問1 | A |
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問2 | B |
問3 | B |
問4 | (1)A (2)A |
問5 | (1)A (2)A (3)A:B B:A |
問6 | (1)A (2)B (3)A (4)A |
問7 | (1)A (2)A (3)B (4)(i)A(ii)A(iii)A |
問8 | (1)A (2)A (3)B |
問9 | B |
A…駒場東邦中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の駒場東邦中は、今年も例年通り、大問が1題の出題でした。
今年は、新型コロナウイルスや猛威をふるう自然災害、自治体の働きと社会のくらしをテーマとして、3分野から総合問題形式での出題でした。地図、歴史史料、グラフ、統計資料の読み取りは昨年までと変わらず出題が見られました。難易度に大きな変化はなく、まんべんなく出題されていました。
駒場東邦中の社会は40分ですが、決して長い時間ではないので、問題の取捨選択はもちろんのこと、「素早い処理能力」や「記述をまとめる力」、「資料を読み取る力」などの力が求められています。
得点を重ねるためには、暗記に頼った学習や問題演習だけの学習ではなく、統計データや歴史資料、地図に日頃から触れておくこと、記述を簡潔にまとめるトレーニングが必要です。
記述問題は、設問の指示や条件を整理し、整理した内容に沿って作成するよう心がけましょう。
複数枚の史料や図の「共通点」を踏まえて答える問題も多いことから、資料集の活用を日常の学習に取り入れましょう。
小問総数は25問で、うち語句形式の問題が8問。記号選択が11問。記述問題が6問です。記述問題の内訳として、資料・図の読み取りに関する記述は4問。知識の理由・説明型記述が2問となっていました。記述量は例年通り1~2行です。
駒場東邦中の典型的な記述問題です。意識すべきことは、設問の条件の整理、条件を満たした記述を作成するという2点です。
まず、設問条件の整理を行います。
設問条件:図2のような河川の水質悪化という問題が発生した理由/図3と図4をふまえる
次に、図3・図4の読み取りを行います。
【図3】1960年にかけて都市部の人口が増加した。
【図4】人口の増加に伴って団地などの住宅地が建設された。
図2の写真からは、家庭用排水から大量の洗剤などが原因で、川が泡立ってしまっている様子が見て取れます。これらを踏まえて記述します。
【解答例】
①(図3)人口が急激に増えたことで②(図4)大都市やその周辺に住宅が多くつくられたが、③下水道の整備が追いつかなかったから。
ここで大切なことは、書き終えた後に設問条件を満たしているかを確認することです。
上記の解答例のように、図3・4から分かることが記述内容からはっきりと読み取れる状態になっていれば完了です。書いた後に点検をすることが得点するうえでの重要なカギとなります。
資料を読み取り空所を補充する問題。
空所補充の問題は、初めに空所を含む文がどのようなことを説明した文であるのかを設問から明らかにすることが大切です。
今回の問題は、「史料2・史料3の日記を読むことが歴史の研究にとって大切な理由」について述べた文の空所を補う問題であることが分かります。
次に、空所の前後を整理します。
“史料2、史料3が書かれた時期に注目して下の表1を見ると,これらの日記は( A )時期のもので
ある点で共通しており、史料2、史料3の内容に注目すると、これらの日記は( B )がわかるものであ
る点で共通している。”
A:史料2は1018年、史料3は1434年に編纂されていることから、いずれも「朝廷や幕府が中心となって編纂した書物ではない」ことが分かります。
B:史料2の「<6月5日> 昨日、日照りによる災害により,左右獄に入っている囚人のうち、罪が軽い 者は罪を免じたという決定がなされたそうだ。」という部分や、史料3の「…彼らの抱える事情をくみ取ることは大切です」と将軍に助言した。この意見をうけて、幕府としては『2度拝礼する案なら問題ないのでは ないか,ただし関白や前摂政からも意見を聞いた方が良い』という結論になった」という部分から、「天皇や将軍がどのような命令を民衆に出していたか」が分かります。
