1 | 問1(ア)A(イ)A(ウ)A問2 B 問3 A 問4 B 問5(1)A(2)B(3)A(4)A 問6(1)(2)A 問7A |
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2 | 問1(ア)B(イ)B(ウ)A(エ)A(オ)B 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A |
3 | 問1 A 問2 B 問3 B |
4 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 B 問8 B問9A 問10(1)B(2)A 問11A |
5 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 B |
A…慶應中等部中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の慶應中等部中は、例年通り、基本知識を問う問題が中心です。
大問1では、「お金」をテーマに新紙幣や硬貨に関する問題が出題されていました。
日常生活で、毎日のように目にしているお金ですが、改めて問われると思わず迷ってしまう問題でもありました。時事の知識に加えて、日常生活の中で興味・関心を持って過ごす心構えが必要といえるでしょう。
また、今年は地図の読み取りが出題されており、中等部の傾向に沿って対策ができたかどうかによって差がついたといえます。
近年、定番化している記述問題は今年も出題され、25字以内と50字以内の記述でした。難易度は高くありませんでしたが、試験時間が限られているため、時間を割くことができたかどうかで大きく差がつくといえます。
歴史分野では、定番問題である福沢諭吉に関連する問題が出題されていました。慶應中等部受験生は福沢諭吉に関する知識は必須といえます。
また、解答のために年号の知識を必要とする問題が多く見られています。例年、年号を必要とする問題の出題がみられるため、今後も対策は必須といえます。
問題構成は、3分野から大問5題、小問42問。
解答形式は、語句補充形式が6問、記号選択が34問、記述が2問です。
(歴史分野/公民分野)新硬貨についての問題です。
今回は「お金」をテーマに、紙幣や貨幣のデザインやそれに関連した問題が出題されていました。
キャッシュレス社会で、紙幣や硬貨を使う頻度が減ってきている中で、知識としてデザインなどについておさえることができたかどうかが分かれ目となりました。
過去に日本で用いられてきたお金に関する問題です。
ア・イ:683年とあることから、富本銭です。和同開珎と混同しやすいですが、708年から鋳造されたという部分をおさえることができていたかどうかが得点を左右しました。
ウ:江戸時代に鋳造された硬貨は寛永通宝です。
江戸時代中期の出来事を選ぶ問題です。
5代将軍綱吉が将軍となって政治を行っていたのは、1680年からです。
1の選択肢の年号がわからない場合でも消去法を用いて正解を導くことができます。
2の日光東照宮を改装し完成させたのは、3代将軍徳川家光です。
3大塩平八郎の乱は天保の改革が起こるきっかけとなった出来事で、1837年です。
4目安箱の設置は8代将軍徳川吉宗の享保の改革の一環で、1721年の出来事です。
紙幣と貨幣のデザインに関する問題。
5円玉の表に書かれているデザインが意味するものを考えます。
設問中に、「日本の原動力となる産業を表しています」「『水』は水産業を表します」という部分を手掛かりに、稲穂と歯車について考えます。稲穂は、農業を表し、歯車は工業を表しています。
新紙幣の肖像画に関する問題です。
千円札は北里柴三郎、五千円札は津田梅子、一万円札は渋沢栄一です。
(歴史)福沢諭吉に関する問題です。
慶應中等部では、例年、福沢諭吉に関する出題がされています。出題の形式に差異はありますが、福沢諭吉の半生をテーマとした問題が多く見られます。
慶應中等部志望者であれば、この大問は確実に正解を目指したいところです。多くの慶應受験生が福沢諭吉についての知識を定着させた状態で試験に臨むため、失点は大きな差つくといえます。
早い時期から慶應義塾の創始者である福沢諭吉についての知識はしっかりと定着させておきましょう。
福沢諭吉に関する歴史の問題です。
(ア)(イ)福沢諭吉は中津藩の下級武士の子として大阪で生まれました。
(ウ)~(オ)オランダ語や英語の習得について書かれているため、鎖国中の窓口や開国後に栄えた港の知識を活用します。
(ウ)1854年とあることから、当時のオランダとの窓口となっていた長崎があてはまります。
(エ)直後の「築地」という部分から、江戸があてはまります。
