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理科の合否を分けた一題

女子学院中入試対策・理科の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

1(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  2(1) A  (2) A
1 A  2(1) A  (2) A  3 (1) A  (2) A  (3) A  (4) A  
4 B  5 B  6 C  7 A 
1(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) A  
2(1) C  (2) A  (3) A
1(1) B  (2) A  (3) A  (4) A  
2(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  3 A

A…女子学院合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2018年度の女子学院は、例年通り、思考力を試す問題が中心です。本年はさらに、通常の知識を越えた高校レベルの問題が散見され、さらにきびしい勝負となったのではないでしょうか。根本理解と基本の知識、そして思考力で解き進めるのはあたりまえで、そこからさらに一歩抜きんでるのは至難の業です。難易度は全体に上がっていて、条件が把握できず手探りの状態で、解答しづらいと感じる問題もありますが、設問の意図に寄り添って考えることを忘れないようにしましょう。
問題数が多く、時間の制限が厳しい中、どう考えたらよいのかを咄嗟に見通せない問題に当たったときは、立ち止まらずに強い気持ちで突き進みましょう。解きにくい問題ばかりが並ぶことはありません。自信がなくてもいいのです。

地学分野の問題は、「示相化石」「不定時法」についての問題。
生物分野の問題は、蒸散と光合成に関する問題。
化学分野の問題は、重そうとクエン酸の反応についての問題。
物理分野の問題は、豆電球と乾電池の回路についての問題。

問題構成は、4分野から大問4題、小問63問。
解答形式は、言語が10問、記号選択が41問、作図が2問、グラフが1問、記述が6問、数字が3問。
昨年1問だった作図が2問出され、1つは高度な知識と工夫を要するものでした。
記述は、昨年より増えただけでなく、典型的なものは鳴りを潜め、知識をもとにしっかり考える力とまとめて書く力が求められています。
計算は、文意さえ読み取れれば、難なく解答できるでしょう。
記号選択のボリュームは相変わらずで、確かな知識力とすばやい判断が不可欠です。

問題別寸評

(地学)「示相化石」「不定時法」についての問題です。
前半は示相化石について、例をあげて考えていきます。生物の知識も必要です。
後半は江戸時代に使われていた不定時法を、現在使ったらどのようになるかを考えます。

1(1)

地層は、水のはたらきによって運ばれた土砂が、海や湖に堆積してできます。基本の知識です。

1(2)

イチョウ・シーラカンスともに、現在も存在する生物ですが、化石に残る姿と変わらないという点が、「生きている化石」と呼ばれる所以です。

1(3)

「生きている化石」の姿が変わらないということは、生きている環境も変わらないということです。

1(4)

空飛ぶほ乳類はコウモリ類です。
昆虫類の多くははねをもち、飛ぶことができます。

2(1)

「不定時法」は、昼・夜をその長さに関わらず、それぞれ6等分した時間を基準とします。
つまり、昼の1刻と夜の1刻は、春分・秋分の日以外は、長さが違うことになります。
季節による太陽の動きが理解できていれば解答できる問題です。

2(2)

おやつの時間は、日の出から4刻たったとき、つまり、昼の長さの4/6が過ぎた時刻です。
ア:日の出が5時00分なので、昼の長さは(12-5)×2=14(時間)。おやつの時間は、5+14×4/6=14時20分
イ:日の出が7時00分なので、昼の長さは(12-7)×2=10(時間)。おやつの時間は、7+10×4/6=13時40分
イの方が40分(14時20分―13時40分)早くなります。

(生物)蒸散と光合成に関する問題です。
高校生物であつかわれる、CAM植物についての問題です。
CAM植物は、砂漠に育つサボテンなど、非常に乾燥し、昼間の気温が高い環境に育つ植物で、昼は気孔を閉じて水分の蒸発を最小限に抑え、夜に気孔を開けて、二酸化炭素を取り込みます。
知識がある生徒は、ピンときたかもしれません。が、根本原理まで理解できていなければ、やはり、解答に迷う問題となっています。

