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理科の合否を分けた一題

麻布中入試対策・理科の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

問1 B  問2 B  問3 A  問4 A  問5 A  問6 A問7 A  問8 A
問1 A  問2 B  問3 B  問4 A  問5 A  問6 A  問7 A  問8 A
問1 A  問2 A  問3 A  問4(1)A (2)B  問5 B  問6 A  問7 B  問8 A
問1 A  問2 A  問3 B  問4 A  問5 A  問6 B  問7 A  問8 A  問9 B

A…麻布中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

例年通り、問題文のボリュームが多く、高度な理解力が必要な問題でした。
普遍的で深いテーマを扱い、知的好奇心が刺激される内容でありながら、入り口は、小学生でも入ってけることができるように工夫されていて、とても丁寧な言葉使い・構成になっています。
どこかで時事的題材にふれる問題が出される傾向もあり、ふだんから好奇心をもって、ニュースや日々触れる現象に目を向けているかが問われます。本年はウナギ・はやぶさ2・人類月面着陸50年・真砂土が取り上げられました。
問題構成は、4分野から大問4題、小問35問。
理科の配点は40点ですから、ほぼ1問1点の計算です。
解答形式は、言語が1問、作図が1問、数字が5問、記述が5問で、記号選択が23問でした。
昨年に比べて、記号で答えるものが大幅に増えましたが、問題文を正確にくみ取ることができれば解答できるものでした。例年、10問前後は出されている記述が特に少なくなっていて、記述が得意な受験生は物足りなかったかもしれません。

問題別寸評

(生物)ウナギの生態に関する問題です。
ウナギは、土用の丑の日など日本人の食生活にとてもなじみの深い魚です。しかし、その二ホンウナギの漁獲量が減少しており、絶滅も心配されています。ウナギについての生態はまだまだ不明な点が多く、養殖の難しさなどもあげられています。この問題ではウナギの生態と問題について扱っており、広い意味での生物多様性・環境問題を考える契機になっています。

問1

さまざまな魚のうち、一生を海で過ごす魚を選ぶ問題です。どの魚も見たり聞いたりしたことのあるものばかりでした。

問2

生まれたばかりのレプトセファルスと少し成長したシラスウナギを見分ける問題です。このように見たことのないものを答えさせる問題は、必ず問題文にヒントが与えられています。ここでは「海流に乗って西に移動します」という部分が解答のヒントです。2つの姿のうち流されやすいほうを答えます。

問3

川底がコンクリートで固められていると、シラスウナギが生活しにくい理由を答える問題です。こちらも、その理由を文章中から読み取って答えなさい、と指示されている通り、問題文にある解答を見つけましょう。「水中の細長い穴をかくれ場所とするウナギ」の部分から、コンクリート=穴ができにくく
かくれにくい、と考えられたかがポイントです。

問4

ウナギを捕らえるウナギ筒の形状を答える問題です。こちらも問題文にある「ウナギが入りやすく出にくい形」という部分をヒントに、選択肢の中から「入りやすく出にくい形」のものを選びましょう。

問5

ウナギの性別が決まる時期を答える問題です。こちらのヒントは少し後にある「河口にやってきたシラスウナギを捕まえて、これを水質の管理された『いけす』に入れて育てます」の部分と、「天然ウナギではオスとメスがほぼ半数ずつなのに対し、『いけす』で育てたウナギでは、ほとんどすべてがオスになります」の部分から、川をさかのぼる間に性別が決まることが読み取れます。

問6

ウナギの卵が手に入りにくい理由として、ふさわしくないものを選ぶ問題です。ふさわしい理由を3つ見つけるほうが分かりやすかったでしょう。「遠く離れた深い海」「数が減っている(絶滅危惧種)」「養殖はほとんどすべてオス」が根拠となります。

問7

養殖ウナギに比べ天然ウナギの漁獲量が非常に少ない理由を全て答える問題です。こちらは問6と逆に、ふさわしくないものから考えていくと良いでしょう。「養殖ウナギはほとんど産卵しないオス」「養殖ウナギも天然ウナギも同じシラスウナギから成長したもの」が根拠となります。

問8

天然ウナギの数を再び増やすための取り組みとして、適当でないものを答える問題です。生物の問題というよりも環境問題になります。ここまでの問題を解いてくればおのずと正解が分かるものと思われます。

(化学)生クリーム・小麦粉・バターの脂肪分や水分についての問題です。
生クリーム、パイ、パウンドケーキ、クッキーといったお菓子作りの中に見られる化学反応をテーマにした問題です。作ったことがあればイメージがわかるかもしれませんが、麻布中を目指す男子には少々馴染みがなかったでしょう。しかし、問題文をよく読めばヒントがある所は、昨年のコーヒー同様に「麻布の理科」らしかったと言えるでしょう。

問1

生クリーム・バター・牛乳を油の割合の多い順に並べる問題です。問題文から「牛乳の一部が生クリーム」「生クリームから水分を分離したものがバター」と読み取れれば難しくはないでしょう。

