A(2)A
問6
問7
問8

出題総評

江戸時代、鎖国下の日本で漂流した音吉をテーマとした漂流民たちを通じて江戸・明治時代の外交政策や国の境目を考えるというものでした。難解な問題の出題はありませんでしたが、一部普段の出題傾向とは異なるようなものが出ていました。2行以上の記述を求められていても、正しい知識を用いれば解答にたどりつけるものばかりでした。今後は普段の「武蔵の解き方」に加え、しっかりとした知識をもって入試に取り組む必要がありそうです。高得点の勝負となってしまったため、社会科を武器として合格しにいくという戦略を持っていた受験生にはやや苦しかったのではないでしょうか。

問題別寸評

問1

(1) 御前崎から江戸までの海岸線を描きます。ただし、求められているのは「日本地図をしっかりとみていること」もさることながら、「半島・島」の基礎知識がしっかりと入っているかどうかが求められています。大島を基準として大まかな半島の場所がわかっていれば解答ができたのではないでしょうか。以前にも石包丁を描く問題が出題されていることから、用語を資料などで確認することが必要なのかもしれません。頭で抽象的に覚えるのではなく、視覚を用いた暗記をすれば定着も望めます。

(2) 設問の単語からヒントを紡ぎます。
①静岡県→太平洋側にある、陸地は西側となっている。
②冬に難破が多い→冬の季節風が北西から吹いている。
➂御前崎の近くは「遠州灘」と呼ばれるほどの海洋交通の難所である。
上記3つを考えてみれば、解答にたどり着けます。
どうして難所なのか→陸地は西側なのに、季節風が北西から吹いているため、なかなか陸地にたどり着きにくいということ、このようなことを書けば合格答案になるでしょう。逆に考えれば、①~➂のうち、何が足りないのかを考えながら学習を進めればよいのです。

問2

日宋貿易・日明貿易の開通者を考えれば解答ができます。時代の特定もされていますので、解答は容易であったと考えられます。

問3

⇒合否を分けた1題で扱います。

問4

19世紀(1801年~1900年)の日本とイギリス・アメリカの関係を考えます。江戸幕末から明治初期の外交を、海外の視点に立って考えます。日米和親条約(1854年)や日米修好通商条約(1858年)の条約内容などからヒントが得られるはずです。また、後者の条約はアメリカ・オランダ・イギリス・フランス・ロシアの5か国と結んだことから、当時の元号をとって「安政の五か国条約」と呼ぶことがあります。一見すると答えにくいものですが、知っている知識を活用すれば合格答案を作成することができます。また、元号に関しては、天皇の生前退位が話題になっていることから時事要素として押さえていた受験生が多かったのではないでしょうか。

問5

モリソン号事件が起こった経緯や、オランダ風説書などは知識として覚えていた受験生が多かったと予想されますので、差がつきにくい問題であったと考えられます。

問6

19世紀後半から20世紀前半(1851年~1950年ごろ)の日本の様子や南アメリカ大陸の事情について、順を追って考えます。
①日本は日露戦争以来、賠償金がないことや国内事情の不振から、労働力が余っていました。また、景気も悪いことから、政府も対策に困っていた。
②南アメリカ大陸では南北戦争により農民の奴隷が解放されたことから、特にブラジルにある多くの大農園で人手が不足していた。
➂日本で余っている労働力をブラジルに送り、ブラジルの大農園での労働にあたらせたのではないかということが考えられます。

問7

第二次世界大戦後日本(1945年~1970年ごろまで)よりも1970年代以降とでは何か知っている知識はないだろうかと考えます。
①戦後から1972年までが「高度経済成長期」であったことを浮かべます。
②経済成長を遂げたらどうして出国者が増えるのだろうかと考えます。
→経済が成長すれば、日本の貨幣価値が高まり、円高が進みます。円高が進んでいくと海外旅行に行く人たちが増えるという影響が現れます。このことが、出国者数に影響を与えているのではないかと考え、解答すれば、合格答案となります。また、その背景には1ドル=360円の単一為替制度から、現在の変動為替制度への変更があるので、ここまで学習が進められていれば十分でしょう。

問8

設問にある「短期的な旅行でない、国境を越える人間の移動」ということばから、「難民」という用語を浮かべられることが、この設問を解答するカギとなります。ミャンマーのロヒンギャの問題がありました。武蔵中受験生は難民ということばに関してはきちんと学習をすすめていたことと思いますので、比較的取り掛かりやすかったのだと推測されます。
今回の問題の大変なところはここからで、その難民に関して、国内に受け入れるか否かということが話題となっています。難民は受け入れてあげないとかわいそうだ、などというような主観的な視点ではなく、そのことで生じる問題点も視野に入れて考えられると合格答案となるでしょう。

合否を分けた一題

問3

 
日本の廻船が国内流通に向いていると考えられる理由を考えます。
そのために、
①図から日本の廻船とヨーロッパの外洋航海用の船の違いを発見し、日本の廻船の特徴を指摘する。
→国内用は外洋航海用のものに比べて、船体が海面下に入る面積が少ない。また、舵が上下に動くということや、船底が平らであるということが指摘できる。
②が国内の流通に向いているのはなぜかを考える
→日本は遠浅の海であるということを考えて、船底が海底にあたりにくい構造をしていることが日本近海を公開するのに適していることが考えられる。
見たことのない問題であっても必ず解決のための糸口はあります。決してあきらめないでヒントを絞り出す練習を積んでいけば、武蔵中への合格を勝ち取ることができるでしょう。

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