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国語の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・国語の合否を分けた一題(2012年度)

平成24年度の普通部の入試問題は、大問二の随筆に韻文要素が入ったため、戸惑った受験生もいたようですが、内容的には、特に高度な韻文知識や鑑賞力を求めるものではなく、筆者の主張・意見をとらえることが主眼の出題でした。

大問一の物語文は、200行(一行30字換算)を超える長い文章でした。文章を読み進みながら手際よく設定を理解し、話のポイントをつかむことができたかどうかで差がついたと考えられます。手がかりを拾って理解を深めながら読みとおす集中力が求められたと考えられます。

平成24年度の国語で合否を分けた問題としては、大問一の問一をあげたいと思います。
この問題は、文章のはじめの部分で描写される登場人物の行動について、その思いを説明している部分を本文中からぬき出させる問題です。

文章は、村役場に長く勤めていた森田さん(70過ぎ、奥さんをなくして一人暮らし、息子たちは東京暮らし)が、退職後、村の漁業協同組合に委嘱されて河川監視員(川をパトロールして入漁券を買わせる仕事)をしていて、釣りにくる子供たちとのかかわりが描かれているというものです。子供たちに対する森田さんの「ことば」、「行動」、「きもち」を文章の展開の中から読み取っていくことが得点につながるポイントです。

問一は、「傍線部1、右手ににぎったサナギ粉を流れにまいている、とありますが、森田さんは、どのような思いがあって魚を集めようとしているのでしょうか。本文中から十七字でぬき出しなさい。」という問題です。
この問題をぬき出し問題の典型的アプローチ(近いところから探す)で解こうとすると、いつまでも見つからないことになります。答えが近くにない場合、文章全体が長いため、やみくもに探しても時間がかかるばかりで、確実に解くことはできないのです。

文章を読むときにその話のポイントは何か、ということを常に意識しながら読むようにしていれば、この文章でも、登場人物の不思議な行動の「意味(意図)」を解明しようとしながら読み進むはずです。そして、話の流れをたどりながら、徐々にその意図、真意が明らかになってくるのです。結局、文章のはじめにでてきた行動の意味は、文章の最後の登場人物のせりふの中で明らかにされます。話のポイント、意味を考えながら読み通したうえで問題に取り組めば、「!」と気づいて、時間をかけずに正解することができます。一方、ぬき出し問題として、傍線部周辺をさまよい続けた受験生は、正解できないばかりか、貴重な試験時間をむだに使ってしまったことになり、大きなロスをすることになったのです。

答えは、文章中最後の森田さんのことば、「まき餌を用意せねばな。……明日は日曜だから、子供らがいっぺえ来るだろうからな。子供らに三百円損させちゃならねえぞ」の中にあります。頭の中に?を持ちながら読み進んでいれば、ここで「!」となるわけです。ということで、「子供らに三百円損させちゃならねえぞ」、が答えです。

『国語の合否を分けた一題(2012年度)』 >> 1 2
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