問2

生クリームを牛乳から短時間で作る方法についての問題です。牛乳を放置しておくと表面に生クリームの層が浮かび上がるという説明がポイントです。これは水分が蒸発したのではなく、水分と脂肪分が分離したためです。したがって遠心力を利用し分離する方法を選びましょう。

問3

パイ生地を折ることで何層になるかを考える、算数に近い問題です。
(1)図3で4層の生地になっていますので、これをもう一度三つ折りにすると、全部で4×3=
12層になります。しかし、間の2ヵ所でパイ生地どうしがくっつくため、12-2=10層になります。
(2)(1)と同じ計算をあと3回繰り返します。
3回目 10×3-2=28層
4回目 28×3-2=82層
5回目 82×3-2=244層

問4

バターをはさんだパイ生地を焼くと膨らむ理由を答える問題です。問題文で「グルテンはそのまま焼くとかたくなります」とあるので、膨らむのはバターが関係しています。そして、最初の問題文の中に
「バターの中には約15%の水分が含まれています」というヒントもあることから答えがわかると思います。このように、麻布の理科では全ての問題文がヒントとなっていることをおぼえておきましょう。

問5

パイを焼くときに高温で焼く理由を答える問題です。外側の生地が焼ける前にバターが溶けきってしまうと、水蒸気が外に逃げてしまいふっくらと焼きあがりません。ハンバーグを焼く時に外側を一気に焼き上げ肉汁を中に閉じ込めるのと同じ理由になります。

問6

パウンドケーキを作るときに、バターに空気を含ませる理由について答える問題です。空気の泡の大きさは、「あわ立て器で混ぜ」という部分から、小さい泡になることはわかると思います。

問7

パウンドケーキをちょうどいい180度以外の温度で焼いた場合どうなるかについての問題です。ここまでの問題を解いてくれば状況が想像できたのではないでしょうか。高温すぎると生地が先に焼きあがってしまうため、水蒸気の体積が増えても生地を伸ばせず膨らみにくくなります。一方、低温すぎると生地が焼きあがる前に水蒸気が逃げてしまうため、膨らまずベシャッとつぶれた感じになります。

問8

クッキーの生地に含まれるバターの役割についての問題です。問題文に「グルテンはそのまま焼くと固くなります」とあるので、バターの脂肪分によってグルテンが出来にくくなると考えられます。

(物理)光の性質に関する問題。
光の性質である「直進」「反射」「屈折」について、様々な実験を用いて説明しています。作図をする問題や計算する問題などありますが、本質的には問題文に書いてあることを確認しながら進めていけば解くことはできるでしょう。問7のレンズの作図については、境界面に入る角度によってどう進むのかをしっかり理解していないと難しかったと思われます。

問1

光の速さを求めるために必要な数値を考えさせる問題です。速さ=距離÷時間、ということが思い出せれば解きやすかったと思います。

問2

光の性質の一つ「直進」ではない現象を選ぶ問題です。麻布中を目指す受験生であれば確実に正解しておきたい問題です。

問3

光の性質の一つ「反射」に関する問題です。反射の作図の仕方については直前の問題文で示されていますので、その指示通り作図すれば容易に答えが出せたと思われます。

問4

電球信号機の特徴についての問題です。
(1)電球信号機で電球の後方に鏡を置く理由について答える問題です。電球からは放射状に光が出るため、何もしなければ前方に出た光だけしか見えません。これでは明るさが足りないため、後方の鏡を用いて光を反射させ明るくしています。
(2)電球を用いた信号機に必ずフードを付ける理由を答える問題です。ヒントが少なく答えにくかった問題です。フードを取り付けることで信号機のところに影ができます。この影によって、昼間でも信号機の光を見やすくしています。つまり、フードがないと太陽の強い光によって信号の色が分かりづらくなり、交通事故が起こりやすくなると考えましょう。

問5

光の進み方についての計算問題です。算数の問題に近い内容です。
こちらは後程「合否を分けた一題」として解説いたします。

問6

物の見え方に関する作図問題です。問題文に「観測者が片目で見たとき、観測者には目に入ってきた光が進む向きの反対側に光源があり、そこから光が真っすぐ進んで目に入ってきたように見えます」と書かれています。ここから、右目・左目、それぞれの目に入った光を伸ばしていき、水面の下で交わらせます。この交点こそが光源Pがあるように見える位置です。

問7

光の進み方からレンズの形を考えさせる問題です。普段レンズといえば凸レンズしか出てきませんが、凹レンズやそれらを組みわせたレンズでの光の道筋を、いかに論理的に考えられたかがポイントです。
Aとaを結ぶ直線が通過するガラスの厚さより、Aから平行に入った光が通過するガラスの厚さのほうが薄ければ、通過する時間も短くなることになります。つまり、レンズの端よりも中央部のほうが薄いレンズを答えればよい、ということになります。

問8

宇宙において重い星の近くを通る光の道筋を考える問題です。何回か出てきたフェルマーの考え方を使って解きます。重い星に少しでも近づくとそちらに引っ張られてしまい、結局時間が多くかかります。そこで少し外側を通ることでかかる時間を短くしていきます。

