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社会の合否を分けた一題

桜蔭中入試対策・社会の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

問1 A 問2 2:A 3:A 4:A 5:A 6:A 7:B 8:A 問3 B 問4 A 問5 A 問6 A  問7A  問8 B
1:A 2:B 3:A 4:A 問1A 問2B 問3A 問4A 問5A 問6B 問7A 問8A
1:A 2:A 問1A 問2(ア)B (イ)C 問3A 問4A 問5A
1:A 2:A 3:A 4:A 5:B 【A】A【B】B【C】B【D】B【E】B

A…桜蔭中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2020年度の桜蔭中は、例年通り、基本的知識を問う問題が中心でした。
出題形式を見ますと記述問題の出題量が増加しました。なかでも歴史の理由記述は、時代背景や因果関係を必要とするものが多く、合否の差がつく部分と言えます。一方で選択肢の問題の難易度は易しく、一見すると難しい内容の説明もありましたが、これまでに学習した内容が定着していれば消去法で解くことができる問題でした。
昨年度と比べて、時事問題やそれに関連した単元からの出題が多く見られました。
また、歴史分野では昭和時代が独立した大問として出題されていました。定番となっていた文化史の出題が減少した一方で産業史の出題が増加し、ここでは記述問題が見られました。
出題形式は例年から大きな変化はなく、正誤問題や記述問題、語句補充形式が例年通り出題されていました。

地理分野からの出題は、林業をテーマとし例年通り「都道府県別の特色」に基づいた貿易港に関連する問題、「地形」に関連する問題が出題されていました。今回は歴史と合わせた複合問題であったために、難しくなったと言えます。
一方、公民分野では比較的基礎知識を問う問題が多く、例年より易化しました。
問題量としては少なくなったものの、時事問題と合わせた出題は例年のパターンと言えます。

【問題構成】
問題構成は、3分野から大問4題、小問49問です。
解答形式は、語句形式が22問、記号選択が21問、記述が6問です。記述は、いずれも1行程度で、説明記述が2問、資料読み取り型が2問、理由記述が2問です。内容正誤問題が多く見られ、限られた時間で得点に結びつけるためには、正確な知識と高い定着度、すばやい判断力が必要です。

問題別寸評

(地理分野)オリンピックに伴って建設された新国立競技場をテーマに林業を中心とした総合問題。
林業が出題の中心でした。例年のように各都道府県の特徴を直接問う問題は少なく、各都道府県の地形に着目した問題が多く見られました。また、写真の特徴を読み取った上で記述する問題も出題されていました。

問1

日本の国土面積の約3分の2が森林で占められています。

問2

2:海洋生物など生物が飲み込んでしまう被害が多いのはプラスチックによる海洋汚染問題です。
3:集落周りの斜面の樹林である「雪待ち林」は雪害を防ぐものです。
4・5:以前は上流地域で伐採された木材は、いかだが組まれて河口まで運ばれていましたが、現在はダムの建設などによって行われなくなっています。
6:スマート林業実現のためにドローンが用いられています。
7:新国立競技場を囲む「のき」「ひさし」には日本全国の木材が使われています。
8:2016年4月に起きた地震は熊本地震です。

問3

ひさしの役割を説明する問題。
ひさしには、冬の太陽高度が低い時期に日差しを部屋の奥まで届かせる働きがあります。

問4

北山スギは近畿地方に分布しますが、設問の指示である「木材産地に関連が深い名前」ではありません。
京都の北山地方が名称の由来となっているので、組み合わせの鈴鹿山脈はふさわしくありません。
北山スギを知らなくても、他の組み合わせから考えることができます。

問5

白神山地が位置するのは青森県と秋田県です。

問6

河川が流れる地域の地形に関連する問題。
ア河川の付け替え工事が行われたのは利根川、河口の漁港は銚子市だとわかります。
イ久留米がすりから福岡県にあり、干拓地は有明海だとわかるので、筑後川だと判別できます。
ウ大河津分水路から信濃川であると判別できます。
エ茶の栽培といえば牧ノ原(静岡県)ですので、ここを流れる河川は大井川です。
オ輪中という部分から木曽川であるとわかります。

問7

スギは針葉樹林ですのでの地図記号です。

問8

合否を分けた1題で取り上げます。

(歴史)記録をテーマにした明治時代までの歴史に関する問題。
桜蔭中で頻出となる江戸時代の問題の出題量は大幅に減少しました。今回の歴史の問題は産業史が中心となっていました。産業史は時代一致などを含めて、他の政治史よりも高い難易度となっているので、今後桜蔭中を目指す生徒は、より一層の対策が必要です。
語句補充
1後の□にある「朝鮮半島にある三国のうち最北部」という部分から高句麗であると判別できます。
2木簡を紐でしばってまとめた状態を「冊」と呼びます。
3現存する日本最古の木造建築は法隆寺です。
4江戸時代に識字率の向上に大きく寄与したのは寺子屋です。