光合成・蒸散についての基本の知識を確認する問題です。
取り違いのないよう、しっかり解答しましょう。

2(1)

蒸散のはたらきを確認する方法は1つではありませんが、解答欄にあらかじめ描かれている植物の図に書き加えるのであれば、地上部分をすっぽりおおうようにビニール袋をかぶせるとよいでしょう。
「何を使って、どのように」したのかを、文字で書き加えます。

2(2)

(1)でかいた実験の結果を書きます。気孔から排出された水蒸気が水滴となり、ビニール袋の内側がくもります。

葉の重さは、明所で30%(100―70)、暗所で23%(100-77)だけ減少しています。
明所で行われる光合成は、できたでんぷんだけ重さが増加するはずですし、呼吸は、明所・暗所ともほぼ同じと考えると、減少した一番の理由は、蒸散です。
暗所の方が減少する割合が小さいことから、蒸散が暗所より明所でさかんに行われたことがわかります。植物は、蒸散量を気孔の開閉でコントロールしていることもおさえておきましょう。

4・5

→合否を分けた一題参照。

4・5を受けて、植物Bとはどのような植物であるかを考えます。実験では、一般的な結果を示した植物Aは、ふだん私たちのまわりに自生している植物のなかまと考えられますが、植物Bは、まったく違う環境にあるはずです。
ここで、文頭3行目の「植物は環境に合わせて蒸散量を調節できる。しかし、それは同時に二酸化炭素を取り入れる量に影響を与えることとなる。」という部分に注目します。
昼に気孔を開かないのは、開くと体内の水分を大量に失ってしまうという不利益があるからです。
昼に高温で乾燥の厳しい場所を選びます。

ここは、降水と蒸散を関連付けて考えなければなりません。
植物は雨水を地中に保ち、気孔から水蒸気として排出します。降雨は、空気中の水蒸気がもととなります。もし植物がなければ、雨水はそのまま川に入り、その土地に雨を降らせることなく海へ流れ込みます。

(化学)重そうとクエン酸の反応についての問題。
重そうとクエン酸が反応すると、クエン酸三ナトリウム・水・二酸化炭素が発生します。
クエン酸三ナトリウムは水にとけますが、気体の二酸化炭素は泡となって空気中に逃げていきます。
1はグラフと表のデータを処理する問題、2はややつっこんだ知識の問題です。

1(1)

二酸化炭素の性質は基本の知識です。確実に得点しておきたい問題です。

1(2)

グラフ1の横軸はクエン酸の重さ、縦軸は逃げた気体の重さです。
クエン酸の重さが0~1.5(g)の区間は、逃げた気体の重さはクエン酸の重さに比例しています。
クエン酸の重さが1.5(g)以上では、逃げた気体の重さは約1.17gで一定です。

1(3)

グラフ2で、クエン酸の重さが0gのときでも、約0.8℃下がっていることから、水40gに重そう2g溶かすと、温度が約0.8℃下がることがわかります。
また、グラフ1から、重そう2gと過不足なく反応するクエン酸の重さが1.5gとわかります。しかし、グラフ2では、クエン酸の重さが1.5gより多く余っている場合でも、温度が下がり続けていることから、クエン酸が水に溶けるときも、温度が下がることがわかります。

1(4)

(3)をふまえて考えます。
① 表から、水40gに重そう2g溶かしたとき、温度が0.8℃下がります。水40gに重そう1gを溶かすと、0.4℃(0.8×1/2)下がると考えられます。
② 表から、水40gに溶かすクエン酸の重さを1.5g(3.0-1.5)増やすと、温度が0.8℃(5.0-4.2)下がります。水40gにクエン酸2gを溶かすと、0.8×2/1.5≒1.1より、約1.1℃下がります。

1(5)