リード文中の空所を文で補う文章読み取り問題です。
設問条件にある「1・2ページの文章の内容や上記医療制度の概要、事例と会話文をふまえて」とあることから、これらの内容を整理してまとめることによって解答が作成できます。
空所を含む一文を整理すると(B)には、社会保険料を納める意義をあてはめる必要があることがわかります。
では、3つの与えられた資料に基づいて、解答の文を作成します。
【1・2ページの文章から読み取れること】
線部⑦の一文「公共のために必要なお金を税金という形で納め、②困った人がいたら助け合う仕組み」
【「概要」から読み取れること】
「病院では医療費の一部を本人が支払い、②残りは税金と保険料によって支払われる」
「①収入が少ない場合、保険料が免除される」
【事例】
「…①重い病気になってしまった。…働けなかった上に、会社の売り上げも落ちて失業してしまった」
これらの内容に共通していることをまとめて記述します。
【解答例】
①病気や怪我により困っている人々を②社会全体で支える
牧場と野菜生産について答える問題です。
牧場からは、家畜のフンなどがでます。これらをたい肥にすることによって作物の生育に役立てることができます。
合否を分けた一題で取り上げます。
予算に関する公民分野の問題です。
予算や予算の成立過程について、適切なものを「すべて」選ぶ問題です。
すべてを選ぶ問題は、難易度があがる傾向にあります。中でも、公民分野は細かな知識が多いため学習量や定着度によって差がつくといえます。
ア:衆議院には予算の先議権があるため先に話し合いがはじまります。
イ:衆議院と参議院で意見が異なる場合、両議院協議会を開いても一致しない場合は、衆議院の決定が国会の議決となります。これを一般に「衆議院の優越」といいます。
上記のア、イが正しいものとなります。
では、下記の選択肢の中で誤りを含む部分を見ていきます。
ウ:予算案を作成するのは内閣の仕事です。
エ:国民が傍聴することは可能です。
オ:一般歳出のうち、社会保障関係費の次に割合が高いのは、国債費です。
駒場東邦中の定番問題は、(複数の)資料を読み取り記述する問題・グラフの読み取りを正しく行うことができているかを問う問題・地図を比較する問題の3つです。これらは、日常学習で頻繫に触れるものではないため、類問演習や過去問を用いた対策が必要となります。
一方で、資料やグラフの裏側には、各分野の基礎知識が必要とされている問題も多くあります。
したがって、基礎的な知識に対する学習をおろそかにすることはできません。
過去問演習に入る時期までに、各単元の基礎をしっかりと定着させることを念頭に置いて学習を進めてください。
今回取り上げた問題は、(複数の)資料を読み取り記述する問題です。
この問題で合否を分けるポイントは、設問の整理と解答の型を定めることと、正しい資料の読み取りです。この2つのポイントを過去問演習の際に意識して進めることで、解答力が養成されます。
外国人観光客に関する問題です。
初めに解答条件の整理を行います。
解答条件:①オーストラリアから日本に来た人が、「娯楽等サービス費」を多く使っている理由
②図11を参考にする
③地理的な要因をふまえる
次に、図10・図11の読み取りを行います。
【図10】
北海道や北陸信越など雪の多い地域において「買い物代」よりも「娯楽等サービス費」が多くなっていることが読み取れます。
【図11】
オーストラリアからの観光客は1月や12月など特に冬の地域が多くなる傾向にあることが読み取れます。
続いて、地理的要因を考えます。
オーストラリアは、南半球に位置しているため、日本と季節が逆になります。
12月や1月はオーストラリアの季節は夏になるため、日本に来る目的としてはスキーやスノーボードをことであると考えられます。
したがって、「娯楽等サービス費」が多くなっているということになります。
【解答例】
オーストラリアは南半球に位置しいているため、日本と季節が逆になる。したがって、オーストラリアが夏の季節にあたる12月や1月に、雪が多く降る北海道や北陸信越にスキーやスノーボードをしにやって来るから。