問1

弥生時代の歴史に関する問題。
紀元前2世紀は弥生時代です。弥生時代は稲作がさかんに行われていました。

問2

木簡に関する問題。
木簡の用途を説明する問題です。木簡は地方の特産物を納める税である調を運ぶ時に用いられた、産地や産物を表すための荷札です。

問3

仏教に関する問題。
織田信長は対抗する仏教勢力を抑え込みました。鑑真は日本に来日後、唐招提寺を建てました。お伊勢参りが行われたのは江戸時代の頃です。

問4

日本で初めてキリスト教を伝えたのはフランシコ=ザビエルで鹿児島県に上陸しました。

問5

江戸時代に将軍の代替わりごとに朝鮮から派遣されたのは朝鮮通信使です。

問6

中東の国の位置を選ばせる問題。昨年に引き続いての出題でした。今年はオリンピックが開催される予定ですので、世界の国の位置はしっかりとおさえておきましょう。

問7

明治政府の近代政策としてふさわしいものは、富岡製糸場に関する説明のものです。岩倉使節団の主要なメンバーや学制や地租改正など1872年、1873年の明治政府の主要な政策はしっかりと内容を定着させておきましょう。

問8

文学史の問題。
「学問のすゝめ」の著者は福沢諭吉です。

(歴史分野)昭和時代の歴史に関する複合問題。
昭和時代を含めて桜蔭中の歴史は戦争史の出題が多くなっています。さらに今回は、第一次世界大戦中の貿易に関する記述問題が出題されるなど、差がつく問題が見られました。
時代背景を意識した学習を進める必要があります。

語句補充
1日中戦争で日本は当時の中華民国の首都であった南京を攻め落としました。
2第二次世界大戦の講和条約はサンフランシスコ平和条約です。

問1

昭和元年は1926年です。

問2

大正時代の貿易に関する問題。
ア:第一次世界大戦中に日本の輸出量が増えたのは、大戦によりヨーロッパ各国に代わって、アジアや連合国への日本からの輸出が増加したからです。
イ:大戦景気に伴い、企業は賃金を上げたものの、物価の上昇に追いつかなかったため、人々の生活は苦しくなりました。

問3

「改元」に関する問題。
一世一元の制に変わったのは明治時代からですのでおよそ150年前です。

問4

被選挙権に関する問題。
第一回衆議院議員総選挙の被選挙権の要件は、直接国税15円以上納める満25歳以上の男子です。

(公民)時事問題をテーマとした政治や国際社会を中心とした公民の問題。
例年、最後の大問は、時事的な事柄に関連させた公民分野からの出題されるのが特徴です。時事用語を直接問う問題と時事に関連する知識の問題が出題されていますので、用語ばかり注目しすぎることのないように注意が必要となりました。知識のレベルとしては、標準的なものが中心です。他の大問に比べて差のつかない大問と言えるでしょう。分野に偏りなく学習していくことが必要です。

語句補充
1:予算の先議権があるのは衆議院です。
2:内閣の仕事の一つとして、天皇の国事行為に対する助言と承認があげられます。
3:国民主権の代表的な例の一つは、憲法の改正に対する国民投票です。その他、裁判所の国民審査があげられます。
4:日本は1956年にソ連との間に日ソ共同宣言を出したことによって、国際連合に加盟することができました。
5:中国がシンチェンなどに設けた、外国企業の誘致などのための特別区を経済特別区といいます。

【A】

今回の第25回の参議院議員通常選挙が行われたさいの投票率は48.8%でした。50%を割り込んだのは戦後2回目です。

【B】・【C】

消費増税に関する問題。
消費税には、国税と地方税の2種類があります。
消費税は、景気変動の影響を受けやすい法人税よりも、税率が一律のため安定した税収といえます。

【D】

日本とロシアの間に平和条約が結ばれることにより、色丹島・歯舞群島が返還されることになることが日ソ共同宣言でロシア側が伝えた内容です。

【E】

中国の気候や国土に関する問題。
中国の南部は東南アジアにも近く比較的温暖な気候であるため、米の栽培がさかんであり、北部は小麦の栽培がさかんです。

合否を分けた1題

今回の桜蔭中社会では、記述問題が増加した傾向にありました。
決して字数は長くないですが、時代背景を考えないと解けない問題や資料読み取り型の問題が出題されていました。今回取り上げるこの問題は、資料読み取り型でした。資料や写真・図の特徴を整理、比較して記述する問題のため、全く歯が立たないレベルではありませんでしたが、違いを踏まえて記述することができたかどうかが得点の分かれ目です。

記述形式による出題は今後も継続・増加する傾向にあります。日常の学習の中でも、因果関係や時代背景、用語に対する説明などを意識的に行うことが対策の要となるでしょう。

津波の被害から身を守るための設備の写真を比較して記述する問題。

資料・写真が与えられている場合、それぞれから読み取れることやわかることの整理は必須となります。

写真Aから読み取れることを整理します。
円墳のような形になっており、一直線の階段に加えて、側面かららせん状になって頂上に昇るスロープが作られています。

写真Bから読み取れることを整理します。
3~4階に相当する高さまで階段を使って避難できる建物です。

以上の情報を比較して以下のようにまとめます。
・階段しかない図Bに比べて、図Aはスロープ状になっており、足の不自由な人や車いすの人でも避難しやすくなっている点。

・避難所以外の機能が少ない図Bに比べて、図Aでは子供の遊び場や休憩のスペースとして利用することができる点。

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