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社会の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・社会の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

[1] 1 (あ)A(い)A(う)A(え)A 2 C 3A 4 B 5C 6B
[2] 1 (あ)A(い)A(う)A 2 A 3 B 4 A
[3] 1 (あ)A(い)A(う)B(え)C(お)A  2 A  3 A  
[4] 1 A  2 A  3 A  4 A
5 A  6 A  7 A  8 A
[5] 1 A  2 A  3 C  4 A  5 A  6B 7B 8A 9A
[6] 1B 2A 3A 4A

A…慶應義塾普通部中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2017年度の慶應普通部は、例年通り基本レベルの知識と発展的なレベルの知識が織り成された出題です。今回特筆すべき点として、平成21年度以来見られなかった作図が出題されています。慶應普通部では、国語でも作図形式の問題が出題されたことがあります。こういった点から慶應普通部合格には、単純な学習だけでは足りません。日々の学習や、日常生活の中で生まれる疑問点や問題点について思考することも大切です。このような学習の基本的な姿勢が社会科でも要求されています。

地理分野では、作図問題以外にも隠岐諸島の位置を答えさせる問題などが出題されました。単純に「隠岐」という言葉を暗記すればよいのではなく、「地図帳」を活用しながら地形も含めて学習を進めていたかが問われています。また、昨年に続いて、統計資料の読み取りや思考型の説明記述問題も出題されています。一方、歴史分野は時事問題に関連させて人物史や文化史が出題されました。出題のパターンは例年と大きな変化は見られませんでした。
公民分野は大問が1問と、他分野に比べて出題が少なく、時事問題が中心です。
近年は時事問題が隔年で出題されていますが、リード文の中で活用していく場合も考えられますので、今年も対策をしておく必要があるといえます。

対策

対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、日常生活の中での疑問点や問題点に対して考える姿勢を持つことが重要です。さらに、身近に起きる出来事や日々の生活で頻繁に目にするものに対して、社会科で学習した知識との「つながり」を考えることも大切です。
また、語句を答える形式が多いため、語句をしっかりと漢字で書けるよう普段からの練習は必須です。
思考型の記述問題への対策も必須となってきますので、字数ごとにまとめる練習を行うことも必要です。

合格者平均点は非公表ですが、およそ70%(と推測されています)を確実に得点するために基本・難問の区別、つまり問題の「取捨選択」をしっかりと行い、基本レベルの問題でしっかりと得点を重ねていくことも重要です。

問題構成

問題構成は、3分野から大問5題、小問47問。
解答形式は、語句形式が33問で、うち13問が適語句補充問題、記号選択が9問、記号の並び替えが2問、作図が1問、記述が2問。記述は、大問1の問題はやや難易度が高いです。並び替え問題は、地理分野・歴史分野ともに難易度は高くないため得点し易いといえます。しかし、歴史分野の問題は誤った人物を選んでしまうと連鎖的に失点してしまうため、設問の丁寧な読み取りが必要です。
30分という限られた時間で得点に結びつけるためには、定着度の高い知識と問題の「取捨選択」が必要です。

問題別寸評

[1]

(地理分野)中国地方をテーマとした地理の総合問題です。
今回の大問1では平成21年度以降出題が見られなかった「作図」が出題されています。
中国地方を基本として、雨温図の読み取り・作図から出題されています。基本レベルの知識で解くことができる問題と難易度の高い知識を必要とする問題の差が大きいため、基本問題では確実に得点したいところです。こういった難問がいくつか出題されることは例年通り普通部の特徴といえるでしょう。

(あ)「~中国地方で瀬戸内海に面した…」とあるので山陽地方であることが分かります。
(い)「~臨海部の(い)石油化学コンビナート」とあるので岡山県倉敷市の水島コンビナートであることが分かります。
(う)「一方、日本海側に面した…」とあるので山陰地方であることが分かります。
(え)「~65歳以上の人口が半数を超えて…暮らしを維持することが難しくなっている…」とあることから限界集落が当てはまります。

隠岐諸島を正しく表しているのはウです。

鳥取市は日本海側の気候区分に属しています。したがって、アがあてはまります。

「~日本有数の漁港」という部分から境港市であることが分かります。

中国地方のおもな河川が描かれている解答用紙の地図に、瀬戸内海側と日本海側の「分水嶺」を記入していく問題です。
「分水嶺」とは、異なる水系の境界となっている山のみねのことです。
つまり、降った雨がそれぞれの川に流れる境界となる山のみねのことです。
したがって、解答用紙の地図に描かれている河川の上流を考えて水源となっている部分を線で丁寧に結びます。

合否を分けた1題で取り上げます。

[2]

(地理分野)世界遺産に登録されたル・コルビジェをテーマとした世界遺産と都道府県の産業に関する出題です。
今回の大問は他の大問に比べて、易しい問題が占めているので確実に得点すべき大問といえます。
各都道府県の産業や都道府県に関連する統計資料の問題は頻出ですので、確実におさえておきましょう。

