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社会の合否を分けた一題

慶應普通部入試対策・社会の合否を分けた一題(2021年度)

難易度分類

1. C 2. B 
1.A 2.A 3.B 4.A 5.A 6.B 7.B 
1.あ:A い:A う:A え:A 2.A 3.A 4.A 5.A 
1.B 2.A 3.A 4.C 5.B 6.A
1①A ②A 2.A 3.C 4.B 5.A 6.A 7.A:A B:B C:A
1.A:A B:A C:A 2.A 3.い:A え:A お:A 4.B

A…慶應普通部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2021年度の慶應普通部は、マニアックな問題と標準レベルの問題が織りなされた例年通りの出題でした。統計データの活用や感染症をテーマとした歴史の総合問題など、地理と歴史が出題の中心でした。
発展的な問題も多く出題されており、標準レベルの問題で得点を重ねるための取捨選択が、合否の分かれ目となりました。
分野別にみると、地理分野では、統計データを活用した問題や各地の産業と人口の推移、各都道府県の特色についての出題でした。先述した通り、難易度にメリハリのついた出題となっており、標準問題での確実な得点が必要です。
歴史分野は、「電信」「河川」「感染症」をテーマに、幅広い時代からの出題となっていました。
一部では、三途の川の渡し賃を問う問題や、方丈記からの抜粋など慶應普通部らしい、マニアックな知識を問う問題が出題されていました。しかしながら、文化史や明治時代の政治史、時代整序の問題は基礎問題も多く、得点源となる問題を判別できていたかがポイントでした。
公民分野は大問として出題はなく、統計データやリード文のテーマの中で取り上げられることにとどまっていました。
合格者平均点は非公表ですが、およそ60%~70%(推定)。これを確実に得点するため問題の「取捨選択」をしっかりと行い、基本レベルの問題で失点しない練習を重ねていくことも重要です。
対策として、まずは、基礎知識を確実に定着させましょう。その上で、知識を説明できる状態に仕上げておくことが必要です。
単純な暗記学習ではなく、「地図帳」や「資料集」を常に活用しながら学習を行うことが必要です。
特に今年の出題からは統計データについて問う問題がみられたことから、地図帳の後半ページや統計集を活用していくことも必要です。
さらに、身近に起きる出来事や、日々の生活で頻繁に目にするものに対して、社会科で学習した知識との「つながり」を考える心掛けも大切です。
近年の競争率を考えると、発展的な知識まで幅を広げて、細かい知識への対応ができると差をつけられるでしょう。
問題構成は、3分野から大問6題、小問45問。
語句形式が21問、記号選択が22問、記述が2問でした。

問題別寸評

(分野総合)についての問題です。
日本の統計に関する問題です。1,2ともに難易度が高い問題です。
実際の数値とイメージとのずれが無いよう知識を定着させておく必要があります。
電力や食料自給率は地理分野のなかでも頻出のものとなりますが、普通預金やスマートフォンの普及率や大学の進学率などは身近な事柄ではないため、一般常識として知識をおさえましょう。

実際の数値とかけ離れている割合を選ぶ問題。
ウ 普通預金の年間の利息は、0.001%となっています。
オ スマートフォンの普及率は67.6%です。

女性や外国人の割合に関する問題
A アの衆議院における女性議員の割合は、約10%、イの小学校の校長うちの女性の占める割合は約15%、ウの全国の知事のうち女性は47都道府県中2名となっています。

(地理分野)長野県をテーマとした地理の総合問題です。
長野県をテーマに農業をはじめとした一次産業、工業と発展理由、人口についての出題でした。
大問1の難易度が高いことを考えるとこの大問の地図記号を書かせる問題や工業の発展理由は、確実に得点が必要となります。一方で、人口密度に関する問題は、計算が必要となりました。

リード文から都道府県を判別する問題。
「標高が700m~2500m」「第一次産業がさかんで…涼しい気候を利用した野菜作り」「カーネーション」「富士山が見える」というから長野県があてはまります。

