1 | (1)A (2)A (3)A (4)B |
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2 | (1)A (2)A (3)A (4)A |
3 | (1)A (2)A (3)A (4)B |
4 | (1)A (2)A |
5 | (1)A (2)C |
6 | (1)B (2)C |
7 | (1)A (2)C |
A…慶應義塾中等部を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、とばしても構わない問題
1
計算問題ですが、部分分数分解に気付いたかどうかで所要時間・正答率は大きく変わります。
普段の計算練習から常に計算の工夫をしようという意識が大切です。
逆算。数値・手順とも平易なので、確実に正解したいです。
日暦算。2016年は閏年であることに注意しましょう。また、問題で与えられている1月1日は「金」曜日、問われているのは「水」曜日であることも見落としてはいけません。
時計算。一日のうち、長針と短針が「重なる」回数を問われている問題であれば一度は解いたことがあるはずですが、午前・午後11時台には重ならないことは知識としてあったでしょうか。今回は「直角になる」回数です。午前・午後2時・8時台は1回ずつ、その他の時刻では2回ずつであることに気付くことができたかどうかがポイントでした。
また、直角になってから次に直角になるまでの時間を利用することもできますが、計算が多少煩雑になります。
2
倍数に関する問題。各々の不足部分が共通していることには気付けるはずです。6と5と7の最小公倍数である210の倍数よりも4少ない数です。
比が変化する問題(倍数変化算)。お金・もののやりとりでは和が一定であることに注目しましょう。
割合に関する問題(還元算)。読んだものの「残り」がもとになる場合は、線分図またはフローチャートに見やすく整理してみましょう。
速さのつるかめ算。各々の数の単位、5分の修理時間、そして求めるものが何であるかには十分注意してください。
3
角度に関する問題。「正三角形」または「正方形」など同じ長さに関する条件が与えられたときには、必ず問題の図には同じ長さの印を入れておきましょう。角度の問題で非常によく見る図形であり、簡単な問題でした。
直角三角形の底辺と高さを変える問題。隣辺比の3:4:5を使ってもよいでしょう。
面積と比に関する問題。条件を図に整理していけば、区切り面積・相似形が見つかります。
回転体の表面積。過去にも同様の出題があったので、この程度の立体図形であればミスなく表面積を計算できるようになっておきたいです。立式・計算が各々完了した時点で見直しをする習慣をつけておきましょう。
4
速さのダイヤグラム。(1)はグラフの読み方がわかれば解けます。
ダイヤグラムの相似形の利用する基本問題です。(1)・(2)とも非常に平易なので、どちらも確実に得点しておきたい問題です。
5
速さの中でも点の移動に関する問題。(1)は問題条件を正確に把握すれば、池の周囲の出会いと同じです。
1つ目の時間は太郎くんがB地点、花子さんがA地点にいるときであり、こちらは求めやすかったはずです。2つ目の時間は2人の位置の見当がつかなければ、一度とばしておくのも良いでしょう。BD間とED間の距離の比が2:1、太郎くんと花子さんの速さの比も2:1であることから加比の理の利用を考えることができます。また、求める時間を①秒後として代数的に処理することもできます。
6
場合の数。数字の書いてあるカードを並べて整数を作るというよく見かける問題ですが、6のカードは「6」としても「9」としても利用できます。具体的な導出過程は後述いたしますが、こういった特殊な条件が含まれた場合の数の問題では、場合分けが必要になることが多いです。特に(1)はかけ算の式1本で適当に答えてしまうのは非常にもったいない問題です。
一の位に条件がつくことにより、(1)より多くの場合分けを考える必要があります。一方で対称性を利用することで導出過程を少しでも簡略化する工夫も大切です。
7
