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理科の合否を分けた一題

駒東中入試対策・理科の合否を分けた一題(2020年度)

難易度分類

(1) A  (2) B  (3) A  (4) A  (5) A  (6) A  (7) A
(1) A  (2) B  (3) B  (4) B  (5) A  (6) A
(1) A  (2) B  (3) B  (4) A  (5) A  (6) B
(1) A  (2) A  (3) B  (4) A  (5) A
(1) A  (2) A  (3) A  (4) A  (5) B

A…駒場東邦合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2020年度の駒場東邦は、例年通り、幅広い知識と論理的思考力をためす問題が中心でした。本年は、80点満点で、受験者平均が55.1点(昨年45.2点)、合格者平均が59.3点(昨年48.8点)と、昨年と比べて約10点と大きく上がっています。易化傾向は、一昨年、昨年、今年と続いているため、本年度で上げどまり、来年度は難化することが予想されます。過去問にできるだけ多くあたり、しっかり対策しておきましょう。

出題構成は、小問集合が1題と4分野から1題ずつで、変わっていません。
小問集合は、季節と動植物、熱膨張、火山灰のようす、物の形と落下のしかた、地層のでき方、水溶液の性質、てんびんばかりと、4分野からバランスよく出されています。
化学分野の問題は、二酸化炭素の性質と利用についての問題。
生物分野の問題は、動物の骨格のしくみとはたらきについての問題。
地学分野の問題は、月食に関する問題。
物理分野の問題は、物の密度と浮き沈みについての問題。

例年と比べると、詳しい知識を必要とする問題はなりを潜め、文章を読みとる力と論理的思考力があれば得点できる問題でした。特に図にヒントが隠されていることも少なくないことから、見落とさないように解き進める注意が必要です。

問題構成は、4分野から大問5題、小問44問。
解答形式は、記号選択が33問、数字が2問、言語が5問、記述が4問。昨年あった作図がありませんでした。
小問数は増加していますが、これといって手間のかかる問題もなく、時間的には余裕があったはずです。
計算を要する問題は2問でしたが、指示通りに処理し、計算ミスの無いように注意すればよい問題でした。
記述は、20字程度が2問、2行程度が1問、3行程度が1問でした。

問題別寸評

(総合)小問集合です。
標準的な問題ばかりなので、ミスのないように注意します。

(1)

① 秋にさく花を選ぶ問題です。選択数3つとあり、迷うことなく選べたのではないでしょうか。
② 成虫で冬越しする昆虫を選ぶ問題です。選択数2つとあり、こちらも確実に解答したい問題です。

(2)

びんのふたを開けやすくする方法を選ぶ問題です。生活に関連した内容ですが、駒場東邦受験生にとっては常識的な問題だったのではないでしょうか。

(3)

「適切でないもの」を選びます。火山灰の層は堆積によりますが、水のはたらきは受けていません。

(4)

同じ大きさのアルミはくは、丸めて形が変わっても重さは変わりません。しかし、空気中を落下させるとき、そのままのものと丸めたものでは空気による抵抗が大きく違います。

(5)

これは駒場東邦でたびたびみられる形式の問題です。地層のようすを図から読み取り、おきた出来事を並びかえます。わかっていてもミスしがちな生徒は、過去問などにあたって慣れておくとよいでしょう。

(6)

水溶液を液性と溶質の状態(固体か気体か)で分類する問題です。きわめて標準的ですので、確実に得点したいところです。

(7)

① てんびんばかりで測ることができる物体の重さを、てこのつり合いを用いて考えます。計算ミスのないように注意しましょう。
② 「すべて選ぶ」問題です。選択肢すべてが該当しますが、臆することなく解答しなければなりませんでした。

(化学)二酸化炭素の性質と利用に関する問題です。
様々な視点から二酸化炭素について考えます。どれも基本的な知識があれば対応できる問題です。

(1)

