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理科の合否を分けた一題

女子学院中入試対策・理科の合否を分けた一題(2016年度)

難易度分類

1 (1) B  (2)① A  ② A  ③ A  ④ A  (3)① A  ② A  ③ A  (4) A
2 (1) B  (2) B  (3) B
1 ① A  ② A  ③ A  ④ A
2 (1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) C  (6) B  (7) B
1 (1) B  (2) B
2 (1) A  (2)① A  ② A  (3) ① A  ② A
3 (1) A  (2)① A  ② A  ③ A  ④ A  ⑤ A  (3)① B  ② A
1 A  2 A  3 A  4 A  5 ① B  ② B  ③ B
6 (1) A  (2) ① A  ② A  ③ A  ④ A  ⑤ A

A…女子学院合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2016年度の女子学院も、この学校らしい思考力が試される良問でした。
Ⅰは、時事的内容を含む、地学の問題。
Ⅱは、実験結果のグラフをてがかりに考えを進める問題。
Ⅲは、実験を通して、物質の分類を行う問題。
Ⅳは、実験の結果から、次の実験の結果を予想する問題。
難問はないものの、グラフや表から、実験や観察の結果を読みとり、理由を考える問題が中心となっていて、データをどう処理して解答に活かすかが問われます。
同時に、確かな基礎知識の裏付けも必要とされており、まさに、両輪そろってこそ、正答に到達できることを、実感できるのではないでしょうか。
問題構成は、4分野から大問4題、小問55問。
解答形式は、言語が12問、数字が7問、記号選択が24問、記述が12問で大変多くなっています。作図はありませんでした。昨年度と比べ、計算問題が解きやすくなっていて、難易度も若干下がったのではないでしょうか。

問題別寸評

(地学)火山および人工衛星についての問題です。
火山の問題は、噴火の様子と地域に及ぼす影響にもふれていて、時事的内容を含みます。2,3年の間に起こった天変地異については、チャックしておくことが必要です。
人工衛星は、日の入り後や日の出前の数時間、注意して空を眺めていると、小さな光の点が、ゆっくり移動していく様子を見ることができます。問題では、見える条件について考えます。また、無人探査機についての問題もあり、時事的内容をふくみます。

(1)
「水蒸気爆発」は、水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化し、爆発的に体積が増加する現象のことです。
水は、液体から気体になるとき、体積が約1700倍になります。

(2)
Aは雌阿寒岳、Bは有珠山、Cは岩手山、Dは吾妻山、Eは浅間山、Fは御嶽山、Gは箱根山、Hは三宅島、Iは西之島、Jは九重山、Kは雲仙岳、Lは桜島、Mは口永良部島を表していると考えられます。
①の御岳山は、2014年に噴火し、多くの犠牲者を出しました。
②はMの口之永良部島、③はGの箱根山、④はIの西之島です。

(3)
火山からマグマが噴出するときの形態はさまざまです。
液体状態で噴出したものが、溶岩です。固体状態のものを火山砕屑物といい、破片の大きさが大きい順に、火山岩塊、火山礫、火山灰と呼ばれます。
また、かたまり状で多くの穴があり、色のうすいものを、特に軽石といいます。

(4)
①は、火山噴出物が降り積もってできた地層ですから、れきには火山ガラスや鉱物の結晶がふくまれています。これらのつぶは、水のはたらきを受けていないので、角張った形をしています。
②は、岩石が川の上流から流されてくる間に、水のはたらきによって角がとれて、丸みをおびています。
「②の形と比べたときの①の形の特ちょう」をきいているので、「ふくまれているつぶが角張っている」と答えます。何を聞かれているかをきちんと把握し、とりちがえないようにしましょう。

(1)
人工衛星がAの位置にあるとき、Xの上空にはありますが、太陽の光が強いので、見ることができません。人工衛星がBの位置にあるときは、地平線の下になり、やはり見ることができません。

(2)
Bでは太陽の光がとどきますが、Cでは届きません。BからCに移動する途中で、人工衛星に太陽光があたらなくなり、反射光もなくなるので、肉眼で見ることはできなくなります。

(3)
アメリカ航空宇宙局(NASA)が2006年に打ち上げた無人探査機「ニューホライズン」は、2015年1月~2016年1月にかけて、冥王星とその衛星の観測を行いました。

(生物)ダニに関する問題です。
肉食のダニと草食のダニの数の変化について実験を行い、その結果について分析を行う問題です。食物連鎖の基本的な考え方と、その利用について考えます。