① 重そう1gと過不足なく反応するクエン酸の量は、0.75g(1.5×1/2)です。このときに逃げた気体の重さは0.585g(1.17×1/2)で、クエン酸を増やしても一定です。
② 重そう1gを水20gに溶かしたときに下がった温度は、重そう2gを水40gに溶かしたときと同じです。これにクエン酸0.75gを加えると過不足反応し、4.2℃下がります。さらにクエン酸を加えると、クエン酸1.5gあたり1.6℃(0.8×2)下がります。

2(1)

紫キャベツの色の変化は少し細かいのですが、しっかりおぼえておきましょう。
赤(強酸)―ピンク(弱酸)―紫(中性)―緑(弱アルカリ)―黄(強アルカリ)
重そうと同じ弱アルカリ性の水溶液としてアンモニア水、クエン酸と同じ強酸性の水溶液として塩酸を選びます。液性の強弱は、かなり深い知識です。

2(2)

基本の知識です。金属をとかす水溶液は、酸性の水溶液のうちの一部です。

2(3)

ア:砂糖の一部が、熱によって炭素に変化しています。
エ:石灰水と二酸化炭素の中和反応によってできた、水に溶けない炭酸カルシウムによって、にごって見えます。
オ:水性ペンの紫色は、ピンク色と青色が混ざったものであることがわかります。

(物理)豆電球と乾電池の回路についての問題。
回路自体はそれほど複雑ではありません。原理原則に基づいて、確実に処理することが大切です。

1(1)

検流計の回路図記号は、2018_gouhi_rika_1です。まずは、これを知らなかった生徒が多かったと思います。
それほど難しい回路ではありませんが、「点線をなぞってかく」というしばりに従うには、工夫が必要です。回路が枝分かれしている箇所に着目して、回路図に反映します。

1(2)

乾電池のうち、上二つが並列つなぎで、これに一番下の乾電池が直列につながっています。

1(3)

電流が流れる道すじに豆電球がない回路(ショート回路)では、流れる電流が多くなりすぎて高温になり危険です。
②:乾電池2つがショートしています。
⑤:乾電池3つがショートしています。

1(4)

A~Cの明るさを基準とすると、アはAより明るく、ウ・エはB・Cと同じ明るさ、オ・カはAと同じ明るさでつきます。

2(1)

乾電池は直列つなぎ、豆電球は並列つなぎになるようにつなぎます。

2(2)

検流計の右側の端子が、乾電池の+極につながります。

2(3)

乾電池は並列つなぎ、豆電球は直列つなぎになるようにつなぎます。

2(4)

検流計の右側の端子が、乾電池のー極につながります。

それぞれの回路について、ON・OFFを確認します。1階のスイッチ・2回のスイッチそれぞれに、3本の線がつながっていることから、三路スイッチとよばれるしくみです。

合否を分けた一題

1~3の流れは、植物のはたらきについての基本の知識と、実験の結果の分析で順当に解き進めることができたと思います。ところが、植物Bの実験の結果の表を見て、キツネにつままれた気分になった生徒が多かったのではないでしょうか。
植物Aの蒸散量は、明所の方が多かったのに、植物Bでは、夜の方が多くなっています。さらに二酸化炭素の吸収量を見ると、光合成を行い吸収量が多くなるはずの昼に、植物Bは「0」となっています。いったい、何が起きているんだろう? と、ふつうなら考え込んでしまいます。が、女子学院の試験時間には、そのような余裕はありません。慌てず騒がず、とにかく問題に向き合いましょう。

4・5

植物Bの気孔が、昼と夜でどのようになっているか、考える問題です。
蒸散量は、量はちがうものの昼夜ともあるので、どちらも気孔が開いていたと考えたいところですが、二酸化炭素の吸収量が昼に「0」であることに着目して、昼は閉じていたと考えます。
昼の蒸散は、気孔以外の部分で行われていたことになります。
つまり、蒸散量のうち、1.33gは気孔以外から、2.14g(3.47-1.33)は気孔からと考えます。

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