(オ)1859年という部分から、横浜があてはまります。
江戸時代の学問に関する問題。
福沢諭吉が学んだのは、緒方洪庵が開いた適塾です。
福沢諭吉が残した書物に関する問題。
慶應義塾の建学精神である「独立自尊」に関する問題です。知識として押さえておくことが望ましいですが、今回は設問中の「1901年(明治34年)元旦」とあることから、この部分を手掛かりに、20世紀を迎えたことに即して書かれたことだと類推できます。
(地理)地図の読み取り問題。
この大問では、3年ぶりとなる地図の読み取りが出題されていました。小問ごとの難易度は高くありませんが、解くために時間がかかる問題となるため、最終問題に記述を解くことを考慮して、解答の順序を工夫して進めることができたかどうかが合否の分かれ目といえます。
等高線の読み取りに関する断面図の問題です。
等高線をみると、XとYの間は谷になっていることから、2の断面図があてはまります。
地図の読み取り問題です。
明智平駅からロープウェイで結ばれているのは、展望台駅です。湖畔までロープウェイは延びていないため、1は誤りです。
地図の読み取り問題です。
「湯滝」と「竜頭滝」周辺の等高線の間隔を読み取ることで流れが分かります。
「湯滝」の付近は等高線の間隔が非常に狭いため、急な斜面であることが分かります。
「竜頭滝」の付近は、等高線の間隔が湯滝に比べて広いため、緩やかな斜面だと分かります。
(歴史)感染症をテーマとした歴史の総合問題です。
この大問は、時事に関する問題以外の問題が比較的易しい問題が大問の中心であったため、時間をかけず、素早く解答できたかどうかがポイントでした。
中等部の歴史では、過去にも解答に年号の定着を要するものもあるため、今後の中等部受験者は、確実に年号を定着させて入試に挑むようにしましょう。
オリンピックに関する問題です。
2020年東京オリンピックが中止となりましたが、開かれていた場合、二度目の夏季オリンピック開催となっていました。これに関連して、過去の開催都市を問う問題でしたが、知識量によって差がつく問題と言えるでしょう。東京以外で過去に2回以上の夏季オリンピックを開催した都市は、アテネ、パリ、ロンドン、ロサンゼルスの4都市です。
江戸時代の出来事に関する問題です。
1858年よりも前の出来事は1です。その他、2の桜田門外の変は1860年の出来事、3の横浜での貿易は、日米修好通商条約の締結後、4の生麦事件は1862年の出来事です。
日本の近代工業化に関する問題です。
この問題は、知識量によって差がつくといえます。
農家の長男は一家の跡取りとなるため、工場労働者として一家を支えるというのは誤りです。
(公民・現代社会)地震をテーマとした時事・公民の総合問題です。
この大問では、記述が2問出題されていました。大問1から順に解いてくると、時間的にはかなり余裕のない状況になってしまうことが推測されます。大問ごと、小問ごとの取捨選択をきちんと行い、記述に時間を割くことができる状態を目指しましょう。
地震をテーマとした問題でしたが、難易度は高くなく、略称や災害への対策といった問題の出題でした。
関東大震災に関する問題です。
関東大震災では、昼食時に地震が起きたことから、火災による被害が多くなりました。
略称に関する問題です。
「非営利活動」とあることから、非営利組織を表すNPOがあてはまります。
略称の問題は、苦手とする受験生が多いですが、基本的な略称についてはしっかりと
合否を分けた一題で取り上げます。
近年、慶應中等部の記述問題は50字・60字程度の記述問題が定番化しています。
学校生活や環境問題・食品ロスといった身近な事柄に関するテーマが多く取り上げられます。過去には資料や写真を参考にして読み解く問題も出題されています。
問題数に対しての解答時間は余裕がないため、大問ごとの時間配分や取捨選択により、この記述問題に以下に時間を割くことができるかどうかによって大きく差がつくといえます。
また、記述問題への日頃の練習も必要になってくるため、資料や図を読み取り記述する問題への練習を欠かさず行うようにしましょう。
都内の私立学校が、地震の際に他の私立学校の生徒を受け入れる約束を結んだ理由
解くための手掛かりとなる設問中のキーワードに注目します。
今回は「都内の私立学校」がキーワードとなります。
私立学校には、電車などで周辺の県から通学している生徒が多いです。したがって、登下校時などに災害が起きた場合、安全に登下校することが難しくなることが考えられます。
そこで、他の私立学校の生徒を受け入れることにより、生徒の安全確保につながると考えられます。
【解答例】
東京都以外の県から通学している生徒も多いため、災害が起こると安全に帰宅することが困難になるから。