半導体工場の分布理由に関する問題。
大工場は、原料の輸入や製品の輸出が必要になるため、臨海部に建設されます。
一方で、半導体は原料の輸入に依存せず、一つの大きさが非常に小さいため、車などで輸送することが可能です。したがって、長野県のような内陸の地域でも生産することが可能です。
また、工業に必要な水資源も豊富で空気もきれいであるといった自然的な要因も関連しています。

人口密度に関する問題。
この問題は計算を必要とする問題です。基本情報として、日本の人口密度をおさえておく必要があります。日本の人口密度は335/㎞²です。
人口÷面積で求めることも可能ですが、時間を考えると基本知識としておさえておくことが必要です。
次にY町の人口密度を求めます。
Y町は人口14000人で、面積は145㎞²です。したがって、Y町の人口密度は95/㎞²です。

(地理分野)各都道府県の地理の総合問題です。
各都道府県の特色から都市や都道府県を問う問題です。6つの大問の中でも比較的易しい問題です。
マニアックな問題はないために確実に得点が必要です。リード文の中にキーワードが多くあるため、都道府県ごとの特徴をおさえていたかどうかがポイントです。

交通に関する問題です。
あ:文中の「日本海」「特別天然記念物の鳥」という部分から新潟県を導くことができます。新潟県を通る新幹線は、上越新幹線のため、終着駅は新潟駅です。
い:文中の「湿原」「豊かな自然」という部分から釧路空港であることがわかります。
う:文中の「乗り継ぎ」「外国からの攻撃を備えた石垣」という部分から山陽新幹線であることが分かります。
え:文中の「政令指定都市」「日本三景」という部分から、東北新幹線の停車駅である仙台駅があてはまります。

2~4

2:特別天然記念物は「トキ」です。
3:「釧路湿原」はラムサール条約に登録されています。
4:宮城県の日本三景の一つは「松島」です。

(歴史分野)明治時代に関する問題です。
「電信」をテーマに明治時代の歴史を問う問題です。
電信がテーマとなっており、「光ファイバー」などのマニアックな知識を問う問題がみられました。
マニアックな知識に引っ張られることなく、基礎問題での得点を重ねられたかどうかがポイントです。

2、3

明治時代の歴史に関する問題
「憲法制定の中心人物」という部分から伊藤博文であることが分かります。
大日本帝国憲法はドイツの憲法を参考にしたものです。
伊藤博文は、岩倉使節団に参加していました。
電信というキーワードが浮かばない場合でも、キーワードを手掛かりにして、得点を目指しましょう。

明治時代の産業に関する問題。
明治政府は、当時のスローガンとして「富国強兵」「殖産興業」をテーマとしていました。

(歴史分野)「河川」をテーマとした歴史の総合問題です。
河川は、地理・歴史を通してテーマになりやすいものの一つです。
大問4と同じく、「三途の川の渡し賃」や「方丈記の一説」について、マニアックな問題が見られる一方で、文化史や政治についての問題は標準レベルですので得点が必要です。
また、この大問では、歴史に関する河川という形で地形との関連を問う問題が見られました。
普通部では、分野横断的な問題は例年出題されているため、幅広く知識を定着させる必要があります。

河川に関連した歴史の出来事に関する問題です。
①:武田信玄と上杉謙信の代表的な戦いが川中島合戦です。
②:毎月きまった日に各地の品々を売り買いする場を定期市といいます。鎌倉時代には月に3回、室町時代には月6回の定期市が開かれました。

浄土信仰に関連した問題。
三途の川の渡し賃は、六文とされていました。直後の「戦国武将の中には、この渡り賃をデザインした家紋を用いた…」とある部分もヒントとして活用できます。
六文銭を用いていた戦後武将は真田幸村です。
六文銭は、仏教色の強い家紋で、仏教で許されていなかった殺生を仕事とする武将が、救済を求めて採用したといいます。

