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社会の合否を分けた一題

武蔵中入試対策・社会の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

問1 A 問2 A 問3 A 問4 (あ)A (い)A
問5 B 問6(あ)B (い)A 問7 B

A…武蔵中を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2021年度の武蔵中の社会は、例年通り大問1題構成です。情報を人々に伝えるマスメディアのうち、日本における新聞の発展と現在をテーマとして、地理・歴史・公民を総合的に問う複合問題でした。
問題数は9問、そのうち知識を問う記号問題が1問、語句形式が2問、記述問題が6問です。
本年の問題でも、問3・問6のように本文内容の正確な読解をもとに情報をまとめる、グラフや図を読み解いて答える「武蔵らしい」問題が見られました。試験時間に対して問題数は少なめですが、こういった出題傾向を踏まえるとリード文を読み飛ばすことはできません。本文中の情報を整理しながら要旨をつかみ、解答に反映させられるようトレーニングを重ねましょう。

問題別寸評

テーマ史のリード文を読むときには、次の手順で本文を整理していく習慣をつけましょう。
今回のテーマは「日本における新聞の発展と現在について」です。

時代の変化に着目して、以下のように整理しながら読み進めていきます。
江戸時代:瓦版の発行。ヨーロッパの国々ではすでに社会や政治について取り上げ、論説する新聞が発行される。
明治時代:日本で新聞が本格的に発行されるようになる。はじめ政府は新聞の発行を推奨したが、やがて取り締まりが強化される。日清戦争のころには戦意高揚に利用される一方で、社会問題を報道するものになる。
大正時代:新聞が世論形成に与える影響が大きくなる。
昭和時代(戦前):新聞に対する規制が強まる。
昭和時代(戦後):新聞が報道の自由をうたえるようになる。テレビ普及と同時期に、新聞も発行部数を伸ばす。21世紀に入り、インターネットの登場とその普及によりインターネットを通じて情報を得る人の割合が大きくなってくる。

昨今問題になっている「フェイクニュース」に関連して、今年のテーマにすえられたのかもしれません。問7で自分の考えを説明させる問題からも、世の中の出来事に関心をもち、自分なりの意見をもつ生徒に入学してほしいという学校からのメッセージを見て取ることができます。

問1

江戸時代の瓦版に書かれなかった内容を推測する問題です。
「推測して説明しなさい」とありますが、本文中に同時期のヨーロッパの新聞と日本の瓦版を述べた記述がありますので、これを参考にするとよいでしょう。
3番目の形式段落に、「…しかし外国人の目には、この時期に日本人が発行した新聞は『論説を書こうとはせず、真面目に事件をとりあげて解説しない』もので、…」、福地源一郎の「新聞紙実歴」からの引用に「…内閣が批判される記事を読み、あわせて記者が堂々と議論し遠慮なく意見を言うことにうらやましさを感じたのでした…」とある部分です。

上記の内容から、江戸時代の日本では、政治に関する記事は、幕府を批判するととらえられて取り締まりや処罰を受けることを恐れ、掲載されなかったと考えられます。正答率が高かったと思われる問題です。

問3

福地源一郎による「新聞紙実歴」の引用部分を参考に、ヨーロッパの新聞が優れていると述べられている点をあげます。「それだけでなく」「あわせて」などの接続語に注意し、取り落としのないようにまとめましょう。満点を目指したい問題です。

  1. 「どうやって新聞記者はわれわれのことを詳しく知ることができたのか」
  2. それだけでなく、昨日のことを今朝記事にできるのは何という速さなのか、驚いたものでした」
  3. 「…内閣が批判される記事を読み」
  4. あわせて記者が堂々と意見を言うことにうらやましさを感じたのでした」

以上の4点を、情報を速く、詳細に記事にしている上に、記者が、政府に対して批判的な意見であっても自由に述べている点。というように整理してまとめます。

問5

第2次世界大戦中の新聞の報道にどのような規制があったか、知識を問う問題です。
ミッドウェー海戦にて大敗した日本軍ですが、国内の新聞で日本側の損害を少なく、相手側の損害を多く報じ、「日本の勝ち」と報道した記事や、日本軍の「撤退(負けて退くこと)」を「転進(進路を変えること)」と言い換えた記事を思い出すことができたでしょうか。
これらの戦況が悪化した実態のほか、国内の災害についても統制の対象となりました。
これらは、国民の戦意を高揚させ、戦争に協力させやすくするためのプロパガンダ(宣伝)でした。

問6(あ)

戦後、新聞の発行部数が増加していった理由として考えられることを述べる問題です。
1951~60年まではほぼ横ばいの発行部数が、1965年以降大きな伸びを見せています。
ここで新聞を読む「人数」がいきなり急増したとは考えにくいですね。
新聞は1人1部ではなく1世帯につき1部購入されることがほとんどです。このことから、「核家族化に伴う世帯数の増加」が推測されます。
そのほか、戦後すぐの物不足の時代から、復興期を経て、工業の発達に伴い大量印刷が可能になったこと、国民の所得の増加により購入できる人が増えたこと、などを挙げて解答とします。

問6(い)

本文中の表現を参考に、21世紀に入りインターネットを通じて情報を得る人が増えたこと、電子版の新聞を利用する人が増えたこと、などを答えます。

問7

合否を分けた一題で扱います。

合否を分けた1題

問7

「情報をやり取りする手段が多様化した現代において、新聞にはどのような価値が見いだせると思うか」を、「新聞の特徴から考え」て説明する問題です。

「情報をやり取りする手段の多様化」「新聞の特徴から考えて」という条件がありますので、他のメディアと比べて新聞の優れている点を挙げていくとよいでしょう。
「他のメディア」とはラジオ・テレビ・インターネット等です。これらのメディアと新聞を比較してみます。
ラジオ・テレビ…放送が終わってしまえば、報じられた内容は手元に残らない。聞き間違い、見間違い、覚え違いの危険がある。また、放送される時間に情報の受け取り手が合わせる必要がある。
インターネット…受け取り手が興味を持った内容について、自分で情報の取捨選択をすることができる、興味を持った分野にしぼって詳しく調べることができる、という利点がある半面、触れる情報に偏りが生じやすい。

これらと新聞を比較し、
・読み手にとって都合のよいときに、いつでも手に取って読むことができる
・読んだ記事を手元に残しておくことができる
・1部の新聞紙に、あらゆる分野に関するニュースが掲載されており、インターネットと比較してまんべんなく情報に触れることができる。
などを説明します。

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