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社会の合否を分けた一題

桜蔭中入試対策・社会の合否を分けた一題(2019年度)

難易度分類

問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B 問6 B 問7 A 問8 A 問9 A
問10 B 問11 C
問12  A 問13 B 問14 B 問15 A 問16  A
問17  A 問18  A  問19 A  問20  A
問21 X:A Y:A  問22 B
問23 A:A
B:Aセ
C:A
D:A
E:B
F:A
G:B
H:A
Ⅰ:A
J:A
問24 B  問25 あA い A う A え A
Ⅰ1A  2 A  3 A  4 A  5 A 
ⅡA :A   B:A   C:B  D:A  E:B

A…桜蔭中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2019年度の桜蔭中は、例年通り、基本的知識を問う問題が中心です。
昨年度と比べて、地理分野からの出題が減少し、歴史分野の出題が増加しています。
特に、歴史分野では「江戸時代」に関連する問題が多く、文化史や産業史、外交史が取り上げられました。開成中を彷彿とさせるような「街道と宿場町」に関する問題も見られました。
出題形式は例年から大きな変化はなく、「正誤問題」や「出来事の並べ替え」問題が例年通り出題されていました。

地理分野からの出題は、例年通り「都道府県別の特色」に基づいた貿易港に関連する問題、「地形」に関連する問題が出題されていました。今回は歴史と合わせた複合問題であったために、難しくなったと言えます。
一方、公民分野では比較的基礎知識を問う問題が多く、例年より易化しました。
問題量としては少なくなったものの、時事問題と合わせた出題は例年のパターンと言えます。

【問題構成】
問題構成は、3分野から大問4題、小問48問。
解答形式は、語句形式が14問、記号選択が31問、記述が3問。記述は、いずれも30字程度で、説明記述が2問、リード文の読み取りが1問。選択肢問題には「出来事の並べ替え」をさせる問題や内容正誤問題が多く見られ、限られた時間で得点に結びつけるためには、正確な知識と高い定着度、すばやい判断力が必要です。

問題別寸評

Ⅰ(a)

(歴史分野)古代・中世の歴史についての問題です。
交通の発達をテーマに古代や中世(旧石器~鎌倉時代まで)の歴史を中心とした出題です。
選択肢での出題が多く、特に正誤判別に関しては定番の出題形式となっています。
正誤判別問題では、正しい知識の定着が求められます。練習量などに基づいた定着度が大きく合否を分けます。全体としての正答率が高いことを踏まえると歴史での失点は最小限にとどめましょう。
正誤問題のポイントは、内容正誤のみではなく、「時代判別」も必要であることを心得ておきましょう。

問1

古代の歴史(旧石器・縄文・弥生・古墳)に関する出題です。
「あ」:「縄文時代の遺跡で…コメや…」という部分が誤りです。
「う」:「…同じ皇帝の称号を与えられ…」という部分が誤りです。
「え」:高松塚古墳と藤ノ木古墳の説明が入れ替わっています。

問2

「ワカタケル大王」の刀剣に関する問題です。
「ワカタケル大王」と書かれた刀剣が出土したのは、稲荷山古墳(埼玉県)と江田船山古墳(熊本県)です。

問3

環境問題に関する問題。
設問中に「『郊外に比べ都市部ほど気温が高くなる現象』」とあることからヒートアイランドが選べます。

問4

奈良時代~平安時代に詠まれた短歌に関連する問題。
設問中にあるのは、防人の詠んだ歌です。

問5

古代の歴史の並べ替え問題。
あ:「鑑真」→奈良時代
い:「小野妹子」→飛鳥時代初期
う:「遣唐使、公地公民」→飛鳥時代中頃~後半
え:「『宋書』倭国伝」の内容です。これは古墳時代後期に完成したものです。
これらを時代順に並べ替えると「え→い→う→あ」となります。

問6

世界の国の位置に関する問題。
「イラン」をあらわすのは「ウ」です。
その他、ア:カザフスタン・イ:インド・エ:サウジアラビア・オ:エジプトとなります。

問7

鎌倉時代の「封建制度」に関する問題。
将軍と御家人との間位に土地を仲立ちとして結ばれた主従関係のことを「封建制度」といいます。
御家人が将軍のために命懸けで戦うことを「奉公」といいます。