肉食動物と草食動物のちがいについての問題です。基本的知識を問う問題です。

(1)
自然界において、草食動物の数は、肉食動物の数に比べて、圧倒的に多くなっています。

(2)
グラフの縦軸の目盛りに着目します。目盛りの数値の小さい左の縦軸(破線)が肉食のダニ、目盛りの数値の大きい右の縦軸(実線)が草食のダニの数を表します。

(3)
オレンジを草食のダニが食べ、草食のダニを肉食のダニが食べます。このような関係を、食物連鎖といいます。

(4)
0日目から、肉食のダニは、草食のダニを食べます。図1のグラフで、0日目から3日にかけて、肉食のダニも、草食のダニも増えていますが、これは、産卵・孵化によるものです。

(5)
箱の中の肉食のダニは、草食のダニを食べ続け、24日目には草食のダニは絶滅します。このあと、肉食のダニはえさがなくなり、27日目に絶滅します。
実験では、ダニはすべてオレンジの上にいたので、草食のダニは食べつくされてしまいましたが、自然界では逃げたりかくれたりできます。また、肉食のダニは、草食のダニ以外の動物を食べることもできます。
記述で2つのことがらをあげて書くことに負担があるかも知れませんが、ここでは、「肉食のダニは…」「草食のダニは…」と主語をわけて考えると回答しやすかったのではないでしょうか。

(6)
正しいものは複数ありますので、順に見ていきます。
ア:右の縦軸の目盛りは、左の目盛りの50倍の値です。草食のダニが絶滅するまえの最少のとき(24日目)であっても、肉食のダニより多くなっています。
イ:草食のダニは、肉食のダニよりも、常に数が多くなっています。
ウ:草食のダニ(実線)の数は、1つ目のピークより2つ目のピークの方が多くなっていますが、3つ目のピークではまた減少しています。だんだん増えていったとはいえません。
エ:数のピークを、草食のダニは、肉食のダニの前にむかえています。つまり、草食のダニが減り始めると、肉食のダニが減り始めることになります。
オ:図1では、草食のダニのピークは約40000、肉食のダニのピークは約58です。どちらも、図2のピークを上回っています。
カ:ダニの一生は短く、例えばイエダニの場合、産卵→孵化に1~2日、孵化→成虫に11~60日、成虫→産卵に1~2日かかります。20日目に生存していたダニが産卵して、その卵がかえるまでにかかる日にちは、多くても60+2+2=64(日)となり、112日後のダニは、20日後のダニとはいえません。

(7)
イチゴ農家では、イチゴを食べる害虫を駆除したいのですから、草食のダニを食べる肉食のダニを使います。

(化学)ろうそくの燃焼と物質の分類に関する問題。
1・2は実験に基づき、考察します。考えを進めるにあたって、基本的知識も必要とされます。
3は、物質の分類の問題です。確かな知識が必要ですが、基本的なものがばかりです。

(1)
ア:AとBを比べたとき、燃焼後の酸素の割合は同じではありません。
イ:燃焼には、酸素が必要です。酸素が減少していないのであれば、燃焼しなかったことになります。Cでは、酸素の割合が変化していませんので、ろうそくはすぐに消えたと考えます。
ウ:アと同様、AとBをくらべると、燃焼前の酸素の割合はどちらも20%でしたが、燃焼後の二酸化炭素は、Aで4%、Bで2%の増加になっています。
エ:Aの窒素の割合は、燃焼前80%、燃焼後80%(100-16-4)で同じです。また、Bの窒素の割合は、燃焼前75%、燃焼後75%(100-18-7)で同じです。

(2)
気体検知管を使用するとき、集気びんの中の空気の一部を吸い取ります。このことが、次の測定結果に影響すると考えられます。合否を分けた一題で取り上げます。

(1)
問題の図を見ればわかるように、栓を下げすぎると、ろうそくの炎に触れてしまいます。

(2)
①栓の高さが10~40㎝のとき、栓の高さとろうそくが消えるまでの時間の関係のグラフは直線ですが、比例関係ではありません。
②栓の高さが60㎝の方が、50㎝より、はじめの酸素の量は多いはずです。しかし、ろうそくが消えるまでの時間は同じですから、60㎝の筒の中には、酸素が多く残されていると考えられます。

(3)
長い筒であっても、空気の出入りする道をつくることで、ろうそくを燃やし続けることができます。

(1)
チョークやデンプンは、水にほとんど溶けません。
また、食塩の溶解度は、水100gに対して、35.65~38.95gです。

(2)
①~⑤に対して、選択肢は7つですから、逆引きで考えた方が回答しやすいようです。
ア:100℃のとき液体であるものをさがすと、④の「ろう・サラダ油・バター」があてはまります。下の「さとう・食塩・空気」は液体ではありませんから、当てはまることがわかります。
イ:0℃のとき液体であるものをさかします。該当するものはありません。
ウ:水に入れたときに浮くものをさがします。①の「コルク栓・発ぽうポリスチレン・氷」があてはまります。
エ:⑤の5円玉は銅と亜鉛の合金でできています。塩酸は塩化水素を水にとかしたもの、空気は、窒素・酸素・二酸化炭素・アルゴンなどの混合気体です。
オ:うすい塩酸を加えたとき、水にとける気体(二酸化炭素)が発生するのは、③の「チョーク・石灰石・貝殻」です。
カ:うすい塩酸を加えたとき、水に溶けない気体(水素)が発生するのは、②の「アルミニウム・鉄くぎ・スチールウール」です。
キ:該当するものはありません。

