1 | (1) B (2) A |
---|---|
2 | (1) A (2) A (3)A (4)A (5) A |
3 | (1) B (2) A (3)B (4)C (5) A (6) A(7) A |
4 | (1) B (2) A (3)A |
5 | (1) B (2) C (3)B (4)B (5)B |
A…慶應中等部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の慶應中等部の入試は、知識中心の問題構成となっており、計算が必要な問題はありませんでした。
動物・植物に関しては、頭の骨から動物を見分けさせる、葉の形や木の形を考えさせるなど、慶應らしさ満載の出題でした。それぞれ狭義の受験理科の範疇外といえる図鑑レベルの知識問題です。
図鑑は受験対策本ではありません。興味をもってワクワクしながら自分の世界を広げていくために読むものです。理科をこう学んでほしいという強いメッセージと受け取ることができます。
2021年 慶應中等部 理科 出題構成
生物の知識問題は、知らないとお手上げという問題もありました。その一方で冷静に手掛かりを探すことで答えを決めていける問題もありました。
一見してできないと感じても、あきらめずにその場でできることを考えてベストを尽くす姿勢を持ちましょう。
(地学)月に関する問題です。
→「合否を分けた一題」で後述します。
選択肢はどれも正しいです。「このことにより」という言葉があるので、それを根拠にして答えを決めます。
(化学)食塩、砂糖、ベーキングパウダー、鉄粉を加熱したときの質量の変化を考える問題です。
答えにくい問題は見当たりません。
一般に温度変化によって体積は変化しますが質量は変化しません。
実験①の表を見ると重い順にD→B→A→Cとなっていることが分かります。
一瞬迷いますが、(4)がヒントになります。
一方の皿が濡れた理由を答えます。
こう聞かれて温度計が浮かばないということはないでしょう。
(生物)ほ乳類に関する知識を問う問題です。
動物そのものの姿ではなく、頭骨をみてどの動物かを考えます。
図1がカバと分かってしまえば終了ですが、分からないときは、観察していきます。二つの目が中央に寄っていて、しかも一番高いところにあり、鼻の骨も一番高いところにあります。水中にいるカバの姿が浮かんできますね。あとはあごの形と歯が決め手になるでしょう。
2つの角がそのままあります。骨格からキリンであることを見抜けば終わりです。キリンと分からなくても2つの目が離れたところについていることから草食までは到達できるでしょう。
骨格図におけるひじ、ひざ、かかとの位置は比較的多くの学校で出題されるので、対策できていた受験生も多くいたと思われます。
蹄(ひづめ)を持つほ乳類は、奇蹄類と偶蹄類に分けられます。選択肢のうち、奇蹄類はサイのみです。
知識なしでは歯が立ちません。差はつかないと思われます。
消化に関する基本的な知識問題。差はつかないでしょう。
(化学)水溶液の性質に関する問題です。
実験の結果から、加えた物質が何であるかを特定していきます。
実験1では、緑→黄→青
実験2では、黄→緑→青
とあります。ムラサキキャベツになじみが薄い場合、実験1の緑の段階で緑=中性と早合点してしまう可能性がありますが、中等部受験者は対策できているはずなので、実験1の④が中性を表していることから実験1の③の青色になった液体が同じく中性であることを突き止めることは、さほど難しくはないでしょう。
本問ではムラサキキャベツは中性で青色を呈すると書かれています。受験生の皆さんは例外なく中性→ムラサキと習っているはずですから、ここは慎重に読むことが必要でした。
実験の結果を踏まえると、
・Aは弱アルカリの水溶液→1か6
・Dは酸性の水溶液→2か5
となります。(1)ができていれば問題なくできるでしょう。
(2)と同様に実験の結果を踏まえると、
・Bは(水に溶けると)アルカリ性の固体→6
・Cは酸性の液体→3
・Eはアルカリ性の液体→7
・Fは(水に溶けると)アルカリ性の固体→6。
「違う記号でも異なる物質とは限りません」とあることに注意。
(生物)植物に関する知識問題です。
カシワ、スギ、トチ、フジ、マツを扱います。樹木に関する細かい知識が求められます。
会話文を読んで、カシワ、スギ、トチ、フジ、マツがどの人を表すかを決めていく問題です。
特定しやすいと思われる順に並べると、
・花粉症→スギ
・葉で包んだお持ちをこどもの日に食べる→カシワ
・冬でも葉が青々としている→マツ
・花を見に来る人がいるくらいきれいで目立つ・他のものに頼って高いところまで上がる→フジ
・クリによく似た種が入っていて食用にすることもある→トチ
カシワ、スギ、トチ、フジ、マツの葉のイラストを選びます。マツ、スギ、までは即決しますが、その後はどうでしょうか。柏餅からカシワの葉の形が連想できるか、藤棚のイメージからフジの葉が連想できるか。差がつきそうです。トチは単独では難しいですが、残りの4つが決まれば正解することができます。
イラストのような樹形になるものを選びます。すべてが分からなくとも、何となくスギのイメージは持っているのではないでしょうか。
5つのうち落葉樹の数を答えます。マツ、スギのみが落葉しないことはわかると思います。
本文中の栗やドングリという言葉に気づけば、トチとカシワが落葉樹だと決められます。
フジは知らないと判断は難しいでしょう。
大豆や落花生の仲間とあるので、「マメ科」を選びます。マメ科と分かれば、(2)の葉の形も容易に選べますね。
合否を分けた1題
(地学)月の動きを模様を含めて考えさせます。正確な理解が前提にないとミスにつながるため、差のつく1問であったと言えるでしょう。
南中時の右半分の模様は、南東に見えている月の右半分ではなく、右上1/2の部分であることを理解する必要があります。
満月の1週間前の夕方6時に見えた月を選ぶ問題です。
まず、1から4のどの選択肢も光っている部分とそうでない部分の境界線が地面に対して垂直になっています。
満月の1週間前とあるので、上限の月(1か3)に絞るまでは全く問題ないでしょう。
問題はその次です。光っている半円部分の模様を考えます。選択肢1と3では、半円の中に月の模様の異なる部分が描かれています。最初の図の「右半分」と同じ模様である1は、正しくありません。なぜでしょうか。
南中時の月の中心ラインは、午後9時の満月の位置(南東)では、まだ斜めになっているわけです。つまり、午後9時に南東に見えている満月の「右上1/2」の模様が、南中時の「右半分」の模様と一致するということなのです。