Ⅰb

(歴史・地理)室町~明治時代に関する問題、歴史に関連した地形の問題です。
江戸時代は桜蔭中では対策必須。特に江戸の文化史や産業史、外交史は出題頻度が高くなっています。
今回のbでは、江戸の「五街道」に関連した地形の出題が見られました。
街道に関連する問題は難関校受験においては必須となってきていますね。

問8

日本の湖に関連する問題。
琵琶湖周辺では、この琵琶湖でとれた「鮒」を郷土料理としています。
「い」は、屈斜路湖の説明。
「う」は、霞ヶ浦の説明。
「え」は、サロマ湖の説明。

問9

室町時代以降の歴史に関連する問題。
あ:足利義政は東山に銀閣を建立しました。
う:石見銀山は島根県に位置しています。
え:萩焼は山口県の工芸品です。

問10

「関所」に関する問題。
「入り鉄砲に出女」と言われたように、関所には、江戸に武器が持ち込まれないための検査や江戸に人質として置かれていた大名の妻が逃げ出すことを監視するはたらきがあります。

問11

合否を分けた一題で取り上げます。

問12

「江戸幕府の支配」に関する問題。
三大将軍徳川家光が大名を統制するために武家諸法度に追加した制度が「参勤交代」です。

問13

「江戸の町」に関する問題。
江戸時代は長屋形式の住宅がほとんどで、多くは木造のために非常に燃えやすかった。
関東山地を越えて吹き降ろされる乾燥した季節風により火災が起こりやすく、延焼しやすい構造でもありました。

問14

「江戸中期の時代背景」を問う問題。
今回は設問中に「本文を参考にして…」とあるので、本文より「20万人規模の一揆(中山道伝馬騒動)
がおきた理由」を抜き出してきます。

傍線部⑮「…近隣の農村からも人馬を提供する体制が取られました」とあります。
18世紀後半には「朝鮮通信使」が来日したことなどから、街道沿いの諸宿に対して課税の命令があったことがこの一揆の一因だと考えられます。

問15

「江戸の交通」に関する問題。
江戸時代に物資の輸送手段となったのは「船」です。
東廻り航路や西廻り航路、北前船、樽廻船や菱垣廻船などの南海路など、この時代は海上交通が大きく発達しました。

問16

「江戸時代の文化」に関する問題。
江戸時代の文化史は出題必須です。「元禄文化」と「化政文化」を区別できるようしておけると良いですね。
「江戸から京都」→東海道
「宿場風景や江戸の名所」と書かれているので、『東海道五十三次』を描いた歌川広重があてはまります。

問17

「江戸時代の外交史」に関する問題。
「え」:「…ペリーが来航するまで、オランダと琉球以外に正式な国交を結んだ国はなかった」とありますが、日本の鎖国中は、琉球やオランダ以外で対馬藩の宗氏を通じて朝鮮との国交がありました。

問18

「明治期の貿易」に関する問題。
「1890年は輸入品の第1位…1910年になると生糸につぐ輸出…」とあることから「綿糸」であることが分かります。

Ⅰ(C)

(歴史・地理)明治時代以降の歴史をテーマとした都市や港などの特徴に関する複合問題。
歴史は近現代、地理は都道府県の特色や公害など(a)や(b)と比べて大きな差がついた大問だと言えるでしょう。

問19

「第1次世界大戦」当時の時代背景に関する問題。
大正時代、日本国内では「大正デモクラシー」の風潮が高まり、権利向上を求める様々な運動が行われていました。
「え」:普通選挙が実現したのは「1925年」のことです。

問20

「第二次世界大戦」当時の歴史の並べ替え問題。
「あ」1933年。
「い」犬養毅首相が暗殺されたのは「1932年」におきた二・二六事件。
「う」1937年。
「え」1941年。
「お」1940年。
したがって、「い」→「あ」→「う」→「お」→「え」となります。

問21

「身近な生活」に関する地理の問題。
X:直後に「舗装」とあることから「アスファルト」と分かります。
Y:水が流れ込むという部分から「下水」道であると分かります。

問22

「自動車保有台数」に関する世界地理の問題。
「1㎢あたりの乗用車台数」は、面積が狭く、人口が多いほど大きくなります。
したがって、日本よりも面積の小さな大韓民国は「165.1」の「え」であると分かります。

