1 (1)A (2)A
2 (1)A (2)A
3 (1)A (2)B (3)C
4 (1)AA (2)B
A…開成中学合格を目指すなら確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
まずは今年の出題の寸評を書いてみましょう。
1(1)
面倒なだけの計算問題です。計算の工夫と手際の良さが問われますが、開成中学合格を目指すならば、絶対に落とせません。
(2)
「円といえば中心に注目する」という鉄則に基づいて補助線を引くだけ。これも開成中学受験生ならば確実に正解できるでしょう。見た目で「どうせ30、60、90度を使うんだろう」と判断する感覚も持ち合わせていたいところです。
2(1)
実は複数、解が存在するのではないかと物議を醸していますが、中学受験段階では普通のニュートン算として解いてよいものと思われます。
(2)
同様に複数、解が存在することが指摘されている問題ですが、(1)と同じく普通のニュートン算として処理すればよいでしょう。(1)が正解できれば易しい問題です。
3(1)
表で整理するだけの易しい出題です。
(2)
多少、手間が増えるものの、開成中学受験生にとっては易しい出題です。(1)を利用して手際よく正答を導けると(3)にもつながります。
(3)
この年の出題において唯一、開成中学らしい問題です。(2)を利用すると規則性が見つかるのですが、それに気づける受験生は、開成中学志望とはいえ多くはないでしょう。正答できれば大きなアドバンテージになりますが、もし途中までしか分からなくても大きな差にはなりません。部分点を取る技術が問われます。
4(1)
開成中学受験者なら基本的な立体切断です。間違えるわけにはいきません。
(2)
切断面が重ならないので易しいでしょう。開成中学受験生なら計算ミスだけに気を付ければよい出題レベルです。
②平成23年 合否を分けた一題
近年の開成中学の合否を分けるのは「頭の良さ」ではありません。難問が解けたり、人とは違った、切り口の鋭い解法が思いついたりする必要性は年々薄まっています。
今の開成中学に必要な力とは「正確さ」「注意深さ」です。
①で挙げたように、平成23年は、3(2)のみ難易度が高く、他の問題は全て開成中学受験生ならば確実に正解できる出題でした。しかし合格者平均点と受験者平均点では15点近く差がついているのが現状です。
その合否を分けた原因は1(1)ではないでしょうか?
この問題のタイムリミットは3分です。
そもそも正答を導けないのは論外。
5分以上かかってしまうと焦りが生じ、以降の正確性が欠けることや、時間配分をミスして、見直せない、ミスに気付けないという事態が想定されます。
69/169という答えを信用できず、何度も見直して時間を使いすぎると、これも開成中学らしさに対応できていないので算数で高得点を挙げられる望みは薄まってしまうでしょう。
一方、1(1)で、開成中学が求める手際の良さを発揮できた生徒は時間に余裕が持て、充分な見直しの時間、唯一の難問の3(2)を考える時間が持て、失敗することはないでしょう。
平成23年の合否を分けたのは1(1)での手際の良さだと言えるでしょう。