2%以下の気体は図の中に示されないので、ろうそくを燃やす前の気体(空気)の図には、二酸化炭素がかかれていない、エを選びます。選択肢の図の印の総数が33個なので、ちっ素は26個(78×33/99)、酸素は7個(21×33/99)です。箱の中でろうそくを燃やすと、酸素の一部がなくなり、その分だけ二酸化炭素が増えます。

(2)

燃焼の3条件を思い出してみましょう。文章から、二酸化炭素は炎の温度を下げるはたらきがあるとわかります。また、二酸化炭素をふきつけることで助燃性のある酸素の供給をさまたげることができます。

(3)

二酸化炭素は、固体のドライアイスから直接気体に昇華します。このとき、体積が大きく増えるので、ビニール袋に密閉すると、中の圧力が大きくなりすぎて破裂することがあります。

(4)

→合否を分けた一題参照。

(5)

色が消える青色の「のり」をとりあげています。のりに空気中の二酸化炭素が溶けると、酸性に傾き色が消えます。これにアルカリ性の石けん水をつけると、中和反応によって酸性の性質が打ち消され、再び青色になります。問題では、液性によって色が変わる現象を選べばよいことになります。

(6)

雨には二酸化炭素が溶けているので酸性ですが、酸性雨のような強い酸性にはなりません。化石燃料を燃やした時に出る気体には、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)があり、これらの水溶液は強い酸性を示すため、大きな問題となっています。

(生物)動物の骨格のしくみとはたらきについての問題。
問題文だけでなく、図1や図2を手がかりにして考えます。ここでも必要な知識は基本的なものだけで十分です。

(1)

関節は筋肉ののびちぢみで動くしくみになっています。

(2)

Aは肩、Bはひじの関節です。肩は前後左右にぐるぐる回せますが、ひじを曲げたりのばしたりできるのは一方向だけです。自分自身で動かして確かめてみましょう。

(3)

少々細かい読み込みが必要です。
ア 胃や腸は横隔膜より下にあり、ろっ骨から外れているので間違いです。
イ 骨盤は女性の方が横に広い形になっているので正しいです。
ウ コウモリのつばさは、指の骨が長く発達し、その間に膜がある形になっています。一方、鳥の腕の指は退化していて、腕から指先にかけて長い羽毛が並ぶようについています。これは、図1のハトの骨格からもわかります。
エ 昆虫は節足動物の仲間で背骨をもちません。
「すべて選び」とありますが、答えはイだけです。

(4)

鳥の筋肉の動きについての問題です。ヒトの場合と同じように、曲がる側の筋肉がちぢみ、対となる筋肉がゆるむと考えれば解答できるはずです。

(5)

クジラは哺乳類のなかまで、魚類とは尾びれのつき方がちがいます。大きな扇のような尾びれを海面に対して上下に打ち付けるようすを、映像で見たことがある受験生もいるのではないでしょうか。
ちなみに図1の胸の位置のひれは、うでが変化したもの、腹の後ろの方に細く小さい骨があるのは、あしが退化したものです。

(6)

チンパンジーとヒトの違いを、四足歩行と二足歩行に着目して書く問題です。「背骨」「ろっ骨」「骨ばん」から、書きやすいと思う部位を選ぶことができます。図1の骨格を比較し、わかることを二足歩行に関連づけて書くのがポイントです。

(地学)月食に関する問題。
リード文を読んで論理的に考える問題です。よく出される単元ですので、ほとんどの生徒が知識問題としても取り組めたのではないでしょうか。ただし、設問が工夫されているので、しっかりとした裏付けがない生徒は思わぬミスをしてしまうかもしれません。

(1)

月食の日の月は満月です。満月は、夕方に東の空から出て真夜中に南中し、夜明けごろに西の空にしずみます。基本の知識です。

(2)

図1のように、月は地球の影よりも小さいことに着目します。月面にかかる地球の影の円弧は、月の輪郭の円弧より半径が大きくなります。知識として知っていた生徒も多かったのではないでしょうか。