(地学)クレーター・岩石の風化と地形に関する問題です。
はやぶさ2・人類月面着陸50年といった時事的要素を含む問題から始まり、岩石の風化の仕組み、そしてその影響についての問題と幅広い一題となっています。風化については豪雨災害による土石流でも取り上げられた「真砂土」など、時事的な要素も入っていました。最後に麻布中学周辺の地形について問うあたりは、麻布中学の理科の先生の問題に対する方針がよくうかがえると思います。

問1

クレーターに関する問いです。2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」は、2018年「小惑星リュウグウ」へ到着しました。そして、2019年4月には金属弾をぶつけて人工的なクレーターを作ることに成功しました。このクレーターは「おむすびころりんクレーター」と名付けられました。時事問題でしたので解きやすかったものと思われます。

問2

月面にあるレゴリスと地球の川砂の形状の違いを答える問題です。問題文で「月の表面には、地球のような空気も流れる水もありません」とあります。ここから川砂は砂どうしがぶつかってけずれ、丸みを帯びていると考えられるでしょう。レキ岩・砂岩とギョウカイ岩の違いと同じことだと気づけたかがポイントです。

問3

さいせき物が粒の大きさで区分されている理由を答える問題です。よく出題される問題で、地層を調べたところ古い順に泥岩→砂岩→レキ岩とあったとき、この場所の海底はどのような変動があったかを問うものがあります。このように、粒の大きさにより堆積する場所が異なるため、堆積した当時の様子を知ることができるわけです。
また、地層のどの部分から地下水がしみ出してくるかを答える問題もあります。泥の粒の大きさが水の粒よりも小さく設定されているのは、これにより地下での水の動きを考えることができるからです。

問4

風化に関連しないものを答える問題です。問題文で物理的風化=水の凍結や鉱物の体積変化によるもの、とありますので、これに該当するものを選択肢から見つけます。また、化学的風化=岩石中の鉱物が水や空気中の二酸化炭素と結びついてもろく細かい鉱物に変化したり、カルシウムやナトリウムといった成分が水に溶けこんだりすること、とあります。塩=塩化ナトリウム、ということが分かっていれば選択肢の中から化学的変化を見つけることも難しくなかったと思われます。

問5

問6

花こう岩の風化に関する問題です。説明文や写真・図を見て考えます。割れ目の形や風化の程度は図から読み取ることができると思います。成分に関しての細かい説明はありませんが、風化に強い石英の成分が多いコアストーンで、石英以外の長石や雲母の成分が多いのが真砂です。

問7

コアストーンの重さを計算する問題です。ここでは特に条件に制約がないため、花こう岩が全てコアストーンになったと考えて計算していきます。
2m×2m×2m=200cm×200cm×200cm=8000000㎤
8000000㎤×2.7g/㎤=21600000g=21600㎏ となります。

問8

風化と温室効果の関係について答える問題です。先ほど化学的風化=岩石中の鉱物が水や空気中の二酸化炭素と結びついてもろく細かい鉱物に変化する、と問題文中に書かれていると述べました。このことから、温暖化で空気中の二酸化炭素濃度が高まると、風化によってより多くの二酸化炭素が空気中から取り除かれることになります。そのため温室効果が弱まり、地球の気温は温暖化する前のちょうどいい状態に戻ることになります。決して寒冷化するわけではない、という点に注意しましょう。

問9

麻布中学校の周辺の地形の高さを考える問題です。問題文で「麻布中学校の周辺は、さいせつ物はたい積してできた大地がけずられて形成された土地です」と書かれています。このことから、学校より離れた部分は風化により高度が低く、学校の周辺に近づくにつれ、高くなっていることになります。麻布中学近くの有栖川宮公園を思い出せれば分かったかもしれません。

合否を分けた1題

3の問5のような計算問題は、麻布中ではあまり多く出題されません。また、出題された場合、どちらかというと馴染みの少ない問題であることが多いです。そのため、問題文に書かれた計算の説明を正しく読み、その通り作業出来たかどうかが合否に影響します。今年度は、計算問題から3問5を「合否を分けた1題」として解説いたします。

問5

2つの道筋にかかる時間の比を求めます。長さについては実際の数字が与えられていますので、速さについても具体的な数字を設定します。その結果求められる時間は、本当にかかる時間ではありませんが、比を求めるのであれば問題ありません。
水中での光の速さは空気中の速さの 倍なので、空気中の速さを毎秒4cm、水中の速さを毎秒3cmと
します。これでかかる時間を計算します。

P→R→Q 25.2÷4+33.6÷3=6.3+11.2=17.5秒
P→S→Q 29.7÷4+29.7÷3=7.425+9.9=17.325秒

これを比にします。

17.5:17.325=17500:17325=3500:3465=700:693=100:99

よって答えは、100:99となります。

今年度は他にも大問問3、大問問5、問7でも計算問題が出題されています。いずれもよく説明を読めば解ける問題でしたので、麻布中合格を目指す受験生はしっかり練習しておきましょう。

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