5、6

文化史に関連した問題。
5:この問題の図は東海道五十三次です。江戸化政文化の象徴ともいえる、東海道五十三次の作者は歌川広重です。
6:室町時代の文化に関する問題です。
庭に石と砂によって水の流れを表現したものを枯山水といいます。室町時代の龍安寺の石庭、慈照寺銀閣寺が有名です。

河川を答える問題です。
A:「箱根八里は…」は江戸交通における定番の一説です。江戸時代、大井川の河川には、大きな橋がかけられていませんでした。これは、江戸防衛の観点から行われており、川を渡るためには、人足とよばれる人々が川渡しを行っていました。
B:源平合戦の一つとして、富士川の戦いが有名です。
C:難波宮と大津宮は淀川で結ばれていました。

(歴史)感染症をテーマとした歴史の総合問題。
2020年は、コロナウイルスの世界的な感染拡大が起きた年でした。今回のコロナウイルス以外にも過去に、人類に大きな影響を及ぼした感染症は数多くあります。古くは天然痘から始まり、近年では、ペストやスペイン風邪などが挙げられます。
今後も、感染症について取り上げられる可能性も十分に考えられることから、知識を整理しておきましょう。そして、歴史的な経緯のみではなく、世界の国々や経済に及ぼした影響といった観点からも知識を補うよう心掛けましょう。

2・3

感染症に関連した時代整序問題。
2キーワードから時代判別を行う問題です。
あ:「開国の直後」から江戸時代末期であることが分かります。
い:「米騒動」から大正時代であることが分かります。
う:「国分寺」「大仏」から奈良時代であると判別できます。
え:「鎖国をする頃」から江戸時代の前期であることが分かります。
お:「初めて国会が開設」という部分から、明治時代の中頃であることが分かります。
か:「足利尊氏」という部分から、室町時代の初期であることが分かります。
以上のように、キーワードに注目して時間をかけずに処理することができたかどうかがポイントです。
時代判別の出題頻度は高いため、日常の学習から時代を意識する必要があります。

3.2で判別した時代と一致する出来事を選ぶ問題です。
・い/大正時代ですので、キの国際連盟があてはまります。
・え/江戸時代前期、1639年の3代将軍徳川家光の頃の出来事です。したがって、イの参勤交代があてはまります。
・お/明治時代中期の1890年の出来事です。したがって、1890年におきたエルトゥールル号事件があてはまります。エルトゥールル号事件は知識として難易度が高いものとなりますが、そのほかの選択肢については、標準レベルですので、消去法を用いて正解を導くことができます

この問題のように、最終大問で時間を要する問題の出題は過去にも見られます。
素早い処理力に加えて問題の取捨選択、高い定着度の知識
が必要となります。

合否を分けた一題で取り上げます。

合否を分けた1題

例年では、記述問題が合否を分けた一題となりますが、今年については、思考型の記述や難易度が高い記述問題は見られませんでした。2020年はコロナウイルスで世界の人々の生活に大きな影響をもたらしたこともあり、時事問題と関連付けた出題が見られました。中でも感染症の歴史については、時事テキストでも大きく取り上げられていました。
時事的な事柄は出題頻度が高いため、時事テキストで基礎を固めるとともに、問題演習のみではなく、
資料や年表、地図・図など隅々まで目を通すよう心掛けましょう。

大問6
問4

はじめに、各文の感染症の判別を行います。
あ:江戸末期に流行した感染症は「コレラ」です。
い:大正時代の後期に世界的な流行となったのはスペイン風邪(インフルエンザ)です。
う:奈良時代に流行した感染症は「天然痘」です。
え:江戸時代初期に流行した感染症は「結核」です。
お:稲葉風邪とは、インフルエンザを指します。
か:元寇が持ち込んだ感染症はペストです。

この中で、同じ感染症の組み合わせはインフルエンザの「い」と「お」です。

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