(3)

文章の読み取りの問題です。図2の地球は影と同じ大きさですが、図1の地球は影より大きくなっています。□に入る数字は、地球の影の形から出しているので、実際の地球の大きさより小さくなります。図1と図2では基準となる影の大きさがちがうことに気づけば混乱せずにすみます。

(4)

イ・エ:月食の欠け方は、地球上のどこから見ても同じです。
ウ:月は太陽の光を反射して光って見えます。月食は、地球の影で太陽の光が届かないところが欠けて見える現象です。ベガやアルタイルなどの恒星は、自ら光っているので見えなくなることはありません。オ:月が地球の影のどの部分を通るかによって、月食にかかる時間はちがってきます。つまり、地球の影の中心近くを通るほど、月食にかかる時間は長くなります。地球の公転軌道面に対し、月の公転軌道面は傾いているので、いつも同じところを通るとは限りません。

(5)

図1のように地球から見ると、月は地球の影の中を東から西へ通過することがわかります。これは、月が地球の周りを東から西へ公転しているからです。この間、地球も自転しているので、地球の影と月がどちらも動いて、その速さが違うように見えるのです。

(物理)物の密度と浮き沈みについての問題。
駒場東邦特有の実験を通して考えさせる問題です。とはいえ、煩雑なデータ処理もなく、比較的取り組みやすかったのではないでしょうか。

(1)

体積は、1×1×3.14×3=9.42(㎤)、重さは13.2(g)です。密度=重さ÷体積≒1.4(g/㎤)なので、水に沈むことがわかります。

(2)

密度を比較すると、アルコール<ゴム球<(濃い砂糖水、水)、濃い砂糖水>にわとりの卵>(アルコール、水)が成り立ちます。したがって、密度の大きい順に並べると、濃い砂糖水>水>アルコールとなります。知識として知っていた生徒も多かったのではないでしょうか。

(3)

砂糖水の方が水よりも密度が大きいので、砂糖水が下の層、水が上の層となります。これが混ざらないようにするには、砂糖水の上に水を静かに注げばよいとわかります。

(4)

水は、あたためると膨張して密度が小さくなるので、あたたかい水は上に、つめたい水は下に動きます。水の対流の説明になっています。

(5)

氷をはやくとかすには、15℃の水あるいはオレンジジュースに、氷がよく触れるようにすればよいと考えます。そのためには、とけたばかりの水の層が氷からはなれる向きに対流が起きやすい、水を選びます。

合否を分けた1題

問題の実験の結果から論理的に考えて解答する問題です。
一見問題形式が煩雑に見えますが、実質的には2択なので、片方が間違いであるとわかれば正答できます。知識がなかったとしてもあきらめず考え抜くことが大切です。

(4)

【実験①】2つのビーカーに、それぞれ、水とドライアイス、食用油とドライアイスを入れます。結果、前者では白い煙が見られ、後者では見られません。
【実験②】ドライアイスを水に入れ、白い煙を集めて石灰水に通します。結果、石灰水が白くにごります。
問題は、白い煙が、「二酸化炭素」と「水」のどちらであるかと聞いています。
【実験②】では、石灰水が白くにごったことから、集めた煙の中に「二酸化炭素」が混じっていることはわかりますが、白い煙が「水」であることを否定できません。
一方、【実験①】では、どちらにも二酸化炭素(ドライアイス)があるにも関わらず、水のある方では白い煙が見られ、水の無い方では白い煙がなかったことから、白い煙の正体は水と考えることができます。
余談ですが、実際に水にドライアイスを入れて観察すると、水中で気体に昇華した二酸化炭素の泡は、すでに白い煙を含んでいます。つまり、白い煙は、ビーカーの水がドライアイスによって急激に冷やされ、瞬時に細かい氷のつぶになったものなのです。

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