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理科の合否を分けた一題

麻布中入試対策・理科の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

問1 A  問2 A  問3 A  問4 A  問5 A  問6 B
問1 A  問2 A  問3 A  問4 B  問5 A
問6 A  問7 A  問8 B  問9 B  問10 B
問1 B  問2 A  問3 A  問4 A  問5 B
問6 B  問7 B  問8 B  問9 B
問1 B  問2 A  問3 B  問4 A  問5 A
問6 A  問7 A  問8 B

A…麻布中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

本年度も、問題文のボリュームが多く、高度な理解力が必要な問題でした。
毎年のことですが、知的好奇心が刺激され、受験を終えても、帰宅途中の電車の中で、もう一度問題を開いて見たくなるような、もっとくわしく調べたくなるような、そんな問題でした。
とはいえ、試験問題であるからには、得点に結びつけなければなりません。
問題の魅力にときめく気持ちはほどほどに、最後まで気を抜かずに取り組む姿勢が大切です。
は、科学読み物を読んで、その内容がどの程度理解できたかを確かめるような設問になっています。
は、実験結果や観測データを処理し、考察を進めていく問題で、理科的な視点と、論理の組み立てに重点がおかれています。普段の学習で、いかに思考力を鍛えてきたかが試される問題といえます。

問題構成は、4分野から大問4題、小問42問。
理科の配点は40点ですから、1問1点の計算です。
解答形式は、言語が7問、グラフが1問、数字が2問、記述が10問で、記号選択が22問でした。記述が多めですが、どれも1行程度の長さなので、麻布中学受験生にとっては、それほど負担感はないかと思われます。過不足なく、必要なことを書くことができれば、得点できるはずです。

問題別寸評

(生物)ヒトの概日リズムに関する問題です。
ヒトの体内時計は1日が25時間であるため、強い光の刺激で調整していること。ずれがあるからこそ、環境の変化に対応することができること。を、読みとります。

問1

チーターは、昼間に行動することで、他の肉食動物との競争を避けています。アゲハチョウは、花が咲いている昼間に活動します。

問2

1日25時間のリズムでくらすと、寝る時間や起きる時間が毎日1時間ずつ遅くなるようになります。

問3

「明るい太陽光が目に入ると、…朝のおとずれと判断して…」とあるので、朝に、強い光を浴びることができるようにします。また、「窓の有無や向き」「窓のカーテンの状態」について答えなさい。と、書くべきポイントが示されています。

問4

飛行機などで海外に移動すると、昼間や夜間の時間と体内時計とにズレが生じます。これを時差ボケといいます。

問5

時差が大きい国ほど、時差ボケがひどくなります。

問6

A君の体温は、午前5時ごろに最低、午後5時ごろに最高になっています。
A君とB君の生活のリズムを比較すると、B君が眠くなるのが午前2時ごろで、22時に寝るA君より4時間遅くなっています。このことから、B君の体温の最低は午前9時(5+4)ごろ、最高は午後9時ごろになると考えられます。

(化学)藍染に関する問題です。
藍染のプロセスについて読みとります。初めて聞く名前で、しかも、似たひびきのものが複数でてくるので、混同しないように、印をつけたり、つぎのように、書きだしたりするとよいでしょう。
インジカン→(微生物の力を利用)→インジゴ→(微生物の力を利用)→ロイコインジゴ→(酸化)→インジゴ
水にとけないインジゴを水溶性のロイコインジに変化させて繊維にしみこませたあとに、再びインジゴにもどるため、色落ちしません。

問1

文中から、「染料は水に溶けやすいため…繊維と結びつく…」「藍は…インジゴという藍色の物質を含んでいます。」「インジゴは水に溶けないため、藍は顔料としては使えます。」に着目します。
染料は水に溶けるので、繊維と「結びつきます」。顔料は水に溶けないので、繊維と「結びつきません」。

問2

インジカンからインジコをつくることを、「くすも」作りといいます。「3~4日ごとに水を加え…」とありますから、水の量の管理は必要です。また、微生物を利用していることから、温度管理も大切です。

問3

文中に、「「小麦ふすま」とは、…栄養成分が豊富に含まれている」「「灰汁」とは、…アルカリ性の上澄みのこと」とあります。

問4

アルカリ性の水溶液をあげます。

問5

水にとけないインジゴを、水溶性のロイコインジにして、繊維にしみこませます。

問6

微生物を利用して、時間をかけて行っている化学変化を、薬品を使うと、短時間で行うことができると考えられます。

問7

選択肢のうち、食酢は、醸造酒に酢酸菌を加えることでつくることができます。また、ヨーグルトは、牛乳に乳酸菌を加えてつくります。「2つ選び…」とありますので、サービス問題といってもよいでしょう。

問8

蓼藍から藍染をつくる過程をきいているので、微生物を利用して天然インジゴをつくる過程を答えます。
(蓼藍の)インジカン→(微生物の力を利用)→天然インジゴ→(微生物の力を利用)→ロイコインジゴ→(酸化)→天然インジゴ

問9

「ロイコインジゴ→天然インジゴ」が酸化ですから、その逆の変化(還元)は、「天然インジゴ→ロイコインジゴ」です。

問10

天然インジゴには、不純物がふくまれていると考えられます。インジゴは水に溶けないので、繊維に残りますが、不純物は、洗うごとに水に溶けて、繊維からぬけていきます。

(物理)ブランコに関する問題。
見慣れた振り子の問題から始め、【実験A】と【実験B】を通して、ブランコをこぐとゆれが大きくなるのはなぜかを考えます。構成が大変工夫されていて、実験の結果を次の実験につなげていく過程で、論理的な思考をフルに働かせていくことで、結論に到達できるしくみになっています。