(3)
①セッケン水・アンモニア水・炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液とも、アルカリ性を示しますがミョウバン水は弱酸性、炭酸水(二酸化炭素の水溶液)は酸性、食塩水は中性を示します。
②鉄・銅は金属ですから電気を通します。えんぴつの芯には黒鉛が含まれていて、金属ではありませんが、電気を通します。

(物理)電熱線の回路と発熱に関する問題。
電熱線の回路と発熱について、とてもシンプルで考えやすい問題となっています。エネルギーの変換について、基本的な知識も問われています。

表1の電熱線アについて見てみます。電圧を1.5Vから3.0Vにと2倍にすると、流れる電流の強さは、0.6Aから1.2Aにと2倍になっています。電熱線イ、ウについても同様です。

表1の1.5Vの欄の電熱線アとイを比較します。電熱線の長さが2.5㎝から5.0㎝にと2倍になったとき、電流の強さは0.6Aから0.3Aと、1/2倍になっています。

表2の電熱線アとイを比較します。長さが2.5㎝から5.0㎝にと2倍になったとき、上昇した水の温度は、6℃から3℃と、1/2倍になっています。

表3の電圧1.5Vと3.0Vを比較します。電圧が2倍になったとき、上昇した水の温度は、0.5℃から2.0℃と、4倍になっています。

表2・3から、次のように整理します。

電圧 1.5V 3V 4.5V 6V
上昇した水の温度 ア(2.5㎝) 6℃
イ(5㎝) 3℃
ウ(7.5㎝) 0.5℃ 2℃ 4.5℃
長さ10㎝ ③’

①電圧が3Vのとき、ウ→イで上昇温度2℃→3℃(3/2倍)の変化であることがわかります。同様に、電圧が1.5Vのときも、ウ→イでも上昇温度は3/2倍になると考えられるので、0.5×3/2=0.75(℃)
②電圧が3Vのとき、ウ→アで上昇温度2℃→6℃(3倍)の変化であることがわかります。同様に、電圧が4.5Vのときも、ウ→アでも上昇温度は3倍になると考えられるので、4.5×3=13.5(℃)
③電圧が3Vのとき、イ→長さ10㎝で電熱線の長さが2倍になっています。表の③’の上昇温度には、1/2倍の3×1/2=1.5℃があてはまります。さらに、表の③では、電圧が③’の2倍なので、上昇温度は4倍の1.5×4=6(℃)

(1)
基礎的な知識問題です。マイクは音の信号をひろって、電気の信号に変換し、ケーブルを通してスピーカーや録音機器などに送ります。

(2)
①電気のちからでモーターを動かし、洗濯槽の水を攪拌します。
②手による運動エネルギーを、電気に変えています。
③乾電池の電気を取り出して、電球を点灯させます。
④コンデンサーに蓄えた電気を、取り出して利用することができます。
⑤受信したラジオの音声を、電気の力で大きくして聞くことができます。

合否を分けた一題

問題を解くにあたって、まず、問題の意図するところを読みとります。これが、片方の車輪です。

気体検知管を使用→集気びんの中の空気が減る→集気びんの外からまわりの空気が入ってくる
→空気が入ることがで、集気びんの中の気体の割合が変化する

次に、基本知識としての、「空気に含まれる気体の割合」を知識として活用します。これが、もう片輪となります。
この両輪をうまく活用できたかどうかが、合否を分けたのではないでしょうか。

(2)
ろうそくを燃やした後の集気びん内の気体の割合を、気体検知管で調べるときの順序によって、結果がどう変わるかを考えます。
気体検知管は、集気びんの中の気体をすいます。すってなくなったところに、まわりの空気が入ります。空気にふくまれる気体の割合は、酸素が約21%、二酸化炭素が約0.04%です。

Aの場合、先に酸素を調べると、酸素は正確に「16%」と測ることができますが、入り込んだ空気には、二酸化炭素が0.04%しか含まれていないので、次に調べた二酸化炭素の割合は、実際の4%より少なくなります。

もしこれを、二酸化炭素を先にすると、二酸化炭素の割合は正確に「4%」と測ることができますが、入り込んだ空気には、酸素が21%も含まれているので、次に調べた酸素の割合は、実際より多くなります。

つまり、酸素も、二酸化炭素も、測定結果が増加することになります。
これは、Bも同様です。

Cも、酸素については同様ですが、二酸化炭素については、測定の順序を変えても、検出できないので、どちらともいえません。

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