問1 A~B 問2 A 問3 B 問4 B 問5 A 問6 A 問7 A 問8 B 問9 A 問10 B 問11 A 問12 B 問13 A |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
今年度の駒場東邦中学は、ねじめ正一さんの「むーさんの自転車」から出題されました。60分という制限時間で、選択肢・知識・ぬき出し・記述と様々な問題をこなしていかねばならないだけでなく、あまりなじみのない文章からの問題であったため、取り組みにくいと感じる受験生も多かったのではないかと考えられます。
文章自体は難易度が非常に高いというわけではなく、展開もさほど凝ったものではなかったものの、細部の文脈をおさえる問題はなかなか難易度も高く、悩ましい選択肢も存在していました。緻密な読解、そして正確な処理といった力がダイレクトに問われた問題だといえるでしょう。
多少難しい書き取りも含まれます。11のジッケンなどは文脈での判断も必要になるものでした。総じて難易度はやや高めだったといえそうです。
「気丈に」、「堂に入っていて」の意味を問う問題でした。なじみのない言葉であるため、前後の文脈で内容を特定していく必要がある問題と言えます。正確な読解が鍵となったでしょう。
正雄にとってのむーさんがどのような存在かを暗示する表現をぬき出す問題です。範囲は指定されていますので、それほど苦戦する問題ではありませんが、まず内容をしっかりと考えた上で抜き出す必要があります。なんとなく探すことのないように気をつけましょう。
傍線部の解釈に近い問題ですが、正雄の心情に着目して解答する必要があります。解答範囲を正確につかみ、傍線部の形式に合わせて解答する力が求められている問題です。
むーさんの発言の理由を選ぶ問題です。内容の把握自体はそれほど難しい問題ではありません。正確に各選択肢のパーツごとに消去していければ正解できるでしょう。
心情把握ではありますが、結局は傍線部の解釈になります。「父への定まらない想い」、そして「はっきりと決着をつけた」の二点をしっかりと説明しなければなりません。気持ちが揺れている状態から、一つの結論にいたったという流れがつかめれば問題ないでしょう。
心情の選択肢問題です。それぞれの選択肢を二つのパーツに分割して、一つ一つのパーツを精査していくことで解答が導き出せます。「恨みがましい」ということばの意味が文脈で特定できたかが勝負の分かれ目です。
出刃包丁をどのようなものとして捉えたかを説明する問題です。文章の内容と、出刃包丁の関連をおさえながら簡潔に説明する必要のある問題でした。正確な読解と簡潔な記述を求められるやや取り組みにくい問題だったと言えます。
傍線部に心情語句もあるのでさほど難しくはありません。ただ「ますます」ということばから「怒りの増加」というニュアンスをしっかりと意識できたかが問題となるでしょう。正確に傍線部の語句を読み取る「緻密さ」が問われたと言えます。
「私が父と母を捨てたのだ」という正雄の思いが生まれた理由を説明する問題です。状況の整理をしっかりと行う必要があった問題です。特に「父母に捨てられた」のではなく「自分が捨てた」というに至った状況を丁寧に説明していきたいところです。
「助け舟を出す」という語句の空所補充でした。比較的平易な問題だったと言えるでしょう。
本文内容をふまえて、正雄が「俳句の内容」に対して共感を抱いている理由を説明する問題です。「ぴったり」だと思っていることから、俳句と正雄の共通点を考えれば問題ないでしょう。字数は長いですが、共通点の記述の型に合わせて解答すれば問題なかったのではないかと推察できますが、方針が経たなかった場合はなかなかまとめるのに苦戦したのではないかと思います。
合否を分けた一題の方で詳細は述べさせていただきます。
「和子さん」の人物像をおさえる問題です。「和子さん」自体は本文中で登場する部分が限られますので、情報を収集する点においてはさほど苦戦することはなかったのではないかと思います。丁寧に情報を集め、抽象化して解答を選んでいきましょう。
今回は問十二を取り上げたいと思います。100字以上にわたる記述は、まず解答の方向性を定め、どのような形で書くかを決めることからスタートです。
解き方の手順
問題を確認すると、正雄が俳句の状況を「ぴったり」だと考えていることが分かります。つまり、この部分からは、「正雄」と「俳句」に共通点があるといえます。
したがって、「共通点の記述」のフォームに合わせて解答していけばよいという方針が成り立ちます。
「共通点の記述」
AとBは、~という点で共通している。
・・・であるAと、~であるBには( )という点で共通点がある。
→こんなに堅苦しい書き方でなくてもかまいません。ここで重要なのは、AとBの二つをそれぞれ説明する必要があるということ、そしてその共通点を抽象化する必要があるということの二点です。
今回であれば、「親と暮らすことをやめ、一人孤独に生きていくことを考えている正雄」と「自分で自分を見張る(=ほかに自分の周りにいない)」という俳句の内容に共通点があるとわかります。当然共通するのは「孤独」という要素です。そしてこの内容を理解した上で、正雄が肯定的にとらえているというのは、本文でも、自分とさほど年齢の変わらない「一茶」が孤独に耐えながら頑張っている姿をふまえて、「自分でも将来のことを気合を入れて考えよう」という考えにいたっている点からわかります。したがって、この句と同じように自分も頑張らねばならないと前向きに考えるようになったために、この句を「ぴったり」の句だと考えていると言えるでしょう。