(あ)20件目の世界遺産とあるので、国立西洋美術館となります。
(い)直前に「富岡製糸場」とあるので、「絹」産業遺産群となります。
(う)2015年に世界遺産に登録されたのは「明治日本の産業革命遺産群」です。

東からC(青森県・秋田県)D(静岡県・山梨県)A(岐阜県・富山県)B(京都府・滋賀県)の順になります。

アは、人口密度や米の割合が高く、工業出荷額が最も多ことから滋賀県です。
ウは、果実の割合が他と比べて高いため、リンゴの生産で有名な青森県です。
オは、畜産業の割合が高いこと、人口密度が比較的少ないことから岐阜県となります。

自然遺産の「知床」、「白神山地」、「屋久島」、「小笠原諸島」のうち最も南に位置するのは小笠原諸島です。

[3]

(歴史分野)「城」をテーマとした戦国時代~江戸時代にかけての問題です。
この大問では熊本地震により甚大な被害をうけた熊本城に関する出題でした。時事問題は各年での出題となっていますが、しっかりとその年度の時事問題の基本知識と関連知識をおさえましょう。
時事テキストに書かれていること以外でもこれまでに学習した社会科の知識と「つながり」はないかを考えましょう。問3の問題は文化史からの出題となっています。文化史は作品と人物を一致させながら覚えなければいけないため混同しがちですが、ノートに「まとめる」ことも効果的です。

(あ)「去年の地震で」とあるので熊本城であることが分かります。
(い)「朝鮮に出兵を命じた」とあるので豊臣秀吉です。
(う)「~御三家の一つが置かれた…」「~東海道沿いでにぎわった」という部分から名古屋が当てはまります。
(え)箱根の関所を管理していたのは、小田原藩です。
(お)「~江戸時代には日本の経済の中心地…」という部分から当時商人が多く集まっていた大阪であると分かります。

①「城のシンボルである高い建物」とは天守閣です。
③「旅人を検問する施設」とは関所です。

 東海道を舞台に面白おかしく旅をする人々の姿を描いたのは「東海道中膝栗毛」です。
「東海道中膝栗毛」を描いたのは十返舎一九です。

[4]

(歴史分野)「船」をテーマとした、人物史に関する問題です。
歴史の全範囲からの出題となっています。普通部では、出来事や史料・写真や図と時代・年号が確実に一致できていないと連鎖的に失点してしまう出題形式が見られます。したがって、全ての時代を複合した総合問題などを用いて練習を重ねるとともに、曖昧な部分をなくしていく練習が必要です。

直後の「珍しいもの」、「戦いに用いられるようになり」とあるので、鉄砲の説明であると分かります。
したがって、鉄砲が伝来した種子島が答えとなります。

い,は坂本龍馬で、坂本龍馬が仲立ちを行ったのは薩長同盟です。

下線部③があらわす「国際的な組織」とは国際連盟です。日本はこの時国際連盟の総会において脱退を表明しました。したがって、国際連盟の本部が置かれていたスイスのジュネーブがあてはまります。

3に続き、日本が国際連盟から脱退した理由は、日本が裏で建国した「満州国」の独立が認められなかったことによるものです。

 岩倉使節団の外交交渉の目的は「条約改正」です。

 い,は2でも説明した坂本龍馬です。
 う,は1853年に日本に来航したペリーです。
 え,は聖徳太子によって隋に派遣された小野妹子です。

 年代順に並べると え(飛鳥時代)→き(鎌倉時代)→あ(戦国時代)→う(江戸時代後期)
→い(幕末)→か(明治時代)→お(昭和時代)となります。

Aは日本に襲来した元軍の写真です。したがって、(き)が選べます。
Bは神奈川県の浦賀沖に来航した「黒船」です。したがって、(う)が選べます。

アは「黒船」をさすことから(う)が選べます。
イは「臨時総会」とあることから(お)が選べます。
ウは「石塁」とあることから元寇であると分かるため、(き)が選べます。
エは「鉄砲」の説明をしているため(あ)が選べます。

合否を分けた一題

普通部では、例年記述問題が出題されています。
記述問の形式は様々で、今回のような「思考型」以外にも、語句の「説明記述」やことわざの意味を答えるものなどが見られます。
記述問題の対策として、学習した語句や言葉を説明できる状態にしておくことが大切です。
また、日常生活でよく見かける身近なものと社会科との「つながり」を考えることも必要です。

[1]

今回の設問では「高速道路の開通や鉄道の高速化によって、小売業の収入が減少した市町村がある」
理由が問われています。
まず、「高速道路の開通」や「鉄道の高速化」によってどのような利点があるかを考えます。
高速道路の開通や鉄道が高速化することで、これまでよりも遠くの都市に早く移動することができるようになります。
次に「小売業」との関連を考えます。ここで大切なのは、消費者の視点です。「ほしいと思う商品がある遠くの都市」に「早く移動」できるようになれば消費者は商品をより手に入れやすくなります。したがって、ほしいと思う商品がある遠くの都市で買い物をするようになります。
以上点を踏まえると、「交通の利便性が向上したことによって近くの都市で買い物をしなくなった」ということが小売業の収入が減少した理由であると考えられます。
これらを踏まえて記述を作成します。

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