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理科の合否を分けた一題

麻布中入試対策・理科の合否を分けた一題(2013年度)

平成25年度(2013)

ペットボトルや缶容器を題材にした気体の問題
生物であると判断するための特徴に関する問題
穴を通った光と像(ピンホールカメラ)に関する問題
火星探査車キュリオシティを題材にした火星に関する問題

総評

今年度の麻布中の入学試験の合格最低点は98点でした(四科目合計200点満点)。これは過去10年間で最も低い点数でした。本年は過去10年間で一番厳しい入試であったことが点数からもうかがえます。
その中で、理科は本年も「麻布らしい」出題でした。どの大問をとっても、身近な題材(ペットボトルやアルミ・スチール缶、小さな穴を通った光と像)や「理科の時事問題」(金冠日食、火星探査車キュリオシティ)を切り口にしていますが、問われていることはオーソドックスな理科の基礎知識やそれに基づいた思考力です。難問・奇問という類は出題されていません。ただし、単なる知識の丸暗記では歯が立たないような出題です。本当に理科の基礎知識を理解して身についているかどうか、その知識が実際使えるかどうかが試される工夫された問題が出題されています。
本年、注目を浴びているのがの問7で出題された「ドラえもんが生物ではない理由」を答えさせる問題です。本問題はネット等でも取り上げられ賛否両論あります。中には実際の問題を見ずに明らかに誤解と思われる批判さえ見受けられます。
結論から言えば、本問題は難問・奇問の類ではありません。麻布中の理科は必ずリード文の中に答えを導くヒントや答えそのものが隠されています。本問題も「ドラえもんが生物ではない理由」を勝手気ままに答えるのではなく、のリード文の中にある情報が答えの前提になっています。「ドラえもん」という題材にややもすれば気を取られがちですが、これは使える情報を読み取る力を試す問題です。
このよに、麻布の理科ではリード文(導入文)や図表・グラフの中から設問を解くための情報を的確に読み取る力が不可欠です。そういう意味で、麻布中の理科は理科の形式を借りた国語の読解問題でもあるのです。

難易度

A:易しい B:標準 C:難しい


問1 A
問2 B
問3 A
問4 B
問5 A
問6 A
問7 A
問8 B


問1 A
問2 A
問3 A
問4 A
問5 A
問6 B
問7 B


問1 A
問2 A
問3 A
問4 A
問5 A
問6 A
問7 B


問1 A
問2 A
問3 A
問4 A
問5 B
問6 A
問7 B
問8 A
問9 A

問題

1Lの炭酸水をビーカーに静かに入れたものと、1Lの純水をビーカーに入れたものの重さをそれぞれ測りました。そしてこの二つを十分な時間放置して、再び重さを測ると、結果は下の表のようになりました。また、このとき放置した炭酸水で、赤色リトマス紙と青色リトマス紙の色の変化を調べたところ、純水と同じようにどちらも変化はありませんでした。次に、空気をぬいたビニールぶくろに1gのドライアイスを入れて密閉し、室温になるまで放置するとドライアイスがなくなり、ビニールぶくろが少しふくらみました。その体積を測ると0.56Lでした。

重さ 放置する前 放置した後
炭酸水 1214.8g 1208.0g
純水 1209.3g 1207.3g

この実験から、放置する前の炭酸水には室温で何Lの気体が溶けていることがわかりますか。答えは小数第2位を四捨五入して第1位まで求めなさい。
問8より)

解説

炭酸水に溶けている気体は二酸化炭素です。したがって、放置する前の炭酸水は弱い酸性です。上の問題では、この炭酸水を十分な時間放置した結果、赤色リトマス紙も青色リトマス紙も変化しなくなり、中性になったことを示しています。これは、放置する前に炭酸水に溶けていた二酸化炭素がすべて気体になったことを意味します。
では、その量を計算してみましょう。
表から、放置前後の1 Lの炭酸水の減少は6.8gです。
1214.8 -1208.0=6.8
ところが、この減少の中には、水が蒸発した分と二酸化炭素(炭酸ガス)がぬけた分の両方が含まれます。そのうち水が減少した分が2gとわかります。
1209.3-1207.3=2.0
よって、二酸化炭素の減少は、4.8gです。
6.8-2.0=4.8
つまり、放置する前の1Lの炭酸水の中には4.8gの二酸化炭素が含まれていました。
あとはこれを体積に直せば良いのです。
1gの二酸化炭素の体積は、0.56Lですから、4.8gの二酸化炭素の体積は、
0.56×4.8=2.68
小数第2位を四捨五入すると、2.7Lが正解となります。

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