問23

「港や空港」に関する都道府県ごとの特色に関する問題。
A:「北前船の寄港地」「日米修好通商条約」とあるのでオ「新潟港」です。
B:「江戸時代…窓口の…」「潜伏キリシタン…」とあるのでセ「長崎港」です
C:「…夏に霧が発生しやすい…」「東には酪農地帯が広がり…」とあるのでア「釧路港」です。
D:「…1901に操業した製鉄所…」とあるのでス「北九州港」です。
E:「…海底トンネルの開通…」という部分からイ「青森港」です。
F:「米代川の河口に位置する港…」「…まげわっぱ…」からウの「秋田港」です。
G:「埋め立て地に作られ…」「…主な輸出品は集積回路や半導体…」という部分よりシ「関西国際空港」です。
H:「2016年の輸出額が日本第1位で…」とあることからコ「名古屋港」です。
I:「1970年代には世界有数のコンテナ取扱量…」「…1995年の地震で…」とあるのでサ「神戸港」です。
J:「大規模なリアス海岸…」「…この港湾のある都市には原子力発電所…」「…金沢まで…新幹線が2023年にこの都市まで…」とあるのでケ「敦賀港」です。

問24

「昭和後期の出来事」に関する問題。
「あ」:1978年
「い」:1968年
「う」:1956年
「え」:1972年
2018年に50周年を迎えたのは「い」の小笠原諸島返還です。

問25

「環境問題への取り組み」に関する問題。
「あ」:〇
「い」:長距離貨物輸送の主な部分をトラックから船舶や鉄道に切り替えることを「モーダルシフト」といいます。
「う」:2015年にCOP21で採択されたのは「パリ協定」です。
「え」:〇

(公民)主に憲法や三権を中心とした公民の問題。
憲法や三権を中心とした総合問題です。
時事的な事柄に関連させた出題が多いのもこの大問の特徴です。
時事用語を直接問う問題や、時事に関連する知識の問題が出題されています。
知識のレベルとしては、標準的なものが中心です。他の大問に比べて差のつかない大問と言えるでしょう。分野に偏りなく学習していくことが必要です。


1:憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と生存権を保障しています。
2:生存権を保障するための「社会保障制度」があります。


3:2018年6月に「成人年齢」が18歳に引き下げられました。
A:婚姻などについて定めた法律を「民法」といいます。


B:国会の仕事として誤っているのは「え」の条約の締結です。締結は内閣が行います。
C:党首討論は衆議院・参議院で行われます。その他、メディアでも行われます。


4:裁判を三度まで受けることができるのは「三審制」です。
D:簡易裁判所から始まった民事裁判の控訴審は「地方裁判所」で行われます。


5:1965年に韓国との間に結ばれたのが「日韓基本条約」です。

E:韓国と北朝鮮ができたのは、日本の敗戦に伴う植民地放棄により、冷戦の影響で北はソ連を中心とする東側諸国、「南」をアメリカなどの西側諸国が支援したことがきっかけです。

合否を分けた一題

今回の桜蔭中社会では、歴史の比重が高く、中でも「江戸」に関連する問題が見られました。
単純な知識問題ではないところがこの問題のポイント。
桜蔭中社会の特徴でもある「地形」に関する知識が正確にインプットできているかがこの問題の分かれ目でした。社会科学習において地図帳は必須です。
しかし、地理分野では活用することが多い「地図帳」も、歴史分野となるとかなり使用頻度が下がりますね。地理と歴史の複合問題を出す学校を目指す受験生であれば、日頃から歴史学習の中にも地図帳を使う習慣をつけましょう。

Ⅰ(a)
問11

「五街道」に関連する問題。

あ:「東海道」は日本橋から太平洋側を通り京都までを結ぶ街道です。
  通過する都道府県は「東京都」「神奈川県」「静岡県」「愛知県」「三重県」「滋賀県」「京都府」です。
  草津(滋賀県)で中山道と合流することもおさえておきましょう。
「鈴鹿山脈」が位置するのは三重県、「大井川」が位置するのは静岡県、「箱根」が位置するのは神奈川県のため、これが答えとなります。

い:中山道は(江戸~草津)を結ぶため、岡山県を流れる「高梁川」は誤りです。
う:甲州街道は(江戸~下諏訪)を結びます。新宿、高井戸、調布、府中…と西に向かうため「品川は誤りです。
え:関東山地は主に関東地方の西部に位置する山地のため、日光街道は通りません。

このように「地形的特徴や都道府県の位置」を背景に解いていく問題、決して難問ではなく、やはり「知識の正確さ」によって大きく差がつくといえます。

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