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社会の合否を分けた一題

早実中等部入試対策・社会の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

A…易しい(早稲田実業中合格を目指すなら確実に正解すべきレベル)
B…標準的(ややまぎわらしいが落とせないレベル、ここで差がつく問題)
C…難しい(受験者の大半ができないため差はつかない問題)

〔Ⅰ〕災害にまつわる歴史
問1 知識 A
問2 知識 B
問3 知識 A
問4 知識 A
問5 知識 A
問6 知識 A
問7 知識 A
問8 知識 B
問9 知識 A
問10 知識 A
問11 知識 A
問12 知識 A
問13 知識 B
問14 ①知識 A
②知識 A
③知識 A
〔Ⅱ〕選挙についての公民
問1 知識 A
問2 知識 B
問3 知識 A
問4 知識 A
問5 (A)知識 A
(B)知識 A
問6 ①知識 A
②知識 A
③知識 B
問7 ①知識 A
②知識 A
〔Ⅲ〕長野にまつわる地理
問1 地図からの読み取り+知識 C
問2 知識 A
問3 知識 B(合否を分けた一題)
問4 知識 B
問5 知識 C
問6 考える記号 B
問7 地図の読み取り+知識 A
問8 考える記述 B
問9 考える記述 B
問10 知識 A
問11 知識 A

全般的分析

2016年度の早稲田実業中学の社会は時事問題に絡めた問題が特徴です。例年、地理、歴史、公民の3分野からの出題で、出題の順序は一定していません。

今年は〔Ⅰ〕が歴史、〔Ⅱ〕が公民、〔Ⅲ〕が地理となっていました。歴史分野の出題が若干多くなっています。

歴史に関しましては、ここ数年は長文を読まして、設問に答えるという形式ですが、長文を読み込まなくても解ける問題になっているので、30分という試験時間を考慮すれば、設問から見ていった方が得策です。

公民分野は、国会議員の選挙権が満18歳以上になることから、選挙にまつわる設問でしたが、早稲田実業中受験生なら基本と言える問題ばかりでした。

地理に関しましては長野県に絞った出題になっていましたが、2014年の御嶽山の噴火が大きく関係しています。難易度は高めで、天竜川、木曽川について地図を見ながら学習していたかどうかで大きく差がつく出題となっていました。

全体としては、努力した分だけ点数になって返ってくるという良問が多かったと言えます。

問題別寸評

〔Ⅰ〕災害にまつわる歴史
問1

知識A(関東ローム層)
易しい問題です。
岩宿遺跡から旧石器が発見され、日本にも旧石器時代があったことが証明されました。
この点を聞くのではなく、火山灰からなる赤土層を聞いてくるあたりが早実中らしいところです。

問2

知識B(太安万侶)
まずは、古事記と日本書紀の違いをはっきりさせましょう。

古事記は、日本最古の歴史書とありますが、どちらかというと神話に近いものです。稗田阿礼が語った物語を太安万侶が記述したとされています。成立は712年です。

日本書紀は、年ごとに起こった出来事を天皇の政治を中心に書かれた、まさに歴史書です。成立は720年です。

問3

知識A(稲荷山古墳)
易しい問題です。
埼玉県で、鉄剣が見つかった古墳といえば稲荷山古墳です。鉄剣には「ワカタケル」が漢字で刻まれていました。

問4

知識A(ア)
易しい問題です。
すべて重要年号なので覚えてください。

大宝律令が作られたのは文武天皇のときで、701年です。

第1回遣唐使は犬上御田鍬で、630年です。

三世一身法は元正天皇のときで、723年です。

白村江の戦いは唐・新羅の連合軍と日本・百済の連合軍が戦ったもので、663年です。

問5

知識A(エ、カ)
易しい問題です。

平将門は自ら親王の名乗り、935年に平将門の乱をおこしました。
藤原純友は瀬戸内地方を荒らし、937年に藤原純友の乱をおこしました。

2つの乱を合わせて、承平天慶の乱ということもあります。

問6

知識A(ウ)
易しい問題です。
荘園を所有する者に「不輸の権」という、税が免除される権利が与えられることがありましたが、基本的に荘園には税が課されました。

問7

知識A(正長の土一揆)
易しい問題です。
おそらく出題ミスだと思われるのですが、「年号」ではなく「元号」が正しい表記となると思います。

正長の土一揆が徳政令を求めたものであることは有名です。1428年に起こっています。

問8

知識B(大岡忠相)
江戸町奉行と言えば、時代劇で有名な「大岡越前」が思い浮かぶと思いますが、受験生にとっては難しかったかもしれません。大手塾のテキストには記述がありません。