操作Aを1回行うことで4つのマスの数字が1つずつ増えるので、9このマスの数字の合計は4増えます。また、操作Aを行う際には必ず真ん中のマスが含まれるので、真ん中のマスの数がそのまま操作Aの回数になります。また、4隅は重複していないので、4隅の和が操作Aの回数になります。
[図1]より、操作Aだけを行った場合、各行について左右の列の数の和が中央の列の数になっています。また、操作Bを行っても各行の数の差は変わらないので、[図2]の各行の数に同じ数を加えていくことで、操作Aだけを行った状態にすることができます。
(2)のように解法に気付きにくい問題の場合、この一題に固執して時間を掛けすぎるよりは、空欄にした箇所や自分の出した答えに自信が持てない問題に立ち戻る方がより合格に近付けるはずです。
決して難しくない問題を短時間で多く正確に解く力が求められるのが慶應中等部の算数の特徴です。受験者平均・合格者平均等は学校から発表されていませんが、今年は特にテストの後半でも(1)については非常に平易な問題も多く、高得点での戦いになったと予想されます。また例年通り問題毎に難度や処理にかかる手間の差が大きく、その差は見た目にも明らかであるのでテスト中に得点すべき問題の選別は比較的容易だったと考えられます。
一定以下の難度で正答率の高いものをミスなく正答することで合格点には十分達することができますが、そこからさらにアドバンテージを得るには少しハードルが高くなります。算数が得意なお子様は、平易なものをできるだけ短時間で処理し合格点を確保した上で難度の高い問題を1つでも多く得点することを目指しましょう。
反対に取りやすいところでの失点が多くなると、他教科と合わせても合格点に達することは難しくなります。算数が苦手なお子様でもパターン問題について適切な解法を選択し、計算を含めてその処理が正確にできることが大切です。また最後の大問まで解く時間を残しておける時間配分や、後半の問題についても(1)が取りこぼしなく得点できる習慣が身についているか、テスト中の姿勢も問われる試験でした。
出題構成は例年と同じく、大問1~3は小問集合で各々小問が4つずつ、大問4以降は各々小問が2つずつで(1)・(2)と内容が連続するものでした。特に、大問1が計算等、大問2が文章題、大問3が図形とここまでは毎年同様の出題です。また解答用紙の形式から答えの桁数で計算ミスに気付くことができるのも大きな特徴の1つであり、分からない問題でも解答欄を埋めておくことを忘れないようにしましょう。
今年の試験から「合否を分けた1題」として取り上げたいのは大問6です。小学生のお子様にとって学力帯を問わず場合の数は苦手な分野であり、どう場合分けしてよいか分からなかった方も多いはずです。ここで(1)だけでも得点することで、今年の試験において他の受験生に対してアドバンテージを得ることができました。
(1) 単純に0、1、2、3、4、5、6、9があるとして、7×7×6=294(通り)とするのは各位で「6または9」のカードが使われたかどうかでその後が何通りになるかを考慮していません。また、0、1、2、3、4、5、6のとき、6×6×5=180(通り)で、「6」が「9」となった場合も同様で、180×2=360(通り)とするのも、「6または9」のカードが使われていないときを重複して数えているので誤りです。ここでは、「6または9」のカードが使われたかどうかで場合分けをします。
①「6または9」を使わない
百 十 一
5×5×4=100(通り)
②「6または9」を「6」として使う
「6」として使うとき、30+25×2=80(通り)
③「6または9」を「9」として使う
「6」として使うときと同様に、80通り。
よって、①、②、③より、100+80×2=260(通り)
(2) 偶数を作るためには一の位が偶数でなければなりません。この問題の場合、一の位に来ることができる数は、0、2、4、6の4つです。「6または9」のカードを「6」として使うときと「9」として使うときでは何通りになるかが異なることに注意して場合分けしていきます。
①「6または9」を使わない
「6または9」を使わないとき、20+16×2=52(通り)
②「6または9」を「6」として使う
「6」として使うとき、15+13+25=53(通り)
③「6または9」を「9」として使う
「9」として使うとき、15+13=28(通り)
よって、52+53+28=133(通り)