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理科の合否を分けた一題

開成中入試対策・理科の合否を分けた一題(2010年度)

2010年度

例年、基本的な知識を幅広く網羅すれば対応できる試験ですが、今年は特に取り組みやすいと思われる内容でした。大問1・大問2は、開成中学の受験生であれば問題なく取り組めます。時間も大して取らないでしょう。大問3は、2009年夏に大きな話題となった日食の問題でした。問題文を精読した上で、基本的な日食の知識と、ニュースや新聞で取り上げられていた話題を考え合わせれば、迷うことなく答えられた筈です。

この中で、大問4は、問われている知識自体は平易ですが、長文をきちんと読んだ上での分析力が試される内容で、合否の差がついた問題と考えられます。

大問4

問1・問2は、問題文を読みながら解いていくのが望ましい。

お菓子の袋の銀色の部分が何かを知りたい。
まず、光っている(光沢がある)ということと、その後、電流が流れるかどうかの実験をしていることから、実験者は、試料が金属であると疑っていることが分かる。→問1(A)金属
つまり、電流が流れる=豆電球が点くと予想していた。→問2 ①豆電球が光る。
しかし、試料の表を使っても裏を使っても電流は流れず。

今度は、塩酸を加えてとけるかどうかの実験をしている。
少しずつとけている事と、その後に電磁石を使った実験を行っていることから、実験者はこれを金属の中でも鉄ではないかと考えていることが分かる。→問1 (B)鉄
つまり、電磁石に付くと予想していた。→問2 ②電磁石につく。
しかし、電磁石には引き寄せられず。

そこで今度は、水酸化ナトリウム水溶液にとけるかどうかの実験をしている。
つまり、塩酸にもとけ、水酸化ナトリウム水溶液にもとける金属=アルミニウムかどうかを確かめようとしているということが分かる。
実際に水酸化ナトリウム水溶液に少しずつとけたので、この銀色の部分はアルミニウムであるといえる。→問1 (C)アルミニウム

同じアルミニウムが原料のクッキングホイルを使って、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると、激しく泡が出た。当然これは水素である。→問1 (D)水素

一方、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を加えて置いておいたお菓子の袋の方を見ると、銀色の部分が全部無くなって、透明のフィルム状のものだけ残っている。
これがどうやらプラスチックらしい。
つまり、お菓子の袋は、プラスチックのフィルムとアルミニウムを重ね合わせて作られている。
プラスチックは湿気や空気を通さないために使われているが、アルミニウムは光を通さないために使われていると考えられる。→問1 (E)光

問3 プラスチックとアルミニウムがどのように重なっているかを考える問題。

手掛かりは、電流を通そうとした時、試料の表を使っても裏を使っても電気が流れなかったという点。
表裏とも、表面はアルミニウムではなく、プラスチックであったと考えられる。
つまり、アルミニウムをプラスチックフィルム2枚が挟んでいる選択肢アが正解。

問4 塩酸を加えた際の、クッキングホイルと試料(お菓子の袋)の泡の出方の違いについて答える問題。

アルミニウムがプラスチックに挟まれている試料は少しずつしかとけなかったが、アルミニウムがむき出しのクッキングホイルは激しく泡を出してとけている。
当然これは、塩酸と触れる面積の違いがもたらした差であると考えられる。
塩酸の濃さ・温度については触れられていないので×。
塩酸の体積や水酸化ナトリウム水溶液との比較は、泡の出方(とける速度)とは全く関係ない。

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