江戸八代将軍、徳川吉宗の享保の改革を支えた人物でもあります。

問9

知識A(ウ)
易しい問題です。
下線部9は「囲い米の制」を指しています。大名に餓死者がでないように米を1万石につき50石備蓄するように命じたものです。

松平定信の「寛政の改革」の一つとして行われた制度です。

問10

知識A(横浜)
易しい問題です。

1854年に日米和親条約で下田と函館を開港しました。
1858年に日米修好通商条約で下田を閉鎖し、横浜を開港しまいした。その際、長崎、新潟、神戸も開港しています。この条約は、日本がアメリカに領事裁判権を認め、日本には関税自主権がないという不平等条約でした。

オランダ、イギリス、フランス、ロシアとも同様の条約を結び、全部を合わせて「安政の五カ国条約」と呼ばれています。

問11

知識A(新橋)
易しい問題です。

1872年に日本初の鉄道が新橋~横浜間で開通します。
基本的知識ですが、「鉄道唱歌」の第一集一番の歌詞の穴埋め問題として出題するところが早実中らしいところです。

問12

知識A(イ)
易しい問題です。

治安維持法は、1925年に普通選挙法とセットで制定されたと覚えておきましょう。加藤高明内閣のときです。

問13

知識B(株価の大暴落)

世界恐慌はアメリカのニューヨークにあるウォール街での株価の大暴落がきっかけで起こります。

この恐慌に対するアメリカの対策措置、イギリスとフランスの対策措置、ドイツの代作措置、日本の対策措置についてはしっかり調べておきましょう。

問14

知識A(①北条泰時②武田信玄③大久保利通)
易しい問題です。

①御成敗式目を作った時の執権が北条泰時であることはあまりに有名です。
②武田信玄は信玄堤を作ったことでも有名です。甲斐の国の武将といえば、武田信玄が思い浮かぶはずです。
③薩摩藩出身で明治維新三傑の一人、大久保利通は有名です。1878年に不平士族に暗殺されたとあるので、西郷隆盛、木戸孝允は外せるはずです。

〔Ⅱ〕選挙にまつわる公民
問1

知識A(施行)
易しい問題です。
公布から施行までに半年、または1年かかります。
このような法令がありますよ、このように法令が変わりますよ、という告知期間が必要だからです。

問2

知識B(ア)
2016年の6月~7月にかけて、参議院議員の選挙が行われるのは時事問題として押さえておかなければならないところです。
衆議院は解散がありうるので、選挙の可能性があります。

問3

知識A(エ)
易しい問題です。
板垣退助が自由党を、大隈重信は立憲改進党をつくりました。

問4

知識A(オ)
易しい問題です。
憲法改正についての条文、96条は内容まで含め覚えてください。
法律よりも改正の手続きが厳しい憲法は硬性憲法と呼ばれます。
安倍晋首相は9条を変えるために、96条を先に変えようとしています。

問5

知識A(A厚生労働、B経済産業省)
易しい問題です。

省については全て覚えてください。
余裕があれば、大臣まで覚えておくといいでしょう。

問6

①知識A(Aウ、Bオ)
2016年度から国会議員の選挙権が満18歳以上になることの関連で学習しておきたいところです。

1889年の有権者の条件は直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子で国民の1.1%でした。

1890年からは、有権者の条件は直接国税10円以上を納める満25歳以上の男子で国民の2.2%でした。

1919年からは、有権者の条件は直接国税3円以上を納める満25歳以上の男子で国民の5.5%でした。

1925年の普通選挙法では、有権者の条件は満25歳以上の男子となり、納税額は関係なくなりました。そして、国民の20.0%が有権者になりました。

1945年の男女普通選挙法では国民の48.7%が有権者になりました。

②知識A(1945)

