2010年2月出題の入試問題から4を取り上げます。
解き方をみれば非常に簡単な数式で答を出すことができる問題です。しかし、麻布中学特有の、根本的な考え方がきちんと理解できているかどうか、長文の問題文を理解し、理屈をたてて自分で図を書き、考える力をもっているかどうか、そういう能力を判定する良問です。
問題の解説をしながら、麻布中学の過去問の学習のポイントについて書いてゆきますので、過去問をただ解いてみて解説を見るのではなく、ここに示した解説を自分で書けるように訓練してみてください。
4は日食を題材とした天体の問題でした。
「月が、満月の位置にあると月食、新月の位置にあると日食」と教えられますが、常にその位置にあると日食や月食がおきるわけではありません。実は下図のように、月の公転面は、地球の公転面に対して5°傾いています。こうした動きの中で、3つの星が一直線に並んだ時に日食や月食がおきます。
答 オ
アリスタルコスは (紀元前310年 – 紀元前230年頃)は古代ギリシャの天文学者、数学者です。宇宙の中心は地球ではなく太陽がであるという太陽中心説を最初に唱えた人物です。当時、アリストテレスやプトレマイオスの説である、地球中心説が支配的でしたが、その約2,000年後にコペルニクスが再び太陽中心説(地動説)を唱え、太陽中心説が発展することになりました。
では問題のポイントを挙げてみます。
・地球は月の2倍の大きさ
・地球-太陽の距離は地球-月の距離の20倍
・太陽と月の見かけの大きさは同じ(実際の大きさは異なるが、地球から見ると、
月も太陽も同じ大きさに見えるということ)
・距離が2倍、3倍になると見かけの大きさは1/2、1/3になる
・問われているのは、上記の場合、太陽の大きさは地球の大きさの何倍になるか
このように問題文をさらっと読むのではなく、問題文のポイントをノートにまとめる習慣をつけましょう。
まず、太陽と地球の大きさの比を出します。
・地球は月の2倍の大きさですから、 月=① とおくと 地球=② になります。
・太陽は月に比べて地球より20倍遠くにありますから、月に比べて1/20に小さくなって
見えるはずです。
・太陽は月に比べて1/20に大きさに見えて、その見かけの大きさは月と同じになりますから、
太陽の大きさ÷20=月の大きさ①
になり、太陽の大きさは⑳ になります。
・したがって、太陽=⑳ 地球=② の大きさになりますから、太陽は地球の大きさの10倍と
いうことになります。
答 10