問1

振り子の実験について、基本的な問題です。通常は、10往復する時間をはかって、10で割り、平均値を出すことで、より誤差が小さくします。

問2

振り子の周期は、振り子の長さによって決まります。振り子の長さとは、支点からおもりの重心までの長さです。

問3

おもりの重さは、周期に影響しません。振り子の長さが長いほど、周期は長くなります。

問4

表から、円軌道の半径が10㎝のとき、1周する時間は0.4秒とわかります。半径10㎝の円周を0.4秒で1周するので、おもりの速さは、20×3.14/0.4=157(㎝/秒)となります。

問5

表から、半径が2倍、3倍になると、1周する時間は4倍、9倍になります。このとき、おもりの速さは、半径に比例し、1周する時間に反比例するので、2÷4=1/2倍、3÷9=1/3倍となります。

問6

【実験A】は、回転運動の半径が小さいほど、回転する回数が多くなり、速さが速くなる運動です。オがあてはまります。

問7

実際にはどうすれば、図7のような運動になるのかを考えます。合否を分けた一問で取り上げます。

問8

振り子の周期は、振り子の長さが長いほど長くなります。最高点から最下点に達するまでの振り子の長さは、最下点から最高点に達するまでの振り子の長さより長いので、周期が長くなり、かかる時間も長くなります。

問9

最下点で振り子の長さを短く、最高点で振り子の長さを長くするようにします。
最下点で足を上げ、最高点で足を下げる(または、上半身を傾ける)などするとよいでしょう。

(地学)大陸移動説に関する問題。
大陸移動説については、聞いたことがあるかと思います。
ここでは、いろいろなデータをあげ、その根拠として吟味します。
問題文は、3つのグラフを順にあげて、説明を進めています。それぞれの縦軸と横軸の示す値から、考察に利用するための解釈や置き換えの作業が求められます。

問1

世界地図を見ると、大西洋をはさんで、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の東側の海岸線は、ユーラシア大陸とアフリカ大陸の西側の海岸線と一致するように見えます。

問2

地球誕生時は、太陽と同じように火の玉のようでしたが、ゆっくりと冷えて、比重の高い物質が地球の中心(下)に、軽い物質が地表(上)に集まるようになったと考えられます。これが冷えて固まるのですが、一般に物質の温度が下がると、体積は小さくなることから、地表面にしわができて、起伏ができたと考えられます。

問3

問題のグラフ(それぞれの高さ以上の地表面を合わせた面積が地球の全表面にしめる割合)を、標高の高い土地から順に見ていったとき、しめる割合が急に大きくなる箇所があります。これに注目します。
1つ目は、標高0㎞付近、2つ目は深さ5m付近です。この2つのレベルの高さの地表面が、全表面にしめる割合が、特に大きいことがわかります。

問4

陸地を平らな氷の表面に、深海底の表面を水の表面に置き換えて考えます。氷は水より比重が小さいので、水の中に沈むことはありません。また、水上の部分と水中の部分の体積の割合は一定なので、大きい氷では、水中の部分の大きさも大きくなります。

問5

温度が低くなると、まわりより比重が大きくなり、下に沈みます。温度が高くなると、まわりより比重が小さくなり、上に浮き上がります。日本より東にあるハワイが近づいてきていることから、太平洋のプレートは日本に向かって西へ移動しているので、日本の地下では温度が低く、東側の地下では温度が高くなっていると考えられます。

問6

グラフを見ると、つくばとカウアイ島は、1999~2011年の間、一定の速度で近づいていますが、2011年に、一気に約80㎝近づいたことがわかります。このあと、2015年まで、再び一定の速度で近づくようになっています。2011年には、東日本大震災がありました。

問7

1年に6㎝近づくので、6000㎞の距離をうめるには、6000×1000×100/6=100000000=一億(年)かかります。

問8

火口が高くなるとき、火口の東側の斜面では、東側が下がります。また、南側の斜面では、南側が下がります。
図Yには、2つのグラフが書かれています。
東西方向のグラフは、時間とともに、東側が下がっています。
また、南北方向のグラフは、北側が上がっています。これはつまり、南側が下がっているということになります。
よって、観測したのは、南東の斜面であったことがわかります。

合否を分けた一題

麻布の問題は、未知の題材が取り上げられることが多く、まず、問題文を読み、理解する力が必要となります。
次に、考察を進めるにあたり必要になるのが、基本的な知識と根本原理の理解です。根本原理は、根っこのところで様々な現象に共通する部分があります。うわべだけの理解にとどまっていると、そのことに気づくことができません。

問7

【実験B】の図7を、しっかり理解できたでしょうか。
【実験A】の円運動の半径と運動速度の関係を、【実験B】では、振り子の長さとおもりの速さの関係に置き換えて考えています。
もし、点dと点eのおもりの速さが同じであれば、点fは点cと同じ高さになるはずです。
しかしここでは、【実験A】から考えを進めることで、ひも引いて点dから点eに進めたとき、おもりの速さが速くなることがわかっています。最下点のおもりの速さが速いとき、最高点の高さは高くなるので、ブランコの振れ幅が大きくなります。
もう一度、図7をよく見て考えてみましょう。
最下点で、点dから点eに進めるこき、ひもを短くします。これは、ふりこの長さを短くすることと同じですから、立ち上がればよいとわかります。
最高点で、点fから点gに進めるとき、ひもを長くします。これは、ふりこの長さを長くすることと同じですから、しゃがめばよいとわかります。

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