③知識B(公開)
秘密投票の反対は公開投票です。
秘密投票とは、誰が誰に投票したかを知られない投票のことです。
公開投票とは、誰が誰に投票したかを明らかにする投票のことです。

公開投票だと様々な弊害が出てきます。
考えてみてください。

問7

①知識A(ウ)
易しい問題です。

政府開発援助のことですが、日本とアメリカが同等の援助をしているとは言えません。日本は現在5位です。

②知識A(ア)
易しい問題です。

NPTは核不拡散条約のことです。
JAXAは宇宙航空研究開発機構のことです。
TPPは環太平洋経済連携協定のことです。

〔Ⅲ〕長野にまつわる地理
問1

地図からの読み取り+知識 C(ウ)
地図の読み取りのようにみえますが、実質的には知識問題です。
茨城、千葉、東京、神奈川などは川が県境になっていることが多いですが、内陸県はやまの尾根が県境になっていることが多くなっています。

私たちは通常、平地に暮らしているので気づきづらいですが、日本の75%が山地であることを忘れないでください。

問2

知識A(オ)
易しい問題です。

通常の受験生なら、北から飛騨、木曽、赤石と覚えているはずです。

問3

知識B(①ウ)
合否を分けた一題で扱います。

問4

知識B(ア、イ、ウ)
ベスト10まで覚えるようにしてください。
長い川ベスト10
①信濃川(367㎞)
②利根川(322㎞)
③石狩川(268㎞)
④天塩川(256㎞)
⑤北上川(249㎞)
⑥阿武隈川(239㎞)
⑦木曽川(229㎞)
⑧最上川(229㎞)
⑨天竜川(213㎞)
⑩阿賀野川(210㎞)
アは最も長い信濃川です。イは木曽川、ウは水源を諏訪湖とする天竜川です。

問5

知識C(松本市ウ、飯田市イ)
松本市を流れる川が信濃川と言っていいのか微妙だと思いますが、木曽川であったら、伊勢湾に流れ込みます。

問6

考える記号(ア、イ)
街道沿いでないことは一目瞭然です。また、内陸県に平野は基本的に存在しません。平らな土地は盆地です。
また、問1でもあったように県境は山の尾根であるので都市が栄えることはできません。

問7

地図の読み取り+知識A(カ)
易しい問題です。
地図の読み取りから塩尻市が宿場町であったことは明らかです。また、長野市が「牛にひかれて善光寺参り」の善光寺があることを知っていれば、長野市が門前町になります。松本市は松本城が有名なので城下町となります。

問8

考える記述B(自然的条件:生育適温15度~20、社会的条件:大消費地に近い)
内陸では気温が低すぎて、生育条件にあいません。
東側は関東の大消費地に近いといえます。

問9

考える記述B(青森と時期をずらすことにより、専売化できる)
青森とは最盛期が異なることが資料からわかります。

問10

知識A(エ)
易しい問題です。
明治期から昭和初期にかけては生糸を中心とする繊維産業が盛んでしたが、昭和初期から中期にかけて、企業誘致により機械工業が中心となりました。これを活かして、現在は電子、情報、自動車部品産業がさかんです。

問11

知識A(ア)
あまりにも典型的な問題なので早実受験者は絶対に落とせません。
イ、ウ、エも即答できる状態にして受験に臨みましょう。

合否を分けた一題

地図を見て学習したか否かが全てです。
早稲田実業中に限らず、地理の学習をするのに地図を座右に置いておかない勉強はありえません。
御嶽山の噴火でたくさんの犠牲者が出たので、しっかりと調べておく必要がありました。
高い山はベスト10までは必要ありませんが、ベスト5までは位置とともに覚えておきましょう。

1位 富士山
2位 北岳(赤石山脈)
3位 奥穂高岳(飛騨山脈)
4位 間ノ岳(赤石山脈)
5位 槍ヶ岳(飛騨山脈)

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